従業員の負荷の大きい飲料補充業務を行なう人工知能ロボット
Telexistenceは、独自開発した人工知能ロボット「TX SCARA」の国内量産を開始。まずはファミリーマートが主要都市圏にて展開する300店舗に、2022年8月下旬から順次導入を開始すると発表した。
Telexistenceは、ロボットを変え、構造を変え、世界を変える、をミッションとし、遠隔操作・人工知能ロボットの開発およびそれらを使用した事業を展開するロボティクス企業。
ハードウェア・ソフトウェア、AI、遠隔操作技術を一貫して自社で開発しており、ロボットの活躍の場を工場の外にまで広げ、労働に関わる社会の基本的なあり方を変革することを目指している。
そんなTelexistenceが開発したTX SCARAは、店舗従業員への作業負荷の大きい飲料補充業務を24時間行ない、これまで人間が行なっていた飲料補充業務を完全になくすことを目指した人工知能ロボット。
この人工知能ロボットの実装により、店舗ではで新たに創出される時間的な「余剰」を活用することで、店舗の労働環境や売り場の更なる質的向上、または店舗あたりの採算性改善が期待できると、同社では説明している。
NVIDIA Jetson TX2モジュールを頭部に、足部に同 AGX Xavierモジュールを搭載
技術的には、NVIDIA Jetson TX2モジュールを頭部に搭載し、カメラから入力される映像の伝送に活用。また、足部にNVIDIA Jetson AGX Xavierモジュールを搭載することで、AIによる自律動作機能を実現している。
例えば、TX SCARAはコンビニで販売される飲料の種類と形状を問わずすべて同じロボットハンドで掴めるよう、アームの強度、カメラの画角が工夫されている。これに加え、NVIDIA Jetson AGX Xavierの搭載により、飲料によって異なる最適な把持点の認識など、画像認識のニューラルネットワークを並列で実行することで機能向上を実現した。
商品の陳列タイミングの予測やスケジューリングを実行
また、TX SCARAは飲料の在庫状況を24時間モニタリングする。AIシステム「GORDON」ではこれを受けながら、商品の陳列タイミングの予測やスケジューリングを行ない、TX SCARAへの飲料補充の指示を行なう。このGORDONの学習環境には、AIワークステーションであるNVIDIA DGX Stationを採用。多様なパターンでの商品陳列のシミュレーションを行なうことで効率的で最適な画像認識のモデル作成を実現している。
想定していない環境変化が原因でAIによる陳列が失敗した場合、TX SCARAはTelexistenceモード(遠隔操作)に移行し、遠隔操作オペレータがVR操作で修正。3D映像伝送の遅れにより視覚と身体感覚との操作のずれが発生しおこる「VR酔い」を防ぐため、遠隔操作システムにはNVIDAのGPUで高速化されたパワフルなコンピューティング性能を活用している。
さらに、TXは、TX SCARAによるロボットソリューションサービスのクラウドプラットフォームに「Microsoft Azure」 を採用し、ロボットのタスクマネジメントシステムに活用している。
飲料の在庫状況を24時間モニタリングするTX SCARAがスキャンした在庫情報は、Microsoft Azureのクラウドシステムがデジタルツイン情報として把握。AIシステム「GORDON」はこれを受け、各店舗のこれまでの売上の傾向や時間帯別の需要から最適な飲料陳列を予測して、TX SCARAが次に実行する陳列タスクを判断して指示を行なう。
Microsoft Azureを活用したTX SCARAのクラウドシステムでは、TX SCARAが稼働するコンビニ各店舗での売れ行きを示すデータベースを維持管理している。これによりTX SCARAがリアルタイムでスキャンする現在の在庫情報と、蓄積された過去の売れ行き動向から計算された最適な陳列タスクを予測、実行することが可能になり、店舗における品切れを最小限にすることができるという。
関連情報
https://tx-inc.com/ja/top/
構成/立原尚子
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