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マンションは管理の質で選ぶ時代へ、今年4月の法改正で何がどう変わったか?

2022.08.25

近年、マンションの老朽化に伴う管理が困難な状況が増えたことを背景に、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」が改正され、2022年4月より施行された。今後は、マンション管理がより重要視されるようになり、「マンション管理の質」によってマンションの価値が図られるようになるといわれる。

そこで今回は、マンション建て替えに詳しい、旭化成不動産レジデンス マンション建替え研究所 所長 重水丈人氏に、法改正についての解説とともに、マンション管理の実状と課題、法改正による影響などを聞いた。

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」の改正とは?

「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」とは、平成13年8月1日に施行された法律で、マンションの資産価値を守り、快適な住環境を維持することを目的としている。マンション管理業者向けの業務規制等が設けられている。

このたびの法改正では、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を国が策定することになったほか、地方公共団体によるマンション管理適正化が推進されることとなった。

具体的には、地方公共団体が適切な管理計画を立てたマンションを認定し、必要に応じてその管理組合に指導・助言などを行う。

●地方公共団体によるマンション管理適正化の推進

○マンション管理適正化推進計画制度 ・・・基本方針に基づき、管理の適正化の推進を図るための施策に関する事項等を定める計画を作成(任意)

○管理計画認定制度 ・・・マンション管理適正化推進計画を作成した地方公共団体は適切な管理計画を有するマンションを認定

○管理適正化のための指導・助言等 ・・・管理の適正化のために、必要に応じて、管理組合に対して指導・助言等

出典:国土交通省「マンションの管理の適正化の推進に関する法律の一部改正等について」

制度改正の背景には、管理が困難な老朽化したマンションの急増が予測されることなどが挙げられる。国土交通省によると、築40年を超えるマンションのストックは、2021年末時点で115.6万戸あり、10年後の2031年末には約2.2倍の249.1万戸に、20年後の2041年末には約3.7倍の425.4万戸になると予測されている。こうした状況を受け、改正では、より一層のマンション管理の底上げを推進されている。

重水氏は、改正について次のように解説する。

【取材協力】
重水丈人氏
旭化成不動産レジデンス株式会社 マンション建替え研究所 所長
1997年 名古屋大学法学部卒。2008年から不動産コンサルティング(相続・借地・開発・売買等)に従事。マンション開発では東京・名古屋・大阪・福岡の全拠点を経験。上熊本ハイツマンション建替えなどに事業担当として携わったほか、旭化成が関わるマンション建替えを網羅的に支援。再開発プランナー等。
著書:「マンション建替えのすすめ方」(プログレス)共著
https://www.afr-web.co.jp/tatekae-lab/index.html/

「今回の法改正は、行政がマンション管理に積極的に関与すべきことを明確にしたものです。自治体に管理適正化推進計画を定めることを求め、また行政が管理状況を把握するために管理計画認定制度が設けられました。この制度はあたかも『マンションの格付け』のように見られがちですが、そもそもの意味合いは違うところにあると考えます」

法改正でマンション管理業界はどう変わるか

法改正によって、より一層、マンション価値の維持・向上のために「マンション管理の質」が重要視されるといわれている。実際、マンション管理業界はどう変わるだろうか。重水氏に意見を聞いた。

「マンション管理業界については、ある時期までは各社が『量的な拡大』を目指し、その結果として管理業務委託費の値下げ競争状態に陥っていたように思います。しかし昨今、マンション管理会社は、窓口業務・理事会や総会の運営補助・会計業務を担うだけでなく、それらを効率的に行い、プラスαのサービスを提供する業態に進化しつつあると思います。

例えば、提供するサービスの質を向上させる一方で、適正な管理業務委託費をもらい受ける方向に変わりつつあると感じます。また、管理会社によっては、第三者管理を積極的に受託しているという話も耳にします。さらに、マンション管理におけるIT化も進んでいます。コロナ禍で理事会のテレビ会議の活用が進み、最近はアプリの利用で、紙の使用を減らす試みもされています。

こうした中、法改正により、行政が積極的にマンション管理に関与していくことになったことで、管理会社は、管理組合をいかに適切かつ効率的にサポートしてマンションの付加価値を高めることができるかが、評価されるポイントになると考えています」

●国と管理組合にとってのメリット

国や管理組合にとってもメリットが見込めるという。

「そもそもマンションは私有財産であるため、行政も深く関与していなかったのが実情でした。しかし、規模が大きな建物が老朽化し、廃墟化してしまうと街の景観や治安にも大きな影響を与えるために、今回の改正で行政もマンション管理に積極的に関与するような方向性が示されました。今回設けられた『管理状況届け出制度』は、行政が、マンションの管理について基本的な情報を手に入れる手段となります。

また管理組合にとっては、自分たちのマンション管理で足りないところを認識するきっかけとなることでしょう。管理組合がマンションの抱えている課題に気付き、また行政が課題のあるマンションに対して助言や指導をすることで、問題が深刻化する前に対応できる余地は広がると思います。

もっとも、マンション管理は区分所有者自身の問題です。多くの人が、適切に管理することで、資産価値を守ることができると気付くことが、マンション管理を適正化する上で最大のポイントになるでしょう」

●SDGsにも貢献

重水氏によれば、資産価値の視点からは、SDGsにも貢献できる見込みがあるという。

「欧米では、築年数が経過した建物でも適切に管理されていれば、資産価値が減るようなことはないと聞きます。一方で、我が国では築後30年も経過すると建物の評価は大きく下がるのが一般的です。建物取得に投下した資本以上に建物価値が上昇することは、建物所有者にとって良いことであるとともに、我が国全体の資産価値の向上にもつながります。

また、適切に管理することで、永きに渡って利用できるマンションが増えることは、SDGsの観点からも望ましいことではないでしょうか」

マンションを購入する側への影響

法改正を受け、マンションを購入する側としては、どのような変化が生じるだろうか。中古マンションと新築マンションそれぞれについて、購入時に押さえておきたいポイントを重水氏に解説してもらった。

1.中古マンションについて

「1980年代前半までに竣工したマンションを購入するときは、耐震診断の状況を確認しましょう。耐震性に問題があるマンションで、のちに耐震補強をするときには相応の改修費用の負担が生じます。

また、修繕積立金の残高と過去の修繕履歴の確認、及び毎月の修繕積立金額にも注意しましょう。国土交通省ではマンションの規模ごとに修繕積立金の目安を公表しています(おおむね200円/平米前後)。これを大きく下回る積立金額となっているマンションは要注意です。

さらに、築後40年くらいを迎えているマンションの場合は、『現時点で建替え等の検討がされているか否か』も確認しましょう。具体的な計画があるときには、その概要も把握するようにするのをおすすめします」

2.新築マンションについて

「立地や建物の質が適切であるかどうかを見極めましょう。特に豪華すぎる共用施設は、高級マンションには必要な部分ではあっても、維持修繕等に思いのほか費用がかかることがあります。将来的に売却することも視野に入れた物件選びができるとよいでしょう。

物件の見学は、昼間だけでなく夜もできるとよいですね。時間帯ごとに周りの状況を確認するようにしましょう。また管理費や修繕積立金の額が不当に低額でないか確認するのをおすすめします」

マンション管理が適正化することで、よりマンション管理の質や資産価値向上が期待できるようになる。マンションを見るときには、今後、マンション管理という視点からとらえると、より正確にマンションの価値を把握することができるようになるだろう。

取材・文/石原亜香利


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