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待望の作品集が発売!廃棄物を使用したアートでガーナのスラム撲滅を目指す美術家・長坂真護はなぜ描き続けるのか?

2022.08.28

ここ数年、本来なら捨てられる運命のもので作品をつくり出す〝廃材アート〟が注目を浴びている。その中で、各界から群を抜いて注目されているのが、ガーナのスラム・アグボグブロシーに投棄されている先進国の廃棄物を用いたアート作品をつくる美術家・長坂真護氏だ。そんな彼の作品集『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION』(2200円)をDIME編集部で制作し、ついに発売された。環境問題を訴えるアーティストは決して少なくない。が、長坂氏は他と何が違うのか? 長坂氏に話を聞いた。

長坂真護(ながさか・まご)
1984年生まれ。2017年6月、ガーナのスラム街・アグボグブロシーを訪れ、先進国が捨てた電子機器を燃やすことで生計を立てる人々と出会い、以降、廃棄物を用いたアートを制作し、その売り上げから得た資金でこれまでに1000個以上のガスマスクをガーナに提供するほか、私立学校やリサイクル工場を現地に設立している。貧困の抜本的な問題解決に向け年間約600のアート作品をつくり、販売することで資金をつくり、彼らの自立を促す努力を続けている。(撮影/中筋 純)

NAGASAKA MAGO ALL SELECTION
著/長坂真護 (小学館)
2200円
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長坂氏:僕は〝作品を通して語りかけるだけ〟のアーティストとは異なります。作品について自身の口で語りまくるし、常にマネタイズも考えている。それは現在の資本主義をアップデートした〝サステナブル・キャピタリズム(持続可能な資本主義)〟を確立したいから。従来の経済システムは、競争原理の下に富を謳歌する勝者と、搾取される敗者や環境破壊を生み出してきました。が、経済・文化の発展と環境保全を矛盾させることなく、循環させた社会を構築すれば、経済格差、人権問題、環境破壊といった社会の歪みを解決できると考えています。

サステナブル・キャピタリズムの実現のため、長坂氏は年間600以上!! もの作品をつくり続けているという。その数を聞いただけで、その大変さは想像に難くないが、理由がある。

スラムの住人は電子ゴミを燃やすことで得られる金属を売り、1日500円程度の賃金を得ているものの、廃棄物を燃やしたガスに含まれる有害物質に蝕まれ、若くして命を落とす人が多い。

アグボグブロシーには毎年、先進国から年間25万トンもの電子ゴミが搬送され、東京ドーム32個分にも及ぶ広大な土地を覆い尽くしている。

長坂氏:今、僕が解決したいと考えているのが〝電子ゴミの墓場〟と呼ばれているガーナのスラム撲滅。ガーナに集まっている世界中のゴミは、マイナスの度合いが高い。そのゴミをアートにするとプラスのエネルギーが加わり、作品が売れるほど、ゴミが削減され、さらにスラムの環境を改善する事業に投資できるというサイクルが生まれるのです。一刻も早くガーナのスラム街にサステナブルな社会を提供したい。だから、作品を買ってもうために手も口も動かし続けます。

なぜ、彼は日本から遠く離れたガーナのスラム撲滅のために、描き続けるのだろうか? 

「Plastic Boy」(2018) 
無作為にものを燃やし続けると、溶け出した成分が肌に付着し、人間もプラスチックでできたプロダクトになってしまうのではないか。初めてガーナに行った際、焼き場で見た衝撃を物語る1枚。

「Ghana」(2021)
キャンバスに貼り付けられているのはリモコンやキーボード、コンセントなどの電子ゴミ。それらをガーナの国旗カラーで彩色した。

「The Muntaka sculpture」(2021)
ものを燃やし続けると性別も機械もすべてが融合してしまうのではないか? そんな危惧を立体で表現。男性でありながら腹部に子供を宿している。

長坂氏:今や作品に数千万円もの値がつくようにもなりましたが、ほんの数年前までは、頭に〝売れない〟がつく路上の絵描きでした。が2017年、たまたま経済誌『Forbes』に掲載されていたゴミの山に子供が佇んでいる報道写真を見たのを機に、世界のゴミ事情に興味を持ち、調べるうちに〝世界最大級の電子ゴミの墓場〟と呼ばれるガーナのスラム街・アグボグブロシーの存在を知ったのです。そこで目にしたのは、日本を含む先進国が出したゴミの後始末を貧困国に押し付けているだけ……という、紛れもない資本主義の真実。この不条理を見なかったことにするのか、それともガーナのためにアートを捧げるかーーと悩んだ僕は、後者を選びました。

「Ghana’s son」(2018)
「ガーナ」シリーズで初めて1500万円もの高値をつけた作品で、長坂氏がガーナのスラム撲滅活動を始めるきっかけとなった。

長坂氏:スラムを題材にした作品を描いているうちに、上の作品「Ghana’s son」が1500万円というトップアーティストレベルの高値をつけたのです。その時、うれしさよりも、なぜ? という思いのほうが強く、描いた作品の前に座り込んで考え続けました。そしてたどり着いたのは、この絵が売れたのは自分の技術ではない、スラムで暮らす彼らが深い闇から放つ希望が、1500万円という価値を与えたんだ……という答えでした。だったら、その恩を返すために全額、彼らのために使おう! と思ったのです。

早速、長坂氏は行動に移す。スラムには教育を受けていない子供たちがたくさんいた。そこで、誰もが通える完全無料の私立学校「MAGO ART & STUDY」をつくることにしたのだ。教師を雇い、簡単な屋根のある建物と文房具などを揃えても、かかる費用は月額で数万円。これならば、あの絵が売れた利益で、長坂氏が死ぬまで学校運営ができる! と思ったのだという。学校といっても7坪程度だが、英語、算数、アート、社会、環境問題を学べるように。これをきっかけに、2022年夏までのわずか数年の間で、スラム初の文化施設「MAGO E-Waste Museum」(2021年に政府によるスラム街クリーンアップにより消滅)、スラムに文化と雇用、社会貢献を生み出す施設「MAGO GALLERY Agbogbloshie」などを設立し、彼らの自立のサポートをしたのだ。

そう、〝作品を通して語りかけるだけ〟ではなく、行動をしたのだ。そんな長坂氏のアート活動を一冊にまとめたのが、『NAGASAKA MAGO ALL SELECTION』だ。同書の発売は、9月10日(土)〜11月6日(日)まで上野の森美術館で開催される「長坂真護展 Still A “BLACK” STAR」に合わせたもの。長坂氏の作品を見れば、近年叫ばれているSDGsとは何か? そして自分に何ができるか? 考えるきっかけになるはずだ。

会期:2022年9月10日(土)~11月6日(日) 
開館時間:10:00~17:00 ※入館は閉館の30分前まで
前売券:一般1300円、高校・大学生・専門学校生900円、小・中学生500円
当日券:一般1400円、高校・大学生・専門学校生1000円、小・中学生600円

NAGASAKA MAGO ALL SELECTION
著/長坂真護 (小学館)
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取材・文/寺田剛治


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