発想がおもしろい!ナイフ、ドライバー、六角レンチを内蔵したAirTagケース「PitaTag for Multi-tool」
2022.09.21パンデミック前に、国外のクラウドファンディングではちょっとした「マルチツールブーム」というものがあった。
即ち、十徳ナイフと同様の機能のものを極力コンパクトに、極力威圧感を与えない形でまとめようという試みである。
カード型マルチツール、キーホルダー型マルチツール、空港の手荷物検査でも引っかからない形状のマルチツール等、あらゆる製品が洪水のように続々登場した。
では、もしもAirTagケースがマルチツールになったら?
そのようなことを考えた奇才が存在するらしく、それは中国PITAKAの製品『PitaTag for Multi-tool』という形で具現化している。
2015年設立のメーカーが開発したAirTagケース
今月9日、都内のb8ta Tokyo-Yurakuchoで開催されたのはPITAKAタッチ&トライイベント。
PITAKAは日本ではまだ有名とは言い切れないブランドである。何しろ運営会社Shenzhen Lingyi Innovation Technology Co.,Ltdの設立が2015年である。
歴史は10年にも満たない。しかし軽量かつ頑丈なスマホケースを開発する周辺機器ブランドとして、徐々にその存在感を確立しつつある。
このイベントの目玉は、アラミド繊維を採用したiPhone14専用ケース『MagEZ Case 3』と『MagEZ Case Pro 3』である。
携帯性を損なわないレベルの軽量を維持しつつも、軍事レベルの耐久性が備わったiPhoneケースだ。
日本はiPhoneユーザーが多い国として知られている。それ故に、質の高いiPhone周辺機器は一般ユーザーからも注目されやすい。
しかし此度の筆者は『MagEZ Case 3』よりも、隅のほうでひっそり展示されていた『PitaTag for Multi-tool』に釘付けになっていた。
当初は「何だ、ただのAirTagケースか」と見ていたが、これがマルチツールだと気づいた途端にその重要性を実感した。
キーホルダーとしても活用できるこのケースの側面には、ナイフ、六角レンチ、プラスドライバー、マイナスドライバーが内蔵されているのだ!
こ、これはよく考えたもんだ!
バイク乗りに最適のガジェット
「紛失防止ガジェット」として、2021年4月のリリースから急速に普及したAppleのAirTag。
たとえば、これをバイクに設置してみるというのもひとつの使い道である。
筆者の愛車スズキSV400Sはまだ盗難の危険性が少ない車種かもしれないが、これがカワサキZ400FXならどうだろうか?
このモデルは今でも人気が高く、尚且つ希少性も極めて高い。盗難の危険性が常に付きまとうため、保険に入るのも一苦労とのことだ。
そうしたバイクであれば、AirTagは「いざという時の最後の手段」として重宝されるだろう。もちろん、一番いいのは駐車時に頑丈なチェーンをかけることだが……。
そんなAirTagを、厳密に言えばAirTagのケースを「ツーリンググッズ」として活用しよう。『PitaTag for Multi-tool』なら、ちょっとしたネジ回しが必要になった場面で大活躍するはずだ。
筆者がツーリング中に時たま行うのは「クラッチレバーの調整」である。
左手のレバーの握り心地が何となく気に食わない時、調整ネジを回して程良い具合に整える。
この調整ネジは円盤で止めてあるのだが、円盤を回すにも何かしらの工具が必要ということはバイク乗りなら理解できるはずだ。
当然ながら『PitaTag for Multi-tool』は「本格的な工具」にはならないものの、突然発生した小さなトラブルに対処する程度なら活躍の場はあるだろう。
室内での利用も!
そしてこの製品の開発者は、日本の事情を知っているのか。はたまたそのあたりでは日本と中国では事情が似通っているのか。
ついついそう考えてしまう要素が、『PitaTag for Multi-tool』には含まれてる。
それは「ナイフの大きさ」だ。いや、「ナイフの小ささ」と書くべきだろう。小指の先くらいの刃渡りで、これなら警察官に呼び止められることはないだろうという程度のサイズ感だ。
悪用できないサイズになっている、と書けばより適切である。
故にこれは、ツーリングでの携行に限らず室内でのカッターナイフに代わる用途としても活用することができるだろう。
中身を絶対に傷つけずに、ガムテープで閉じられた段ボールを開ける目的での使用はまさに最適と言える。
此度のイベントを開催したPITAKAのスタッフには悪いが、筆者は『MagEZ Case 3』よりもこの『PitaTag for Multi-tool』に注目するべきだと感じてしまった。
それだけこの製品は、AirTagと共に一層広く普及するべきだと本気で考えているのだ。
『PitaTag for Multi-tool』はPITAKA公式サイトの他、Amazon等の大手ECサイトでも販売している。価格は7,499円。
【参考】
PitaTag for Multi-tool-PITAKA
取材・文/澤田真一