自動車メーカーや関連企業を含めた自動車業界のことを『モビリティ』業界と言う。
そんなモビリティ業界において、特に自動運転車は私たちの生活を大きく変えると期待されている。自動運転車は完全な自動運転をレベル5とする5段階に分けられ、現在は特定の条件下であればドライバーを必要としないレベル4の開発・実証実験が進行中。関連企業は多額の資金調達や投資を行っており、その動向が注目される。
この『モビリティ』業界についてこのほど、三井住友DSアセットマネジメントが「技術開発のため資金調達・投資が続く『モビリティ』業界」と題したマーケットレポートを公開した。
自動運転車は多様な最新技術を搭載
自動運転車は、ドライバーが運転中に行う「認知、判断、操作」といった動作を、カメラやセンサー等から情報を取得したり、AI(人工知能)の指令によりコントロールするなど多様な最新技術を搭載している。このため開発には、自動車メーカーだけではなく半導体やソフトウェア、電子部品等の様々な分野の企業が関わっている。
技術開発のため多額の資金調達が続く
自動運転車開発に関わる企業は、技術開発のために多額の資金調達や投資を行っている。例えば、自動運転車向けにAIソフトウェアを開発する米ウェイモは、2020年3月に約32億米ドル、2021年6月には約25億米ドルの資金を調達した。
また、中国の百度(バイドゥ)と吉利汽車が2021年3月に設立した合弁メーカーの集度汽車は、2022年1月に約4億米ドルの資金を調達した。集度汽車は、世界初の自動運転レベル4の市販車発売を発表しており、2023年には納車を開始する予定となっている。こうした企業による資金調達額は2021年に急増し、2021年は9月時点で120億米ドル超と、過去最高の水準となっている。
利用目的の多様化等、『モビリティ』業界の市場拡大に注目
自動運転車は、個人の移動手段としてだけではなく、タクシーやトラック、道路清掃車、移動コンビニ等、その利用目的は多様化すると見込まれており、これからも市場拡大が期待されている。今後、世界の自動車生産台数に占める自動運転車の割合は、2018年の約20%から2030年には約89%にまで拡大すると見られている。
また、世界各国がカーボンニュートラル社会の実現に向けて、ガソリン車の新車販売を廃止していく方針にある中、電気自動車(EV)の拡大も見込まれており、EVの市場規模は、2037年には2020年の約25倍となると見られている。世界各国が技術開発にしのぎを削る『モビリティ』業界の動向から目が離せない。
※個別銘柄に言及しているが、当該銘柄を推奨するものではない。
構成/こじへい