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仕事を抱え込まずに助けを求めるビジネススキル「ヘルプシーキング」が注目される理由

2022.08.24

「助けを求める」ことでチームの生産性を上げる

自分では終えられないほどの仕事を抱えることになったら、あなたはどう対処するだろうか?

残業して、仕事を家に持ち帰って、さらに休日を潰してなんとかこなす…?ごくまれに起こることであれば、その方法で乗り切れるかもしれない。しかし、しばしば起こるのであれば問題だ。

あきらかに上役のマネジメントの問題であれば、かけあって相談するのが最良の解決策となるだろう。だが、自身が「ひとりで仕事を抱え込んでしまう」傾向があれば、違う解決策をとる必要がある。それが「ヘルプシーキング」だ。

ヘルプシーキング(Help Seeking)とは、読んで字のごとく「助けを求める」こと。

「助けを求める」と聞くと“甘え”や“逃げ”のイメージを抱く人もいるかもしれないが、それを一般化させ啓発活動を行なっているのが、(株)NOKIOO 取締役の小田木朝子さん。

1人ではどうしようもできない状況に直面したとき、チームメンバーに「助けを求める」のは、「誰でも習得できるビジネススキルです」と、著書『仕事は自分ひとりでやらない』(フォレスト出版)で説く。

■「チームにとって何が望ましいか」という判断軸を持つ

ここまで読んで、「助けを求めるなんて無能と思われそう」「周囲に迷惑をかけたくない」と思う人が多いかもしれない。

だが、小田木さんによれば、そうした考えは思い込みに過ぎず、むしろ、助けが必要な場面で抱え込んでしまうことこそ「チームの成果という観点が欠如してしまう」と警鐘を鳴らす。そのうえで、ヘルプシーキングを活用することで、以下のようなメリットがあると述べている。

・個人はもちろん、チームの生産性が上がる。
・突発的なトラブルで仕事が停滞、混乱するリスクを回避できる。
・「チームで問題解決」するようになり、仕事の質、スピードが上がる。
・仕事とプライベート(家庭)双方の満足度が上がり、毎日が充実する。
など

これほど有益なら、活用しない手はないだろう。ただ注意したいのは、ヘルプシーキングとは、単に隣に座っている同僚に、はみ出た自分の仕事を押し付けることではない。小田木さんは、次のような例を挙げ、説明している。

“例えば育児をしながら仕事をしているとして、子どもの発熱による急なお迎えコール(保育所からのお迎え要請)があったら。あなたはどう行動しますか。”

焦って、「とりあえず今日は休み、明日以降のことは様子を見てから判断しよう」と考えるのは禁物。結果として今日1日休むことになっても、その前にやること、考えることがあると小田木さんは指摘する。

・自分がお迎えに行く以外の選択肢を検討する。
・自分が休む(看病)以外の選択肢を検討する。
・子供の回復までの最大日数を見積もってチームに共有する。
・主担当業務の引き継ぎをするか、しないか判断する。
・出勤しない場合、在宅で仕事をするかしないか判断する。

判断すべきことが、いろいろあって大変だと感じるかもしれない。

ここは、「チームにとって何が望ましいか」と、「考え得る中で、最も成果が大きくなる選択肢を取る」という判断軸を持つことで、見通しがつきやすくなる。

この視点を持つことで、例えば、他のメンバーに容易に引き継げる業務でなければ、パートナーや外部サービスにお迎え・看病を依頼し自分が担う、顧客に事情を話し日程変更に協力してもらう、といった判断ができるようになる。

感情的にならず、事実に対し、選択肢を洗い出し、チームのためにベターな判断と行動をしていくことで、自分にも相手にも最良の形の連携が実現すると本書では伝えている。

■「コンディションを聴き合うこと」から始める

ヘルプシーキングは、相手あってのこと。そのため、円滑に助けを求めるため、日頃から心がけておきたいテクニックも具体的に幾つも紹介されている。

その一つが自己開示。小田木さんは、プライドと自意識を手放し、仲間に対し自分の強み・弱みなどをオープンに開示するようアドバイスする。

最初は、心理的な抵抗があるかもしれない。小田木さんは、最初の一歩として「コンディションを聴き合うこと」をすすめる。

“私たちは「心配させてはいけない」、「空気を悪くしてはいけない」という思い込みからか、しんどいときも「元気です」、「大丈夫です」と言ってしまいがち。

でも、人には誰でも良いときも、良くないときもあります。元気でないことは、悪いことではありません。体調がすぐれないこと、仕事やプライベートで心配な事案があること、期限が迫っている業務で立て込んでいることは、あなたの問題ではなく、チーム全体のパフォーマンスに関わることです。”(本書より)

ここまで読んできて、「そうは言っても、おいそれと助けを求められないよ」と、考える人も少なくないだろう。特にこれまでの職業人生が長い人ほど、その傾向は強いはず。

そんな人に対する小田木さんのアドバイスは、「できることから始めるのでいいのです。小さな具体的な行動と、そこからの小さな成功体験を積み重ねていくことで、変化を実感でき、それが次の行動を生み出していくのだと考えましょう」と明快だ。

人生100年時代で、働く年数も増えていく。持続的な仕事のやり方を考えるのなら、ヘルプシーキングのスキルは、身につけておいて損はないはずだ。

小田木朝子(おだぎともこ)さん プロフィール
グロービス経営大学院修了。ウェブマーケティングの法人営業などを経て、NOKIOO創業メンバーとして参画。企業の人材育成・組織開発支援を担うHR事業を立ち上げ、ヘルプシーキングを含む多数の人材育成カリキュラムの開発・講師および講師育成を手掛ける。2020年、オンライン教育サービス『育休スクラ』をリリース。経験学習とオンラインを活用したアクティブラーニングを法人・個人向けに提供。
音声メディアVoicyで、毎日10分「今日のワタシに効く両立サプリ」を配信中。

文/鈴木拓也(フリーライター)

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