2022年4月から育児介護休業法の改正が段階的に行なわれている。男性育休の周知・意向確認が義務化されるなど、パパ・ママともに仕事と育児が両立しやすくなる流れがうまれつつある。
変わってきているのは制度だけではない。育児をサポートするデバイスやアプリが続々と登場しており、子育ての現場にも変化が生じてきているのだ。
続々と登場する新商品の中で、どんなツールが便利なのか? どんなシーンで活用できるのか? と、いろいろ調べないといけないのはわかっているが、情報サイトを見てもオススメ商品で溢れており、精査するのが正直ツラい…なんて人は多いのではないだろうか。
そこで今回は、2人の”育児ガジェットマニア”が実際に使っている、便利グッズを紹介してもらおう。
岡田悠さんは、会社員をしながら作家としても活躍中だ。1年間の育休を夫婦で取得し育児に専念。我が子「君」への手紙を綴るという形で、1年間の育休生活を描いた「1歳の君とバナナへ」(小学館)が8月30日に発売された。
ヨッピーさんはライター業を中心に、講演やイベント主催など多方面で活動している。子どもが産まれたすぐは21時~8時までが主な育児担当時間だったという。最近では「託児銭湯パパママゆっくり入浴Day」の主催なども行なっている。
今回の対談で、育児の中で大活躍しているアイテム紹介だけでなく、育児の面白さや大変さなど“パパあるある話”にも花が咲いた。
高性能のスマートフォンと育児アプリは必須!
岡田 僕の子どもは1歳9か月。元気いっぱいに歩き回って、あちらこちらの扉や引き出しを開けようとするんです。危ないところにはストッパーをつけて対応しています。新しいことができるようになる度に「もうこんなことができるんだ!」と喜ばせてくれます。
ヨッピー うちはもうすぐ11か月で、伝い歩きをしています。つかまり立ちしながらEテレ見てリズムを取る姿なんかは可愛くて仕方がない。日々いろいろな表情や動きを見せてくれるので、つい写真や動画を撮っちゃうんですよ。
岡田 わかります! mixiがやっている家族アルバムアプリの「みてね」というサービスは重宝しています。家族間で子どもの写真を共有でき、コメントとかもつけられるのは嬉しい。離れて住んでいる祖父母などに成長をリアルタイムで見てもらえるというところもいいですよね。
ヨッピー mixiさんに「『みてね』は儲からないから辞めます、サービス継続してほしかったら10万円払ってくれ」ってもし言われたら、僕は払っちゃうと思う(笑)。ここに入っている動画や写真が無くなるくらいならって。
岡田 子育てに必須のインフラですよね。スマホのホーム画面にアプリを設定することで、1か月前とか1年前の今日とかの写真が表示されるんです。可愛くてつい押して見ちゃいます。
ヨッピー アップロードした動画や写真を繋ぎ合わせたムービーが届くのも嬉しいですよね!
岡田 子供が生まれる予定の人に「産まれる前に何買ったらいい?」って聞かれたら「いいスマホとでかいデータ容量」って言うようにしています(笑)。え? と思われるかもしれませんが、気がつけば写真や動画をたくさん撮っていて「みてね」に共有してますし、外付けのデータにも写真や動画がたくさん入っています。
育児を楽しむための「家事の効率化プロジェクト」を遂行せよ!
「Amazon Echo Show 5」で “ちょっと不便”を解消する
ヨッピー 今でこそ「楽しいじゃん!」って思える育児ですが、子どもが産まれる前は実は結構びびってました。Twitterとかで育児が辛いとかネガティブな情報がたくさん入ってきていたので、相当気合を入れなければと。そこで、妊娠がわかってスタートさせたのが「家事の効率化プロジェクト」。そのプロジェクトの中で活用しているもののひとつが今日持ってきた「Amazon Echo Show 5」です。
岡田 スマートホーム化大事ですよね。うちもGoogle Home使っています。小さくて丸い形なんですが、ヨッピーさんが持ってこられた製品の方が液晶画面があっていいですね。
ヨッピー ちょっとしたいろいろな手間がこれを使うことで無くなるんですよね。テレビやエアコンのリモコンって子どもが齧ったり触ったりと大好きなアイテム。そのため手が届かないところに置くと、今度は大人が使いにくい。でも「アレクサ、〇〇して」と言えばいいのはとても便利。ほかにも、おむつ替え中など手が離せないタイミングで来客のチャイムが鳴った時にも大活躍。インターフォンに「SwitchBot」をつけて連携しておけばオートロックを開けてくれます。
岡田 効率化といえば、僕はスマートホーム化以外だと、洗濯機の側に衣装ケースを置き、すぐ片付けられるようにしました。毎日の洗濯物の量がすごくて頻繁に回します。そこで、洗濯機と片付ける場所を近くすることで、家の中を何度も往復しなくてよくなりました。
ヨッピー 動線を意識するって大事ですよね。家事の効率化を意識して、ドラム型洗濯機とか食洗器とか、ホットクックとかも買いましたが、ただ買うだけじゃだめ。そのアイテムを最大限活用して、より効率的に使うにはどうしたらいいかっていう視点は大事ですね。
岡田 いろいろ考えなくとも身体が勝手に動く、そして作業が終わっているという風にするのは重要ですよね。いい食洗器を買っても、非対応の食器ばかりじゃ意味ないですからね。
ヨッピー そういう意味では、そもそも住んでいる家も子どもを産み育てることに適しているのかって考えた方がいいですよね。子どもが小さいうちは家が狭くてもいいとおっしゃる方もいると思うんです。でも、絶対に物は増える。物が増えると部屋がごちゃごちゃし始めて余計な手間が増えることもある。
あとは、子どもがギャン泣きして、二人ともが睡眠不足になっては意味ないので、寝室とかも分けた方がいい。そう考えると、できれば少し広めのお家に奥さんが妊娠中に引っ越した方がいいと僕は思いますね。生まれちゃうとバタバタするので。
最新アイテムを使えば、自分の時間だって作れちゃう!
赤ちゃんの動きを感知し、ふとした瞬間を記録に残す「Cubo Ai」。
岡田 これ、ベビーモニターですよね。うちのはもうちょっと無骨な感じのものを使っているので、可愛いフォルムだなぁって思いました。
ヨッピー 「Cubo Ai」って言うんです。これ性能がよくて、赤ちゃんが泣いていたり、うつぶせになったりしたら通知をとばしてくれる。顔認識もしているので、タオルが顔にかかっているなんていうのも通知してくれますよ。
岡田 すごいですね! 寝ている間に万が一のことがあったりするのも心配なので、こういう通知があるのは嬉しい。
ヨッピー これも、出産前のびびってた中で購入決定したものです(笑)。ちょっと高かったんですが、買ってよかった。しかも、映像も録画してくれているので、思わぬお宝映像が撮れていることもあるんですよ。
岡田 我が家でも「Cubo Ai」を検討しようと思います。ほかの部屋で何かをしているときに、子どもの様子がわかるというのは本当にありがたいですよね。離れて仕事とか家事とかは行ないつつ、いざというときはすぐ駆けつけられる。
ヨッピー 小さいうちはお風呂にゆっくり入れないとかもありますが、例えば古いスマホを風呂に持ち込んでベビーモニターとリンクさせていれば、子どもの様子は見つつも、気を張り過ぎずにゆっくりお風呂に浸かれますしね。うちの奥さんの長風呂は恒例です(笑)
岡田 先ほどの家事の効率化の話もですけど、いろいろなアイテムを上手く利用することで、手を抜けたり、時間が生まれたりするんですよね。
ヨッピー 僕が出産前にびびっていたように、子育てに関してネガティブな情報の方が目に入っちゃいがちな現状はあるのかなと思うんです。正直、赤ちゃんごとの違いもあるのは重々承知な上であえて言っちゃうと、今となれば、想像していたよりはしんどくないし、そんなにびびるほどのことでもないなって思います。育児自体はそんなに大変じゃない。
ただ、育児に家事とか仕事とかが絡んでくるから大変になることがある。だったらその家事や仕事を育児中にどうやってうまく回せばいいのかというのを考えて、そのために必要なアイテムやサービスを使えばいいと思うんです。夫婦で協力して、育児家事仕事を分担し、効率化できることは効率化することで、育児の「楽しい」面がたくさん見えてくると思うんです。
岡田 僕が本を書いた動機が「なんでこんなに楽しくてめちゃくちゃいい時間のことがあまり耳にはいってこないんだろう?」って思ったからなんです。僕も育児がスタートする前はヨッピーさんと同じく育児に対して不安な気持ちがありました。特に考えていたのが「ひとりの時間」が取れるのかということ。僕にとっては「ひとりの時間」はとても大切な時間で、ひとりで行動することが大好きでした。それが無くなるのかな……どうなるんだろう……と。
実際育児をしてみて、物理的な「ひとりの時間」は確かにぐっと減りましたが、子どもに自分の時間がとられているという感覚は全くない。育児が自分の時間の一部のようになっていて、育児しつつも自分の時間もあるというのが上手く重なり合っているんですよね。そういう感覚になれたことが意外でしたし、新たな発見でした。「そういう側面も、事前にもっと知れるといいのに!」って思いましたね。
※本原稿は前編です。後編のリンクはこちら
岡田悠
1988年生まれ。一児の父。会社員兼作家。旅行記を中心に様々なWebメディアで執筆。我が子への手紙を本という形で記した『1歳の君とバナナへ』が大好評発売中。その他著書に『0メートルの旅』(ダイヤモンド社)、『10年間飲みかけの午後の紅茶に別れを告げたい』(河出書房新社)がある。
ヨッピー
1980年生まれ。一児の父。ライター。ライター以外にも、お出かけメディア「SPOT」の編集長や、講演、イベント主催などを行なう。子育てをしている親にゆっくりお風呂に入ってもらいたいという思いから託児銭湯も主催。著書に『明日クビになっても大丈夫!』(幻冬舎)がある。
取材・文/田村菜津季 撮影/五十嵐美弥(小学館写真室)