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新型「レンジローバー」が他の高級SUVとは決定的に異なる理由

2022.08.27

■連載/金子浩久のEクルマ、Aクルマ

 フルモデルチェンジした「レンジローバー」には、すでに2002年1月に都内で開催された発表会で対面していた。外から眺め、シートに数十秒間腰掛けただけだったが、車内外ともに先代の洗練にさらに磨きが掛けられていることに感心させられた。新たに3列7人乗りモデルが選べるようになった点が新しい。PHEVのEVモード走行可能距離が延ばされたり、直列6気筒ディーゼルエンジンなどにも多くのアップデートが施されてもいる。先日、注目の7人乗りとディーゼル版に、それぞれ90分ずつ軽井沢とその周辺で乗ることができたので、その時の感想を紹介したい。

機械として優れているか?★★★★★5.0(★5つが満点)

 先代や先々代のレンジローバーを思い出してみると、その最大の長所は、まずはオフロードでの圧倒的な悪路走破性能の高さだろう。柔らかな砂や重い泥にタイヤを取られることなく前進していくし、ゴロゴロと転がっている岩場を上がっていったり、90センチ以上もの深さの川を渡ることもできた。ユタやアリゾナの砂漠やモロッコのアトラス山脈などで実際に確かめ、圧倒させられたことを良く憶えている。

 そうした道なき道を往くことに長けているのは、同じランドローバーブランドの他のクルマも変わらない。しかし、トップモデルである「レンジローバー」が違うのは、そうした悪路を走行している間でも、快適性がとても高いのである。強いショックを巧みに吸収して最小化し、大きく揺さぶられることもほとんどない。つまり、両立しているのだ。両立と言えばもうひとつあって、歴代レンジローバーは一般道や高速道路などの舗装路を走る時も、未歩走路と同様に快適性が高い。ソフトでありながら、しっかりと抑制された乗り心地と静粛性の高さは優雅な移動を約束してくれる。

 一般的にSUVは重心も高く、シートも高いところにある。そのことによって、多くのSUVはコーナリングやブレーキング時に前後左右に揺すられる幅が宿命的に大きくなってしまう。疲れるし、クルマ酔いの原因にもなってしまう。「レンジローバー」は、この前後左右の動きが上手にコントロールされている。かといって、ガチガチに固めてしまっているのではなく、ジンワリと穏やかなものに制御されているのは大いなる心地良さと安心感を生み出している。

 快適な乗り心地については、当然、走行中にタイヤから伝わってくるショックや細かな振動、ノイズなども見事に遮断されている。新型「レンジローバー」でも、そうした長所がどのように発展しているのか確かめたかったところだが、あいにくと舗装路では渋滞が続き、未舗装路を走ることもなかった。「レンジローバー」の持てるポテンシャルのほんの少ししか試せなかったことをお断りしておきたい。しかし、それでも低い速度域であっても、重厚でありながら繊細かつ柔らかな乗り心地は健在だったし、「D300」が搭載する3.0Lディーゼルエンジンのディーゼルとは思えない細やかな回転フィールとノイズと振動の小ささには驚かされた。

 それには理由があって、このディーゼルエンジンはマイルドハイブリッド(MHEV)化されているのである。発進時や加速時に電気モーターがエンジンをアシストするので、トルクに切れ目がなく、滑らかな加速が行なわれる。

 このディーゼルエンジンは、最高出力300PS/4000回転、最大トルク650Nm/1500~2500回転を発生する。最高速度218km/h、0-100km/h加速も6.9秒と出足もいい。マツダやBMWのクリーンディーゼルエンジンの中には、ひと昔のディーゼルとは違って、ガソリンエンジンのように軽やかに回転し、騒音も振動も小さなものが現れてきた。しかし、この「レンジローバー」の直列6気筒はその上を行っている。特に印象的なのは、右足の細かな踏み込みに対する追従性の良さだ。また、走行中はタイヤノイズに掻き消されてしまうエンジンノイズも、停車中のアイドリングではけっこう大きく響いたりするものもある。しかし、このエンジンはそれも小さい。

 それに対して「P530」が搭載するガソリンエンジンは最高出力530PS/5500~6000回転、最大トルク750Nm/1850~4600回転を発生する。最高速度250km/h、0-100km/h加速も4.6秒と速い。スペックとしては過激な加速をしてもおかしくないものだが、そんな素振りはまったく感じられなかった。タイヤが23インチに大径化された(試乗した2台ともサイズは285/40R23)のも新型の特徴だが、乗り心地が硬く感じられたり、路面の変化に敏感になったりする弊害は感じられなかった。

商品として魅力的か?★★★★★5.0(★5つが満点)

 試乗した「P530」は3列7人乗り仕様だったので、2列目と3列目のシートの折り畳みを試してみた。すべての操作が電動化されていて、ヘッドレストの上下すらボタンひとつで行うことができるのは徹底している。メモリーやショートカット操作なども可能なのだろう。1列目と2列目をあまり後ろにスライドさせていなければ、3列目は大人でも十分な空間は確保される。

 3列7人乗り仕様の追加と併せて、バリエーションが増えたことが新型の特徴となっている。パワートレインが4種類。前述のマイルドハイブリッド化されたディーゼル、3.0Lガソリンエンジンと組み合わされたプラグインハイブリッドが2種類、前述の4.4Lガソリンエンジン。

 プラグインハイブリッド版には試乗することができなかったが、自宅や職場などで充電できる人には検討の価値があるだろう。限られた試乗だったが、マイルドハイブリッド化されたディーゼルエンジンを積む「D300」には、とても良い印象を受けた。昨年、フルモデルチェンジを行なったフォルクスワーゲン「ゴルフ」のリポートでも書いたが、マイルドハイブリッド化は走行感覚を確実に上質化する。

「レンジローバー」は元々、サスペンションやシャシーなどが洗練されていたが、そこにこのマイルドハイブリッド化されたディーゼルエンジンが搭載されるのだから、より効能は大きいだろう。長距離を走れば、さらなる美点に気付かされる予感がしてくる。価格も1687万円(消費税込み)からと、だいぶ上がってしまったが、それだけの内容は持っているのではないか。ちなみに、試乗した「D300」の車両価格は2031万円(プラス、オプション104万9630円)、「P530」の車両価格は2224万円(プラス、オプション160万2702円)。

 ライバルとなる大型高級SUVは、各メーカーから発売されてきているが、洗練された乗り味やタッチの上質さなどは「レンジローバー」に一日の長があった。新型は、その差を拡げたようだが、いずれにしても改めて長距離&長時間の試乗を行ないたいと思った。良い意味で消化不良になった。

■関連情報
https://www.landrover.co.jp/vehicles/new-range-rover/index.html

文/金子浩久(モータージャーナリスト)


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