2020年度から開始された小学校での英語教育。義務教育課程で英語を学ぶ重要性が高まる中、小・中学生の子を持つ親は、我が子の英語学習とどう向き合っているのか?
光村図書出版はこのほど、小・中学校に通う児童・生徒の保護者500名を対象に実施した「子どもと保護者の英語学習に関する意識調査」の結果を発表した。
小・中学生の60.2%が、英語の家庭学習の際、「教科書」を好んで使用
英語の家庭学習の際に使用している教材・ツールについては、小・中学生全体で、「紙の教科書」が62.2%ともっとも多く、続いて、「紙の問題集・参考書」(41.2%)、「学習用アプリ」(28.0%)、「学習者用デジタル教科書」(14.0%)の順に多かった。「紙の教科書」と「学習者用デジタル教科書」を合わせると全体の76.2%が、家庭学習の際に、紙またはデジタルの「教科書」を使っていることがわかった。
小・中学生別に見てもこの傾向は変わらず、小学生では69.3%が、中学生では85.4%が、紙またはデジタルの「教科書」を使っていると回答した。
Q1.お子さんは家庭で英語の学習をする際、どのような教材・ツールを使っていますか。(複数回答)
英語の家庭学習の際に好んで使用している教材・ツールについては、小・中学生全体で、「紙の教科書」が48.4%ともっとも多く、続いて、「学習用アプリ」(29.6%)、「紙の問題集・参考書」(29.0%)、「学習者用デジタル教科書」(11.8%)の順に多かった。「紙の教科書」と「学習者用デジタル教科書」を合わせると全体の60.2%が、家庭学習の際に、紙またはデジタルの「教科書」を好んで使っていることがわかった。
小・中学生別に見てもこの傾向は変わらず、小学生では54.0%が、中学生では68.5%が、紙またはデジタルの「教科書」を好んで使っていると答えていた。
Q2.お子さんは家庭で英語の学習をする際、どの教材・ツールを使うのが好きですか。(複数回答)
英語の家庭学習に対する保護者の関わりについては、小・中学生全体で、「質問されたら教える」と答えた保護者が47.0%に上り、「学習の進み具合をチェックする」(18.8%)と合わせると、その割合は65.8%となった。その一方で、「寄り添って一緒に学習を進める」という回答は15.2%だった。家庭での英語学習に対しては、7割近くの保護者が、比較的小さな関わりにとどめていることがわかった。
Q3.お子さんが家庭で英語の学習をする際、保護者の方はどの程度、支援・指導をしていますか。(単一回答)
小学生と中学生を比較した場合、「寄り添って一緒に学習を進める」という回答は、小学生の18.8%に対し、中学生は10.3%であり、8.5pt少なかった。さらに、「まったくしない」という回答については、小学生の11.1%に対し、中学生は28.6%と、17.5pt多く、学年が上がるにつれて、保護者による家庭学習への関わりが小さくなる傾向が見られた。
英語に関する習いごとについて、小・中学生全体で、「現在している」(34.6%)と「現在はしていないが、していたことがある」(9.2%)の合計が約4割(43.8%)となり、習いごとを経験したことがある児童・生徒のほうが少ないことがわかった。
一方、「現在しておらず、今後もする予定はない」と回答したのは32.4%であり、3人に1人程度という割合だった。
Q4.お子さんは、英語に関する習いごと(塾を含む)をしていますか。(単一回答)
子どもが生活の中で英語に親しめるよう、保護者が意識して用意しているものについて、小・中学生全体の保護者では、「特に用意していない」が66.8%ともっとも多く、続いて、「子ども向けの英語の番組・映画」(18.2%)、「子ども向けの英語の本・雑誌」(11.6%)、「保護者が見ている英語の番組・映画」(10.6%)の順に多かった。
Q5.お子さんが家庭生活の中で英語に触れたり親しんだりすることができるよう、保護者の方が意識して用意しているものにはどんなものがありますか。(複数回答)
小・中学生別に見ても、「特に用意していない」がもっとも多いことは変わらず(小学生では63.4%、中学生では71.4%)、小・中学生全体でも、小・中学生別でも、家庭で子どもが英語に触れる環境づくりを意識している保護者は4割未満にとどまることが見て取れた。
小・中学生の約6割(61.0%)が「英語が好き・得意」と回答
英語が好き・得意かどうかについて、小・中学生全体の約6割(61.0%)が、「英語が好き・得意」(「とても好き・とても得意」が6.8%、「まあまあ好き・まあまあ得意」が54.2%)と回答した。
小・中学生別に見た場合、小学生では、約3人に2人(64.8%)が「英語が好き・得意」と回答した。一方、「とても苦手意識がある」という回答については、小学生が6.6%であるところ中学生は12.2%と、約2倍となっており、小学生に比べて中学生のほうが、英語をより「苦手意識がある・とても苦手意識がある」と感じる傾向にあることが見て取れた。
Q6.お子さんは、英語が好き、または得意だと感じていますか。(単一回答)
「Q7.(Q6で選択した回答に関して)そう感じる理由は何ですか」と自由記述形式で質問したところ、保護者から見て英語が「好き・得意」と感じる理由としては、以下のコメントが寄せられた。
・授業で習った言葉などを自宅で口ずさんで使ったりしているから。(小3)
・英語のアニメなどを(自ら)進んで見ているから。(小5)
・オンライン英会話のときも楽しそうに話をしているし、英検を受けようと言ったときもすんなり受けると言ったから。(中1)
・独学で英検(の勉強)を進めて受験しているし、学校の成績も「5」をキープできているから。(中3)
一方、保護者から見て英語が「苦手」と感じる理由としては、以下のコメントが寄せられた。
・まだ真剣に取り組むほど興味を抱いていない様子だから。何かスイッチが入れば放っておいてもエンジンがかかると思う。(小3)
・英語の問題を解いていても楽しそうではなく、塾などでしかたがなくやらされている感じがするため。(小6)
・子どもの口から英語がすごく苦手、わからないと聞くから。テストの点数も悪いから。(中1)
・引っ込み思案で、積極的に話せないから。(中2)
保護者の「(大人になった今)英語が好き・得意」という回答は約4割(37.8%)にとどまる
英語を自由に使いこなせたらしたいことについて、小・中学生全体で、「英語でさまざまな国の人と話したい」という回答がもっとも多く、約4割(37.8%)に上った。他には、「英語の映画やドラマ、アニメなどを(字幕なしで)観たい」(31.0%)、「英語の歌を聴いたり歌ったりしたい」(28.2%)、「英語の本や漫画を読みたい」(22.8%)、「英語のゲームをしたり、海外の人と対戦したりしたい」(17.0%)のように、英語によって自分の楽しみを広げるような回答が多く見られた。
小・中学生別に見ると、小・中学生いずれも1位は「英語でさまざまな国の人と話したい」、3位は「英語の映画やドラマ、アニメなどを(字幕なしで)観たい」という結果だった。一方、2位については、小学生では「英語の歌を聴いたり歌ったりしたい」(30.7%)、中学生では「海外に旅行したとき、英語でやり取りしたい」(32.9%)であり、違いがあった。
Q8.お子さんは、もし英語を自由に使いこなせたら、どんなことをしたいと思っていますか。(複数回答)
保護者自身が中学生だったときに、英語をどう感じていたかについて質問したところ、小・中学生全体の保護者において「苦手意識があった」(31.0%)と「とても苦手意識があった」(20.4%)の合計は51.4%となり、約半数の保護者が、中学校時代、英語に苦手意識をもっていたことがわかった。
Q9.(保護者の方へおききします)中学生のとき、英語に対してどのように感じていましたか。(単一回答)
現在の中学生を対象としたQ6の結果と比較すると、現在の中学生では「とても好き・とても得意」(8.0%)と「まあまあ好き・まあまあ得意」(47.9%)の合計が55.9%であるのに対し、保護者ではそれが48.6%だった。保護者が中学生だったときよりも、現在の中学生のほうが7.3pt多く英語を「好き・得意」と感じていることがわかった。
保護者自身が大人になった現在、英語をどう感じているかについて質問したところ、「苦手意識がある」(「苦手意識がある」が40.8%、「とても苦手意識がある」が21.4%)という回答が約6割(62.2%)となった。
Q10.(保護者の方へおききします)大人になった今、英語に対してどのように感じていますか。(単一回答)
保護者が中学生だったときについて質問したQ9の結果と比較すると、「苦手意識がある」という回答は現在のほうが10.8pt多く、大人になった現在のほうが、英語に苦手意識をもつ人が多いことがわかった。
保護者として「子どもが英語を学習するうえで重視したいこと」、1位は「英語を好きになること」(37.8%)
現在、子どもが使っている教科書に対して保護者が抱く印象について、小・中学生全体では、「イラストが多くて楽しく学習できそう」(31.0%)、「教科書のサイズが大きくて学習しやすそう」(24.6%)、「子どもが意欲的に学べそう」(15.4%)の順に多かった。
Q11.お子さんが英語を学習する際に使っている教科書を見て、どのような印象を受けますか。(複数回答)
保護者にとって、子どもが英語学習をするうえで重視したいことについては、小・中学生全体で、「英語を好きになること」が37.8%ともっとも多く、次いで「英語に苦手意識をもたないこと」(27.8%)、「完璧ではなくても、英語話者とコミュニケーションが取れるようにすること」(18.2%)が続いた。
「英語を好きになること」と「英語に苦手意識をもたないこと」を合わせると65.6%となることから、6割以上の保護者が、英語への苦手意識をもたず、英語を好きになることをもっとも重視していることがわかった。この傾向は、小・中学生別に見たときにも同じだった。
Q12.保護者として、お子さんが英語を学習するうえでもっとも重視したいことは何ですか。(単一回答)
英語習得のために保護者がもっとも必要だと考えるものについて、小・中学生全体では、「異文化への興味・好奇心」が30.4%ともっとも多く、続いて、「間違いを恐れないこと」(19.4%)、「チャレンジ精神」(19.0%)という回答が多かった。
小・中学生別に見た場合、 小学生では、1~4位が全体の順位と同じ結果になった。その一方で、中学生では、2~5位の回答の割合に大きな差は見られなかった。
Q13.(保護者の方へおききします)英語を身につけるために、もっとも必要なものは何だと思いますか。(単一回答)
<調査概要>
調査名:子どもと保護者の英語学習に関する意識調査
対象者:小・中学校に通う児童・生徒の保護者(全国)
調査方法:インターネット調査(児童・生徒本人に聞き取り、保護者が回答)
調査期間:2022年6月13日~6月15日
回答数:500名(小学校3年生~6年生の保護者 287名 中学校1年生~3年生の保護者 213名)
出典元:光村図書出版株式会社
構成/こじへい