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リスキリングしたいけどモチベーションが続かない…ひとりよりコミュニティを活用して学ぶほうが長続きする理由

2022.09.05

最近、よく耳にする「リスキリング」。働き方の変化により、今後発生する業務などで役立つスキルや知識の習得を目的に学ぶ事を指している。周りが皆、学びを深めるモードになっていると、自分も何か学んでスキルアップしなければ、と焦りを感じるビジネスパーソンは多いかもしれない。しかし、忙しい日々の合間に取り組まなくてはならないだけに、一人ではモチベーションを維持することがむずかしいと感じていないだろうか。今回はそんな悩みを解決するひとつの策、“共に学ぶ”コミュニティの活用について取り上げたい。コミュニティで学ぶことで、どんな効果があるのだろうか。3つのコミュニティを参考に紹介する。

「モチベーション一人ではキープしにくい」のが本音

2022年7月に、本の要約サービス「flier」が全国の20~40代男女1,000人を対象に実施したアンケート調査の結果、約7割が「一人でモチベーションを維持することが難しい」と回答した。

またモチベーション維持・向上させる手段として、4人に1人以上が「誰かと一緒に学ぶ機会をつくる」と回答。

これらの調査結果から、スキルアップに向けた勉強は、多くの人が「一人で取り組む」よりも「誰かと取り組む」ことによって、モチベーションを維持/向上できる可能性があることがわかる。

ビジネスパーソンが共に学べるコミュニティ3選

そうしたなか、すでに「共に学ぶ」コミュニティは多く存在しており、最近、注目を集めているコミュニティがある。今回は、3つのコミュニティの運営者に、実際にどんな交流がされているのか、一人で学習すること比べたメリットを回答してもらった。

1.オンライン読書コミュニティ「flier book labo」

オンライン読書コミュニティ「flier book labo(フライヤー・ブック・ラボ)」は、本の要約サービス「flier」を手がけるフライヤーが提供する、2020年5月から始まったビジネス書好きに向けた月額制のオンラインコミュニティだ。

人気書籍の著者や有名企業の代表など、様々な分野の専門家がパーソナリティとなり、音声コンテンツの配信、パーソナリティを交えたオンライン読書会を開催。そのほかオンライン講座やクラブ活動を通してビジネスパーソンの学びを応援している。

月額5,500円(税込)で会員になることができ、フライヤー要約コンテンツ全2,900冊分が読み放題となる有料プラン(通常月額2,200円(税込)相当)も付いてくる。

2022年6月末時点で会員数は340人を超えており、立ち上げから2年で3.4倍に。男女比は「男性:女性=6:4」程度で、男性がやや多いが、女性も徐々に増えているという。年齢層は、30~40代のビジネスパーソンがメインだが、20代や学生も参加しているそうだ。

●コミュニティとしての強み

flier book laboは、ビジネスパーソンのリスキリングコミュニティとしてとらえた場合、どのような強みがあるのだろうか。株式会社フライヤー 新規事業担当 執行役員の久保彩氏は次のように解説する。

「flier book laboには、学びたい人を支える3つの環境があります。一つは、実践的に学びを深堀りする講座『book camp』の開催です。一方的に教わるのではなく、講師を中心に参加者同士による議論や実践結果を共有することを大切にしています。同じ取り組みに臨む仲間との交流は、実践する後押しと、互いが習慣的に学ぶペースメーカーのような存在になります。

2つ目は、参加者同士の学びの共有を促進する役割のチューターがいることです。仲介役としてコミュニティ全体の学びを促すことで、自然な学びへの入り口ができ、一体感が生まれます。

3つ目は、興味関心を広げるコミュニティ活動の開催です。交流を通して今まで触れてこなかった未知の領域に興味を持てるようになり『学んでみたい』『こうなりたい』という学びのモチベーションを刺激します」

●ビジネスパーソンたちの交流例

本コミュニティでは、実際、どんな交流がされているのか。

「book campは1ヶ月に1回の講座を4ヶ月間に渡って開催します。会員は受講してから次の講座までの1ヶ月間に、会員同士で企画した任意参加の勉強会で、モチベーションを維持しながら、日々の実践を支え合っています。例えば、『読書力養成講座』では、課題図書について、講座の前に所感を共有・議論する勉強会を開催しアウトプットの実践機会を増やすこと、事前に内容の理解を深めることに取り組んでいます。

また、コミュニティで学んだ内容をブログに書きとめ、メンバーに共有する活動も活発です。コメントをもらうことでモチベーションにつながることはもちろん、アウトプットによる記憶定着や、後から振り返って活用することに役立てているようです」

●一人学習との比較

一人で学習を行うのと比べ、本コミュニティを利用することで、どのような効果が得られるだろうか。

「一人で学ぶときよりも、学びやスキルが自分の中に定着します。それにはコミュニティでの学びが与える、次の3つの効果によるところが大きいと考えます」

(1)共有することで、経験数が増え、経験幅が広がる

「学びを身につけるには、実践・失敗・振り返りの繰り返しが重要です。『参加者同士で実践事例を共有することによって、学んだことを実践した結果の失敗も成功も、自分一人で経験する何倍も得ることができた』という参加者の感想があり、グループでの学習では経験数が一気に増えることがわかります。また、参加者する人の職種・業種などの多様なバックグラウンドが、『経験の幅』も格段に広げます」

(2)共有することが、自身の振り返りの精度を上げる

「コミュニティの活動では、自分が実践した結果を共有する場面がしばしばあります。そのためには自身を客観的に見た上で、行動や状況、結果を言語化する必要があります。一人で学ぶ場合、取り組み内容を言語化してまとめる人はごくわずかです。他者へ共有するための振り返りが、より精度の高いPDCAにつながります」

(3)チームでの学びが、挫折を防止し継続につながる

「挫折しそうになった時に、仲間や講師の存在は大きな助力となります。『発生する難所に対し、その乗り越え方を参加者や講師同士で議論・体系化していくことで、書籍の内容を実践できるようになった』という参加者の声があります」

「読書」を軸としたコミュニティならではのメリットが期待できそうだ。書籍を読んで終わりではなく、確実に実践したい人にとって好適な場となるだろう。

2.朝活コミュニティ「朝渋」

「朝渋」は、朝活コミュニティだ。「日本の朝を変える」を合言葉とし、主に2つの活動を展開している。一つは、新刊著者を招いたトークイベント「朝渋イベント」、二つ目は、仲間と朝活を楽しむオンラインコミュニティの場「朝渋コミュニティ」だ。

現在、300名のメンバーが参加しており、男女比は「男性:女性=4:6」で、女性のほうが多い。年齢は大学生から50代まで幅広く、多い年齢層は20代後半~30代前半となっている。

参加費について、朝渋イベントは無料、朝渋コミュニティは月額3,000円(税込)となる。

●コミュニティとしての強み

本コミュニティは、ビジネスパーソンのリスキリングを行うコミュニティの一つとして、どのような強みがあるだろうか。朝渋代表の5時こーじ氏は次のように話す。

「現代人は『時間がない』が口癖の人が多いと思います。何か学ぼうと思っていても日中は仕事、それ以外は可処分時間の奪い合いなので、まとまった時間を確保することがとても難しくなっています。そんな中、時間の確保の仕方として『早寝早起き』が有効だと考えています。2時間早く寝て2時間早く起きる。それだけで月に50-100時間ほど時間が生まれます。早寝早起きは3日坊主になりやすいので、コミュニティの力で仲間と早寝早起きに取り組んでいます」

●ビジネスパーソンたちの交流例

実際、どのような交流がされているのだろうか。

「朝の時間に活動する『部活動』が活発に開催されています。部活は運営が管理するものではなく、メンバーの挙手で活動がスタートします。英語部、読書部、ランニング部、スピーチ部、料理部など、現在100を超える活動があります。活動時間は朝に限定しているところが朝渋コミュニティの特徴です」

●一人学習との比較

一人で学ぶのと比べて、どのようなメリットがあるだろうか。

「学びの習慣化ができます。朝は仕事の連絡も来ませんし、静けさのなかで誰にも邪魔されない集中時間となります。その中で、同じモチベーションで仲間とともに学びをアップデートできるのが朝渋の魅力だと思います。周りが寝ている間に、早起きで毎日、スタートダッシュを切れると、仕事もプライベートもより充実すると思います」

「時間がない」というのが口癖の人は、朝の時間を有効活用する方法が見出される。特に早寝早起きが3日坊主になりやすい人にとって、コミュニティは大きな助けとなりそうだ。

3.「宇宙ビジネスの実践コミュニティ ABLab」

「宇宙ビジネスの実践コミュニティ ABLab(エイビーラボ)」は、宇宙ビジネスのオンラインサロンだ。宇宙ビジネスでの成功を志す人たちが集い、仲間をつくり、学び合って成長し、得たい未来のために活動する。

参加者の目的は多様だ。新事業への挑戦、キャリアアップ、仲間づくり、趣味など。いずれも自ら考えて行動する人々が集う。

参加は、学生は3,000円(税込)、それ以外は5,000円(税込)が月額会員費を支払うことで可能になる。

●コミュニティとしての強み

このコミュニティは、ビジネスパーソンのリスキリングにおけるコミュニティの一つとしてとらえると、どのような強みがあるのだろうか。本コミュニティを運営する一般社団法人ABLabの代表理事で、ファンブック株式会社代表取締役の伊藤真之氏は次のように述べる。

「グローバルで、中長期に渡りマーケット成長が期待できる『宇宙産業』をターゲットにして活動している点が強みです。実は、これからの宇宙産業で必要とされる人材は、宇宙の専門家だけではないのです。

例えば、営業、マーケティング、マネジメント、デザインなど、汎用的なスキルもまた人材が不足し始めています。様々な職種の方々が今のスキルに加えて宇宙ビジネスの知識を持つことで、自身の希少価値を高めることができます。しかも、宇宙業界はまだまだ小さい状況ですから、業界内での人脈形成も非常に容易です。

これまでのスキルや経験を活かしながら、自身の希少価値を容易に高めることができる。そして最も大切なのが、莫大な成長市場に早期に身を置くことができること。多くの人たちがまだ宇宙市場のポテンシャルに気づいていない今だからこそ、チャンスが大きい。5年、10年というスパンで考えれば、非常に投資対効果の高い活動になると思います」

●ビジネスパーソンたちの交流例

ビジネスパーソンたちは、どんな交流がされているのだろうか。

「活動のほとんどがSlackやZoom等のオンラインです。全国にメンバーがいます。ABLabで最も特徴的なのが、メンバー主体によるプロジェクト活動です。宇宙医療、宇宙教育、宇宙天気というように、テーマ別に様々なプロジェクトが立ち上げられ活動しています。自分の関心のある活動に、自分のペースでコミットしていく参加の仕方になります。

今年、宇宙医療プロジェクトの活動から『一般社団法人Space Medical Accelerator』という法人が誕生しました。メンバーが兼業で起業したのです。宇宙教育プロジェクトからも昨年1社誕生しており、ABLabでは創設3年ほどで3社がメンバーによって創業されています。

またオンラインイベントやリアルイベントを定期的に開催しています。イベントは、講演を聴くだけでなく、メンバー同士のディスカッションを組み込むのがABLab流です。アウトプットありきの活動にしたいと考えているためです。毎月開催しているリアルイベントの一つ『Cafe & Bar 流れ星』では、メンバーが無料で飲み食いしながら懇親できます。やはり肩肘張らないコミュニケーションが大切です」

●一人学習との比較

学びを一人で行うのと比べて、本コミュニティを利用することで、どのような効果が得られるだろうか。

「情報収集の効率が良いことや、人脈形成もワンセットでできること、継続の苦痛を和らげることなどがあると思います。

宇宙業界はまだまだ狭いですから、人と人とのつながりが非常に大事です。情報を収集するにも、詳しい人に直接聞けたり、紹介してもらえたりすることで価値の高い一次情報を得ることができます。

他の人に自分を紹介してもらえるというのも、コミュニティならではのメリットです。例えば、ABLabメンバーにデザイナーが数名在籍していますが、宇宙ビジネス関連でデザインが必要とされる際には、私は彼らを紹介しています。宇宙関連の知識もある程度持っているデザイナーのほうが、いざ仕事を進める際に話が早いですから。そうやって人のつながりから仕事の機会が増え、それが実績となってますます宇宙関連の仕事が舞い込むといった循環があると思います。

最後に、継続の苦痛を和らげるという件ですが、いくらチャンスが大きいとはいえ、ほんの数ヶ月、そこらで成果が出るほど甘いものではありません。3~5年くらいは地道に継続してこそ実を結ぶものです。一人では簡単に挫折してしまいそうですが、仲間がいれば楽しく続けられます」

●学習コミュニティの活用のポイント

伊藤氏は、これまでにABLab以外にも多数の学習コミュニティを多数支援している。コミュニティづくりの専門家として、学習コミュニティをより有効に活用するためのポイントを聞いた。

「スキルアップや知識習得を目的に含むコミュニティを支援するうち、そのほとんどのケースで重要だったのが、『アウトプットの場や機会を中心に設計すること』です。学習・勉強というとインプット系のコンテンツに目が行きがちですが、ディスカッションや発表、プロジェクト活動など、メンバー自身がコミュニティや社会に対してアウトプットできるような場や機会を提供することが重要だと考えています。それによって、インプットに主体性が生まれますし、モチベーションも高まります。メンバー同士の協力も自然と生まれます。

つまり、頑張って努力した人たちにスポットライトが当たるような仕組みです。そして、そのように輝きはじめた先輩方を見て、新メンバーたちも頑張れるのです。例えばABLabでは、展示会に出展したり、共同で論文を執筆したり、イベントを主催したりもしています。あらかじめ主宰側が、社会に対しアウトプットし、フィードバックが得られるような機会を設定してしまえば、そこに向かうために、学習・勉強にも火がつくのではないでしょうか」

宇宙ビジネスという限定されたテーマのコミュニティでありながら、その可能性は膨大だ。学びはもちろんのこと、人脈やビジネスチャンスの獲得にもつながるというのは、ビジネスパーソンにとって喜ばしいことといえる。

リスキリングに限らず、あらゆる学びにとってコミュニティ活用は有効な一つの手段といえそうだ。そのメリットが響いた人は、いずれかのコミュニティに参加してみるのもいいのではないだろうか。

取材・文/石原亜香利


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