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ノバレーゼが10年前に奨学金返済支援制度を導入した理由

2022.09.16

■連載/あるあるビジネス処方箋

前々回(その1)、前回(その2)と、ウエディングプロデュース・レストラン運営の(株)ノバレーゼの「奨学金返済支援制度」を紹介した。(その1)では制度の概要、(その2)は制度利用者の社員にインタビュー取材を試みた。

その1はこちら
その2はこちら

最終回の今回(その3)は、制度の企画立案や運営をする総務人事部マネージャーの幡 明恵さんと広報室長の松井 環さんに話を伺った。

Q.制度を2012年に導入したいきさつをお教えください。

松井:発案者の一人は、奨学金受給者でした。2012年当時、入社5年目だった総務人事部の社員です。私たちの婚礼業界は、土日祝日に出社する場合もあります。女性も多く、家事や育児との両立などが難しく、転職や離職を考える者もいました。

広報室長・松井 環さん

「企業は人と環境がすべて」という経営方針のもと、働きやすい環境を2000年の創業当時から整備してきました。職場環境の改善を進める中で知った現場の社員の声が、「奨学金返済の負担が大きい」だったのです。総務人事部で社員への聞き取り調査を実施したり、社長や役員が奨学金を返済する社員にじかに聞くことをしました。全社員の約3割が学生時代に奨学金を受給していることもわかってきたのです。

導入の際の大きなハードルとなったのが、「平等」という考え方でした。その1つが、奨学金を借りていない社員との差です。例えば、会社に入社した後に何らかの消費財を金融機関からの借入で購入し、毎月、一定額返済する社員がいるかもしれません。そのような社員との差です。会社としては、消費財購入の借入を肩代わりすることは、ある意味で公平とは言えないと考えたのです。

もう一つの検討課題が、「会社が社員の懐事情まで関与すべきなのか」という点でした。最終的には「学生時代の家庭の財政事情は、本人の責任によるものではない」という判断から、導入を決めたのです。

弊社は、役員と社員たちの精神的な意味での距離感が近いように思います。物理的にも近いです。ですから、制度を利用することを機会あるごとに勧めるのです。制度を利用しない社員がいると、その理由を尋ねることもあります。役員が制度の浸透に積極的ですから、管理職も安心して制度を使い、部下である社員たちに利用を勧めます。その意味では、風通しのよい風土なのです。

「奨学金返済支援制度」も他の制度と同じく、特に問題なく、社内にスムーズに広がりました。社外にも広がり、業界全体の福利厚生や人材の質の向上につながれば、と思っています。

ノバレーゼが運営する結婚式場のひとつ、大阪「旧桜宮公会堂」

Q.なぜ、勤続5年と10年の2回なのでしょうか?

幡: 1人の社員につき、勤続5年と10年の2回にわたり、返済の肩代わりをするという意味です。1回につき、最大で100万円。2回ですから最も多い場合で、200万円となります。仮に勤続10年の時点で奨学金の返済の残額が35万円ならば、その35万円を本人に代わり、支払います。

総務人事部マネージャー・幡 明恵さん

5年と10年の2回にわけたのは、総合的に判断したからです。長く働いてもらうためのインセンティブになることや、勤続年数が長すぎると社員たちにとってハードルが高くなるかもしれないことを考慮しました。

3年以上になると、キャリアについていろいろ考える時期になりやすいと思います。そのちょっと先ということで、勤続「5年」という節目にしています。5年になると、早い場合、マネージャーなどの管理職に昇格する場合があります。そのことも考慮しました。

Q.支給額にかかる税金や保険料までを会社が負担するのは、興味深いですね。

導入時には、支給額にかかる税金や保険料を加えるかまでは決定していませんでした。それぞれの社員が支給を受けたときの満足度を考え、所得税と雇用保険、社会保険(健康保険、厚生年金、介護保険 (40 歳以上対象))も支給することにしました。ある社員は「色々な条件で減額されることもあるだろうと思っていたが、満額の 100 万円が支給される ことを知り、社員を少しでも喜ばそうとする会社の姿勢をあらためて認識した」と話していました。

これからも、社員たちがより輝くことができる制度を導入していきたいと考えています。様々な職種の社員がいますので、それぞれの分野でも輝けるようにしていきます。

文/吉田典史

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