東京メトロの売店やコインロッカーを運営するメトロコマースが、「貸出型汎用自販機」の事業を拡大している。ありそうでなかった(?)新しいビジネスに、さまざまな業界から熱視線が集まっている。
ビジュアルダイジェスト
駅の自販機シェアリング
貸出型汎用自販機は、2021年12月にスタートした自動販売機の新規事業。東京メトロの駅構内に、同社が設置した自動販売機を月単位で貸し出す。
通常、自動販売機は出店者である企業が用意し、スペースの利用料を土地の所有者に支払う。一定の資金を持つ企業しか利用できず、そのため商品は画一的になりがちだ。
「貸出型汎用自販機」では、企業側が自動販売機を用意する必要はなく、商品入れ替えなどのオペレーションだけ行えばよい。初期投資が少なく、低リスクで自動販売機ビジネスにチャレンジできる。
自動販売機は、4〜20℃で温度設定できる冷蔵機能を備え、食品、飲料、その他アイテムなどさまざまな商品に対応する。企業やブランドの広告宣伝や、将来の自動販売機事業を検討するトライアルとしての利用価値も高い。
現在、東西線大手町駅、丸ノ内線銀座駅、有楽町線有楽町駅と、利用者数の多い3駅に設置しており、今後も拡大していく予定。月替りでバラエティ豊かな商品が並ぶ新しい自動販売機は、遠からず東京メトロの利用者にとって身近な存在になるはずだ。
有名ブランドから地域の飲食店まで
東京メトロの駅構内では、以前から小型の期間限定ショップが展開されてきた。このモデルを自動販売機に応用したのが貸出型汎用自販機だ。
詳しい利用料は非公開だが、月額固定で1台あたり10万円以下/月だという。地域の飲食店なども利用可能な金額で、実際に銀座駅に老舗のうなぎ店が出店し人気を博したという(蒲焼きの真空パックを販売)。
ほかにも、キャラクターとコラボしたハンカチ、ポーチやクレープ、せんべい、新型コロナウイルス用の唾液PCR検査キットまで、実績ベースでもラインアップの幅は広い。さらに、生鮮食品や地域の特産品など、今後のアイデアもつきない。
今、構内の商業施設が多様化したり、医療機関やテレワークブースができるなど、駅のあり方は大きく変わっている。東京メトロの駅は、地下が多く敷地が狭い、というハンディがあったが、自動販売機なら必要なスペースは1平米程度。ひと駅に何台も並べることも可能であろうし、そうなれば、地下鉄のイメージは変わりそうだ。
「駅が通勤通学の通過点だけでなく、日常生活やちょっとした楽しみの目的地になれば」と同社。他の鉄道会社とは一味違う、東京メトロらしい「新しい駅」のスタイルを提案できるだろうか。
期間限定で商品が入れ替わる「貸出型汎用自販機」が東京メトロに登場!
取材・文/ソルバ!
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