新型コロナに感染した8人に1人が後遺症を発症している可能性、フローニンゲン大学研究報告

8人に1人がCOVID-19罹患後に後遺症を発症

新型コロナウイルス感染症（COVID-19）に罹患した人の多くが、罹患後に長引く症状や新たに出現した症状を報告する。

しかし、実際にどれくらいの人がそのような後遺症に悩まされているのかは、これまで不明だった。そうした中、フローニンゲン大学（オランダ）のJudith Rosmalen氏らが実施した研究により、およそ8人に1人（12.7％）にCOVID-19の後遺症が生じていることが明らかになった。この研究の詳細は、「The Lancet」2022年8月6日号に掲載された。

Rosmalen氏は、「COVID-19罹患後に一部の患者が経験する長引く症状の程度や領域に関するデータが緊急に必要とされていた。しかし、後遺症に関する過去の研究のほとんどは、COVID-19と診断されていない人や、COVID-19の診断を受ける前段階での症状の出現頻度については調べていない」と説明する。

本研究では、オランダ北部の住民の健康と健康に関わる行動について検討している前向きコホート研究のデータを用いて、新型コロナウイルスに感染する前の症状や非感染者にも認められる症状も考慮した上で、COVID-19の後遺症の性質、有病率、および重症度について検討が行なわれた。

対象とされた7万6,422人（平均年齢53.7歳、女性60.8％）は、2020年3月31日から2021年8月2日の間に、COVID-19の後遺症に関連する23種類の症状について、デジタルベースの質問票により報告していていた。

全体の5.5％（4,231人）がCOVID-19に罹患した。これらの罹患者にマッチさせた、COVID-19非感染者8,462人が対照とされた。

分析の結果、COVID-19罹患から90〜150日が経過した時点での罹患者では、罹患前および対照群と比べると、胸痛、呼吸困難、呼吸時の痛み、筋痛、味覚障害、嗅覚障害、手足のしびれ、胸のつかえ、交互に感じる暑さと寒さの感覚、手足の重たさ、倦怠感の症状がより強く現れていることが明らかになった。

これらの症状で、重症度が中等度以上になったものを1つ以上有していた人の割合は、COVID-19罹患者では21.4％だったのに対して、対照群では8.7％にとどまっていた。

このことから、上記の症状がCOVID-19に起因すると考えられるのは、COVID-19罹患者の12.7％に相当すると推定された。

こうした結果について論文の筆頭著者である同大学のAranka V. Ballering氏は、「非感染者の症状と、感染者の感染前後の症状を調べることで、われわれはウイルスではなく、行動制限や先行き不透明な状況から生じたストレスに起因する可能性のある症状を、COVID-19に起因する症状から区別することができた」とし、「今回の研究で明らかにされた中核症状の情報は、今後の研究に大きな影響を与えるだろう」と話している。

ただし、今回の研究には、いくつかの限界点がある。

まず、今回の研究対象者には、デルタ株やオミクロン株の感染者が含まれていなかった。

また、この研究で確認されたCOVID-19の有病率は、無症候性COVID-19患者の存在を考慮すると、過小評価されている可能性があるほか、この研究の実施以降にCOVID-19との関連が指摘されるようになったブレインフォグなどの他の症状も検討されていない。

さらに、この研究は、1つの地域のみで実施されたもので、対象者の民族的多様性も欠けていた。

こうした限界点を踏まえた上でRosmalen氏は、「今後の研究では、抑うつや不安の症状などの精神症状や、この研究後に登場した新たなCOVID-19の後遺症（ブレインフォグ、不眠症、労作後の倦怠感など）についても検討する必要がある。また、この研究では、COVID-19罹患後に観察された症状の原因を調べることはできなかったが、今後の研究で、症状の発現に関わるメカニズムについての洞察を得られることを期待している」と話している。（HealthDay News 2022年8月5日）

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（参考情報）
Abstract/Full Text
https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)01214-4/fulltext

構成／DIME編集部