小児のインフルエンザワクチン、10月末までに接種を
米国小児科学会(AAP)感染症対策委員会は2022年9月6日、理想的には10月末までに生後6カ月以上の全ての小児に対するインフルエンザワクチンの接種を推奨するポリシーステートメントを、「Pediatrics」オンライン版で発表した。同ステートメントは、同誌10月号に掲載予定である。
このステートメントの筆頭著者であるAAP感染症対策委員会のKristina A. Bryant氏は、「小児科医として、また親としても、私はインフルエンザワクチンの接種が家族全員にとって重要だと思う。特に、新型コロナウイルスのような他の呼吸器感染症の原因ウイルスがわれわれのコミュニティ内で循環しているようなときに、インフルエンザを過小評価すべきではない。インフルエンザにかかった子どもは大変な思いをするし、家族のルーチンも大混乱をきたしかねない。インフルエンザが重症化して致命的になることもある」と話す。
AAPによると、2021/2022シーズンでは小児での接種が遅れ、2022年4月9日の時点での生後6カ月から17歳までの接種率は53.3%にとどまっていたという。特に接種率が低かったのは非ヒスパニック系黒人の小児で、白人の小児と比べて8.1ポイント低かった。
一方、2021/2022シーズンの感染者数は例年よりも少なかったが、これは新型コロナウイルスに対する感染予防対策が影響している可能性が高いという。
しかし、小児が学校やその他の場所でパンデミック前の活動を再開するにつれ、インフルエンザやその他の呼吸器感染症の原因ウイルスへの感染の増加が予測される。
過去10シーズンのインフルエンザシーズンを横断的に検討した研究によると、歴史的には、黒人、ヒスパニック系、ネイティブアメリカン/アラスカ先住民では、インフルエンザによる入院やICU入室の率が高く、このような格差は特に4歳以下の小児で顕著であるという。
また同研究では、黒人、ヒスパニック系、およびアジア/太平洋諸島系の小児でのインフルエンザ関連の入院死亡は、白人の小児の3〜4倍であることも明らかになった。AAPは、このような医療アクセスおよびサービスにおける格差や不平等をなくす必要があると主張している。
AAPの主な推奨事項は以下の通り。
・生後6カ月以上の小児は全て、インフルエンザワクチンを毎年接種すべきである。ワクチンの種類に関する推奨は特になく、小児の年齢や健康状態により、筋肉注射による不活化ワクチン、または経鼻スプレーによる弱毒化ワクチン(生ワクチン)を選ぶとよい。
・特に、ハイリスクで医学的に脆弱な小児、およびその小児と家庭内で接触する人や小児の面倒を見る人は、インフルエンザワクチンを毎年、必ず接種すべきである。
・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンの接種対象者は、同ワクチンとインフルエンザワクチンを同時接種してもよい。
・初めてインフルエンザワクチンを接種する生後6カ月から8歳までの小児、または2022年7月1日までに1回しかインフルエンザワクチンを接種していない小児は、今シーズンは、4週間以上の間隔を空けて同ワクチンを2回接種すべきである。それ以外の小児は、1回接種でよい。
・妊婦は妊娠中にいつでもインフルエンザワクチンを接種できる。また、授乳期間中のワクチン接種も、母子にとって安全である。
Bryant氏は、「秋は、学校が始まり、スポーツやその他の活動で多くの家族にとって多忙な時期ではあるが、インフルエンザワクチンの接種は、全ての人を守り、病気による混乱を軽減するのに役立つ。インフルエンザにかからないよう、ぜひワクチンを接種してほしい」と述べている。(HealthDay News 2022年9月6日)
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(参考情報)
Abstract/Full Text
https://publications.aap.org/pediatrics/article/doi/10.1542/peds.2022-059274/189385/Recommendations-for-Prevention-and-Control-of?autologincheck=redirected?nfToken=00000000-0000-0000-0000-000000000000
構成/DIME編集部