働き方のトレンドはどう変化しているのか。新田龍さんは「組織にも働く人にも多様性が求められている」と指摘する。
「少子高齢化による労働力不足で、企業が新たな働き方を模索する中、時間や待遇が自由な職場を求める人が増えています。結果、企業は生産性アップや人材獲得を狙い、『男性育休』『週休3日制』『地方副業』といった多様性ある働き方を導入し始めています」
だが、人材不足だからといって、誰もが重宝されるわけではない。
「企業が求めるのは、変化に柔軟に対応し、イノベーションを起こす人材です。企業側では『心理的安全性』を高めて、年次や肩書に関係なく発言できる環境を作り、化学反応が生まれるように工夫しています。その一方、社員には『週休3日』や『リスキリング』などを利用して、スキルアップや資格の取得、新たな人脈構築をしてほしいと考えています」
今後、自己研鑽できない会社員は取り残されてしまう可能性があることを、ぜひ心しておきたい。
働き方改革総合研究所代表取締役
新田 龍さん
働き方改革推進による労働環境改善支援と、労務トラブル解決が専門。ブラック企業問題にも詳しい。近著に『クラウゼヴィッツの「戦争論」に学ぶビジネスの戦略』など。
男性育休
今年4月から取得促進を義務化
育児介護休業法が改正され、今年4月から段階的に施行が開始。変更点を男性育休の推進事業を進める育Qドットコム代表・広中秀俊さんに聞いた。
「4月から配偶者への育休制度の通知と意向の個別確認、また、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備が義務化されました」
10月には出生後8週間以内に4週間を2回に分割して取得できる「産後パパ育休」も開始。
「来年4月には大企業の育休取得率の公表も始まります。徐々に男性が育休を取得しやすい雰囲気づくりが進むはずです」
4月より妊娠・出産を届け出た社員に、 育休取得の意向確認を企業に義務付けた。
週休3日制
パナソニックや日立など大手企業が続々導入
パナソニックや日立などの企業が導入して注目される週休3日制。働き方改革総研の新田龍さんに制度の背景を聞いた。
「働き方改革が進む中、より自由な働き方を求める人が増えました。週休3日制の導入で、企業側は幅広い人材確保や生産性向上が見込めるようになります。ただ、1週間あたりの総労働時間を維持するために1日あたりの労働時間が増えたり、休日が増えた分、給与が減るという企業もまだ多い。給与と労働時間の確認や、業務の効率化推進など、導入段階での環境整備が求められます」
地方副業
マッチングサイトの登録者数が11倍に増加!
都市部に住みながら地方企業に携わる「地方副業」が人気だ。大手人材サービス会社パーソルキャリアが運営する『Loino』の安藤輝人さんに聞いた。
「『Loino』は都市圏で活躍する人材と事業成長を目指す地方企業を副業の形でマッチングするサービスです。登録者数は、サービスを開始した2020年12月から今年4月で約11倍に増加。登録の動機としては、収入増よりも、故郷や地方に貢献したいという人が増えています」
『Loino』は自治体の登録も多い。鳥取県内の企業に都市部人材を活用する「週1副社長」企画も。
リスキリング
グーグルなど49団体の組織が発足。DX時代の人材育成
6月にグーグルなど49団体の参画組織が発足し、注目される「リスキリング」。
「今後仕事に必要なスキルを獲得する・させることを意味します。中心となるのは、DⅩ定着に向けたデジタル人材育成です」(新田さん)
心理的安全性
1万人規模のイベント開催で再注目
組織内で自分の考えや気持ちを、誰に対しても安心して発言できる状態を意味する「心理的安全性」。今年2月には1万人規模のサミットも開催された。
「グーグルの調査では心理的安全性が高いチームは、生産性が高いとの報告も。多くの企業が業績向上を狙い、普及を進めています」(新田さん)
取材・文/藤村はるな イラスト/岸 潤一
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