新しいファームウエアでC-AF能力がアップしたOM SYSTEMのミラーレス一眼「OM-1」でオオタカの飛翔シーンを狙う
2022.08.28■連載/ゴン川野の阿佐ヶ谷レンズ研究所
ファームウエア1.2でC-AF能力アップ
OM SYSTEMのハイエンドミラーレス「OM-1」のファームウエアが6月30日に更新されVer.1.2へと進化した。その内容は動画撮影時の動作の安定性の向上、そして、静止画撮影時のC-AF(コンティニュアス オート フォーカス)の性能の向上である。コレは見逃せない。早速、ファームウエアをアップデートして、「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS」を使ってオオタカを撮影したみた。
ファームウエアは1.1から、1.2へアップデートされた。PCとカメラをUSB接続して、画像編集ソフト「OM Workspace」を利用してアップデートする方式
使用したレンズは200-800mm相当の100-400mm F5.0-6.3。画像のボディはOM-D E-M1MK2
こちらに向かってくるオオタカを認識
オオタカの撮影で難しいのが、奥から手前に向かって飛んでくるアングルだ。カワセミの場合は体が小さいので、横方向の移動しか絵にならないが、オオタカの場合は大型なので、カメラ目線で飛んでくるところを撮影したい。そうレンズカタログの作例にあるような1枚だ。しかし、実際に撮るのは難しい。なぜならオオタカはなかなか飛ばないから。1時間に1回、気分が乗らなければ2時間に1回も飛ばないこともある。どのタイミングで飛ぶのかは神のみぞ知る。
このため三脚が必要になる。撮影時に手ブレしなくて、1時間もカメラをホールドするのはつらい。飛びそうになったらカメラを構えるという方法もあるが、成功の確率は下がる。今回は手持ちで、飛びそうなタイミングを狙って撮影した。せっかく手持ちで800mmが使えるOM-1の特性を活かした方法で挑戦したかった。その結果、見事にカメラ目線のオオタカが撮れた。鳥の撮影は基本、AF-Cと被写体認識を組み合わせて高速連写モードを使うが、鳥の認識と自動追尾の性能が1.2になって向上した。AFの範囲は狭めにした方がよかった。また、被写体認識OFFの方が思った所にピントが合うこともあり、ボタンをカスタマイズしてうまくON/OFFを切り替える方法を探したいと思った。
飛ばずに地面を歩いたり、枝に止まったりしているオオタカは、かなり高い精度で鳥認識されAF-Cで追尾できる。さらに瞳にフォーカスが合うことが多い。手前に枝があったり、草むらに隠れたりしても正しく認識される確率が明らかに高くなっていた。OM-Dもファームウエアのアップデートでかなり高性能、多機能化を果たしているので、この伝統を受け継いで、OM-1も確実に進化を続けて欲しいのだ。
550mm相当で撮影してトリミング、青空をバックに飛ぶオオタカ、これはなかなか撮れない
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/1250sec、F7.1-0.3EV、ISO200
ヒマヤラスギの近く飛ぶオオタカ、こちらも550mm相当で撮影したものをトリミングした
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/1250sec、F7.1-0.3EV、ISO200
横方向に飛ぶオオタカを秒50コマで連写。1/1250secで完全に静止している
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/1250sec、F6.2-0.3EV、ISO200
ヒマラヤスギに止まろうとするオオタカ。尾羽が開いて脚を出している
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/1250sec、F7.1-0.3EV、ISO200
川で水浴びをするオオタカ。動きを出すために1/640secで連写している
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/640sec、F6.3-1EV、ISO640
770mm相当で撮影、オオタカの目にピントが合い続けた
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/640sec、F6.3-1EV、ISO640
逆光で手前に枝があるシーンだが、鳥認識でAFが追尾してくれた
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/640sec、F6.2-0.3EV、ISO6400
800mm相当で枝の中に止まったオオタカに狙いを付ける
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3 OM-1 1/640sec、F6.3、ISO4000
草むらに隠れた手前のオオタカの瞳を認識してAFがピシッと気持ちよく合った
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3+MC-14 OM-1 1/640sec、F9-0.3EV、ISO5000
1.4倍のテレコンを使って撮影、このサイズなら後ろ姿でも鳥認識が可能だった
OLYMPUS M.100-400mm F5.0-6.3+MC-14 OM-1 1/640sec、F9-0.3EV、ISO4000
写真・文/ゴン川野