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乳がん患者の妊孕性温存治療によってがん再発リスクが上昇することはない、カロリンスカ研究所報告

2022.09.20

乳がん患者の妊孕性(にんようせい)温存治療は転帰に影響を及ぼさない

乳がん患者では、妊孕性温存治療により後のがん再発リスクが上昇することはないようだ。

化学療法を受ける前に卵子や胚を凍結保存する妊孕性温存治療を受けた女性では、この処置を受けなかった女性に比べて、乳がんの再発リスクおよび死亡リスクのいずれも上昇していなかったことが、新たな研究で示された。

この研究を実施した、カロリンスカ研究所(スウェーデン)腫瘍学・病理学部門のKenny Rodriguez-Wallberg氏は、「これは貴重な情報であり、妊孕性を温存したい若い女性乳がん患者の治療の変化につながる可能性もある」と述べている。詳細は、「JAMA Oncology」に2022年8月25日掲載された。

乳がんになる女性の約10人に1人は妊娠可能年齢であるが、治療として実施される化学療法が、これらの女性から妊孕性を奪う可能性がある。

そのため、胚や卵子の凍結保存を選択する女性も多い。ただ、凍結するための卵子を複数得るために、たいていの場合、排卵誘発剤による卵巣刺激が行なわれる。それが乳がんの治療や転帰に影響を及ぼす可能性が懸念されている。

今回の研究では、妊孕性温存治療を受けた女性乳がん患者425人と、同治療を受けなかった女性乳がん患者850人から成るデータを基に、妊孕性温存治療によりその後の転帰(再発、乳がんによる死亡)が変わるのかを検討した。

対象者の乳がん診断時の年齢は21〜42歳(平均年齢32.9歳)で、1994年から2017年の間に乳がんの治療を受けていた。

また、妊孕性温存治療を受けた女性のうち、367人はホルモン剤による卵巣刺激を受け、残る58人は同刺激を受けていなかった。

妊孕性温存治療を受けていない女性と比べた乳がんによる死亡のハザード比(HR)は、ホルモン剤による卵巣刺激を伴う妊孕性温存治療を受けた女性で0.59(95%信頼区間0.32〜1.09)、ホルモン剤による卵巣刺激を伴わない同治療を受けた女性で0.51(同0.20〜1.29)と同程度であった。

また、妊孕性温存治療を受けていない女性と比べた乳がんによる死亡または乳がん再発のハザード比についても、ホルモン剤による卵巣刺激の有無にかかわらず同様であった(卵巣刺激あり:HR 0.81、95%信頼区間0.49〜1.37、卵巣刺激なし:同0.75、0.35〜1.62)。

乳がん治療から5年後の生存率は、妊孕性温存治療を受けた女性のうち、ホルモン剤による卵巣刺激を受けた群で96%、ホルモン剤による卵巣刺激を受けなかった群で93%、妊孕性温存治療を受けなかった群では90%であった。

一方、5年無再発生存率は、ホルモン剤による卵巣刺激を伴う妊孕性温存治療を受けた群で89%、ホルモン剤による卵巣刺激を伴わない同治療を受けた群で83%、妊孕性温存治療を受けなかった群で82%であった。

こうした結果を受けてRodriguez-Wallberg氏らは、「われわれの研究から、ホルモン剤による卵巣刺激の有無にかかわらず、妊孕性温存治療を行なっても乳がんの再発や死亡のリスクが上昇するわけではないことが明らかになった。妊孕性温存治療の安全性に関するエビデンスを求める声は強いが、この研究結果がそうしたエビデンスの一つとなるだろう」と結論付けている。

なお、研究グループは、今回の研究対象者を、今後さらに5年間追跡する予定だとしている。(HealthDay News 2022年8月31日)

Copyright © 2022 HealthDay. All rights reserved.
Photo Credit: Adobe Stock

(参考情報)
Abstract/Full Text
https://jamanetwork.com/journals/jamaoncology/fullarticle/2795608?guestAccessKey=75a4737a-7470-4836-8f54-92b7fd6d3fa2&utm_source=For_The_Media&utm_medium=referral&utm_campaign=ftm_links&utm_content=tfl&utm_term=082522

構成/DIME編集部


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