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バチェラーのホスト役でおなじみの坂東工が描く「オーラアート」の魅力

2022.08.18

成功を収めた1人の独身男性のパートナーの座を女性たちが競い合う婚活リアリティ番組『バチェラー・ジャパン』、その男女逆転バージョンの『バチェロレッテ・ジャパン』(ともにAmazonプライム・ビデオ)。シリーズを通しホスト役を務める坂東工さんのアートイベントを、番組のファンであるコラムニストのヨシムラヒロム氏が取材した。

***

久しぶりに編集部からメールが届く。開けてみると、「表参道で開催される坂東工さんのアートイベントを取材してみませんか」と記載されていた。

坂東工といえば、『バチェラー』『バチェロレッテ』のホスト役である。僕は全シリーズを鑑賞済みであり、『バチェロレッテ シーズン2』に至ってはこの前観たばかり。「タイミングが良い!」と添付されたPDFを開くと、イベントの詳細と坂東工の言葉が記載されていた。

「オーラアートは、僕自身が対象となるモデルの方や場所・ご家族などのエネルギーを、ただただ身体に流れてくる信号のようなものを感じながら、溢れ出るように描いていくことで色かたちとして現れてきたものです。そしてこの時、僕自身の意図や、技法などの『思考』が働くことはありません」

これを読んでテンションが少々下がった。まず坂東工が絵を描いていることが初耳である。さらに彼が描いている“オーラアート”という字面も初めて見た。ひとまずメールの送り主である編集者に電話をかけた。

編集者から「私にはオーラアートがわからないのですが、美大出身のヨシムラさんならわかると思って!」と原稿依頼の理由を説明される。

ファインアート、ポップアート、現代アートは説明できる。だがオーラアート……。自分の言葉で坂東工のオーラアートを紐解くとなれば、そのハードルは結構高い。一瞬迷ったが、依頼されるうちが書き手としての華、僕は参加を決めた。

明治神宮前駅からタクシーに乗り、会場である表参道の『ERIC ROSE』というカフェへ向かう。運転手に住所を伝えるとタクシーでは入れない場所とのことで、近くでクルマを降りる。Googleマップの指示通り歩くと公園に着いた。さらに指示通り進むと、木々が生い茂げ、港区とは思えないほどの獣道に出てしまった。立ち往生しているとイベントスタッフからスマホに着信が。電話で案内をしてもらい、やっと到着できた。

獣道だがここは港区。

イベント会場のカフェ、表参道『ERIC ROSE』に到着。

店に入ると、既に多くの人で賑わっていた。坂東工の友人知人が多いようで、他人のホームパーティーに迷い込んだ気分になる。手始めに『バチェラー』『バチェロレッテ』の出演者を探してみたが、一人もいなかった。

今回のイベントは、『ERIC ROSE』での坂東工の個展開催を記念したもので、ライブペイントも披露される。

数分後、店の奥にいた坂東工が展示作品の解説を始めた。

「メインの大きな絵は、天使という言葉が持つエネルギーをオーラアートにしました。光を透過することで、色鮮やかな色彩が現れます!」と絵にライトを当てる。真っ白い絵に光をかざすと、うっすらと色が浮かぶ。「2枚のアクリルを重ねているんです。表面は白いインクで描き、裏面はカラフルなインクをのせています!」と笑顔の坂東工。

値段は1枚40万円。基本的に絵は大きさによって値段が決まる。このオーラアートはサイズも大きいことから、40万円という金額も妥当だ。アートの値段ってこういうものである。

坂東氏が自ら作品を解説。

続けて「コチラの絵は12枚あるのですが、星座のエネルギーをオーラアートにしています」と、先ほどより小さい作品の解説が始まった。そこに展示会をプロデュースした女性も加わる。

プロデューサーは「坂東の絵はエネルギーです。言葉をエネルギーにオーラアートを描いたり、お客様とセッションしながら、そのエネルギーを感じ、オーラを色にしたりと表現方法は様々です。今回はカフェでの展示ということで、皆様へのギフトとして楽しい気持ちになっていただけるように、描かせて頂きました!」と熱く語る。

小さなオーラアートは5万5千円だった。坂東工が描いた世界で一個しかない原画である。これまた妥当な値段設定。坂東工のファンであれば安価だ。

説明が終わると、メインイベントであるライブペインティングが始まった。今回のモデルは元格闘家の大山峻護さんと妻の純子さん。二人をオーラアート化していく。

床に置かれたアクリルパネルに、大山夫妻が持つエネルギーを表現していく。坂東工は絵を描いている時も飽きさせない。「自分で採掘した石を使うんです」と言い、石が入った小瓶を鳴らす。「この音にグッときたら、この石を使うんです。あとで皆さんに売りつけますからね!」とサービストーク。「大山さんご夫妻とは焼肉屋で偶然隣同士になったんですよね。そこから仲良くさせてもらってます!」と場を盛り上げる。

『バチェラー』シリーズとは異なる、少しヤンチャな兄貴とも言いたくなる坂東工がそこにいた。『バチェラー』での執事はあくまでも役柄であり、展示会で見せるラフな表情こそ素に近いのだろう。

モデルの大山夫妻を前にライブペインティングがスタート。

地を這ってオーラを落とし込む坂東工、その横に立つプロデューサーがさらにオーラアートの真髄を語る。

「今、大山さんご夫妻と坂東の間に結界が張られています。そこにエネルギーが発生しているのです」

僕には理解できなかったが、まぁそうゆうことなのだろう。

ライブペインティングが中盤に差し掛かった頃、PR会社の人が坂東工に質問をする機会を設けてくれた。せっかくなので色々尋ねてみた。

「『バチェロレッテ』に出演していた杉田陽平さんの絵は、坂東さんはどのような感想を持たれますか?」
「彼の絵は僕とは違うよね。杉田さんは絵を描いているけど、僕は対象者のオーラを見て、色をのせているだけ。絵を描くというよりも色を塗っている感じなんだよね!」
「あ!そうなんですね。ちなみに僕、杉ちゃんの絵よりも坂東さんの絵の方が好きです」
「おいおい、今インスタライブ中だよ!そういうこと言うんじゃないの!」
「あ!すいません。ただまぁ個人の感想ですから」
「確かに個人の趣向は自由だからね。じゃ“好き”と言うからには買ってもらわないとなぁ〜」

バナナの叩き売りのように、オーラアートの購入を推す坂東工が面白い。40万円の大作は無理だが、5万5千円の絵なら買える。本人にイジってもらえた喜びも相まって、一瞬財布の紐が緩みそうになった。坂東工はテレビ通販のホスト役にも向いてそうだ。

元々『バチェラー』シリーズの大ファンだったが、先ほどのやりとりで坂東工のファンにもなってしまった。僕は坂東工が『バチェラー』というある種過激な番組をどのように捉えているのかが、気になった。

『バチェラー』に出演したことで、お茶の間の人気者となったゆきぽよについて尋ねると、「彼女はテレビの人達が放っておかなかったよね」と答えてくれた。

「次は妊娠を発表をした福田萌子のことを聞こう」と考えていると、横にいたプロデューサーから「坂東は今、頭を使って絵を描いています。思考をあまり遮るような質問はちょっと…。オーラアートのことならどんどん聞いてください!」と制されてしまった。

そこで「坂東さんが影響を受けた画家は?」と聞くと、「いないなぁ」と即答された。

大山峻護とその妻・純子のオーラアートは45分ほどで完成した。最後までオーラとアートと色の関係性について、理解することはできなかった。しかし、描かれた作品が華やかだということはわかった。

一息つく坂東工に「やはりオーラアートを描かれると疲れますか」と聞くと、「え、全然。僕が描いてるわけではないからね。僕が相手のエネルギーを色に変換して、のせているだけ。ただね、一回自画像を描いたことがあるけど、その時は立てないほど疲労したよ」と説明してくれた。屈託のない坂東工のスマイルが印象に残る。

オーラアートは絵画よりもインタビューに近いと思った。

インタビューは人が話したことを、テキストに変換していく作業である。オーラアートは坂東工が人から感じた印象を色に変換していく行為だ。坂東工も「僕は別にオーラが見えるわけじゃないんですよ、人よりも感受性があるだけ」と言っていた。多くの人に伝えるためにオーラやアートという言葉を代用しているが、坂東工によるモデルへのヒアリングこそオーラアートの本質である。

モデルとなった大山夫妻と完成した作品。この作品も9月7日まで表参道『ERIC ROSE』に展示されている。

●坂東工 個展“オーラアートOpen your ART”
9月7日(水)まで表参道『ERIC ROSE』にて開催中

ERIC ROSE
(港区北青山3-4-3「ののあおやま」1階 E区画)

文/ヨシムラヒロム

ヨシムラヒロム
1986年東京出身。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。武蔵野美術大学卒、イラストレーターでコラムニスト、そして大正大学助教。著書に「美大生図鑑」。

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