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アートでスラム撲滅を目指す美術家・長坂真護、作品集の第2章を飾る「Moon」の誕生エピソード

2022.09.11

2017年にガーナのスラム街・アボグボグロシーに訪れたのを機に、スラム撲滅を目標としたアート活動を始めた美術家・長坂真護氏。だが、その2年前、ある出来事をきっかけに絵描きの存在価値を見失ってしまうことになる。しかし、その挫折が、ガーナに結びつくことにもなる代表作「Mooon」シリーズを生み出すきっかけとなった。

長坂真護(ながさか・まご)
1984年生まれ。2017年6月、ガーナのスラム街・アグボグブロシーを訪れ、先進国が捨てた電子機器を燃やすことで生計を立てる人々と出会い、以降、廃棄物を用いたアートを制作し、その売り上げから得た資金でこれまでに1000個以上のガスマスクをガーナに提供するほか、私立学校やリサイクル工場を現地に設立している。貧困の抜本的な問題解決に向け年間約600のアート作品をつくり、販売することで資金をつくり、彼らの自立を促す努力を続けている。(撮影/中筋 純)

長坂氏:「Moon」、月のシリーズが誕生したのは2015年11月13日。フランス・パリで起きた同時多発テロがきっかけでした。同年8月に「二丁拳銃の女」という作品を発表したのですが、それはIS(イスラム国)によるテロリズムの横行に怒りを覚えて描いたものです。〝人を殺める道具(=銃)を人の誕生を妨げる道具(=コンドーム)で避妊すれば世界が平和になるんじゃないか〟そんな願いを込めました。

「二丁拳銃の女」(2015)

それでも残忍なテロが起きてしまった。長坂氏は、居ても立っても居られなくなり、多くの人が止めるのも聞かず、パリに飛び立った。そこで目の当たりにしたのは、爆弾テロによって穴ぼこだらけになった街。そして、死の恐怖に怯えるパリ市民の姿だったという。そんな悲惨な光景の中で長坂氏が感じたのは〝自分がものすごく無力〟だということ。

長坂氏:日本で「No War」「Anti War」と叫んだ絵を発表したところで、それは陰に隠れて石を投げるようなものだと思い知ったんです。絵描きとしての存在価値を見失ってしまった僕は、それから数か月、描くのをやめました。いや、描けなくなってしまいました。忸怩たる思いで無為にパリで過ごしていた、ある夜、ふと空を眺めると、満月が僕を〝見て〟いたんです。煌々と輝く、凛とした佇まいのそれに見つめられていると感じた時、悩んでいる自分がちっぽけな存在に感じると同時にリセットされ〝無〟の感覚になったのです。

犠牲者を悼むパリ市民。現実を目にしてしまった長坂氏は……。

それを機に考え方が変わったという長坂氏。戦争をなくすこことはできなくても、人に平和のイメージを提供することなら画家としてできる──。その時の感動、感覚を描き続けたいと思ったのが満月を描く、きっかけとなったのだ。

「Moon」の新作を制作する長坂氏。作品集には、別の写真が掲載されている。(撮影/中筋純)

長坂氏:だから描く時、あまり計算をしていません。円の中に、まっさらな感覚で色を乗せています。満月というと、黄色という勝手なイメージがありますが、赤くも白くも、時にはパールオレンジに見えることも。だからギリギリまでどんな色にするか決めていません。その日の心の色移り─それを和紙が吸収しているだけ。とても素直な作品なんです。

『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION長坂真護作品集』
著/長坂真護
発行/小学館
定価2200 円(税込)
判型:B20取・160ページ
2022年9月2日(金)発売
https://www.shogakukan.co.jp/books/09682416

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作品集から抜粋! 同じ月でも、異なる表現がなされている。

長坂氏:ガーナに行くようになってからは、月と一緒に蝶も描くようになりました。〝バタフライ・エフェクト〟という言葉をご存じでしょうか。1972年にある気象学者が講演で発表したのですが、簡単にいうと「蝶の羽ばたきは、地球の裏側でトルネードを引き起こす可能性がある」というカオス理論です。

作品集から抜粋! 満月の上に蝶が描かれているのが見て取れる。

長坂氏:ある時、「世界平和とかスラム撲滅とか、できもしないことを口にするのはどうかと思うよ」と諭すように言われたことがあるんです。すごく悔しくてね。だから、蝶が夢を追って活動して、やがて平和という渦を巻き起こせたらいいな─という気持ちから、蝶を描くようになったんです。それは今にも風に飛ばされそうなモンシロチョウ。それは僕の姿でもあるのです。

取材・文/寺田剛治


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