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ドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイル、オンライン化で激変するキャリアショップの役割

2022.08.15

■連載/法林岳之・石川 温・石野純也・房野麻子のスマホ会議

スマートフォン業界の最前線で取材する4人による、業界の裏側までわかる「スマホトーク」。今回は、キャリアショップのオンライン化について話し合っていきます。

※新型コロナウイルス感染拡大対策を行ったうえで実施しております

メタバース内ショップは「まだまだ」

房野氏:最近、キャリアショップをオンライン化するという話題が目に付きます。ショップについては以前から課題も話題も尽きません。最近ではキャリアショップでマイナンバーカードの申請ができるようになりましたね。

房野氏

石川氏:バーターなのかなと。つまり、料金値下げの影響でキャリアは収益が悪化し、コスト削減が必要。するとキャリアショップが危うくなるから、総務省としてはショップに仕事を与えましょうと。総務省はデジタル活用支援推進事業として携帯ショップでスマートフォン教室をするようなこともやっていますが、マイナンバーカードの取扱いについてもこれの一環なんだろうなと。

石川氏

石野氏:バーターになってもいいと思うんです。これだけ店舗数も多いし、パソコン教室も昔ほどないですし。

石野氏

法林氏:KDDIの通信障害においての対処もそうなんだけど、今、ユーザーが何で情報を得るかということがあって、そこがなんかうまく作用していないんですよね。パソコン教室でいいと思うし、スマホ教室でもいいと思う。方法を知っていただいて、勉強するような場所になってくれれば、それはそれでいいと思うんですよ。

法林氏

房野氏:ドコモがリアルショップを2025年までに約3割減らしてオンライン対応を増やすという報道や、ソフトバンクがメタバース内に作った「ソフトバンクショップ in Metapa」とかについてはどう思いますか?

「ソフトバンクショップ in Metapa」

法林氏:あれも方向性の1つだと思いますけど……

石川氏:ソフトバンクのメタバースショップは、今ひとつかなぁ。先日利用してみたんですが、自分がスタッフに「iPhoneを買えますか?」って話しかけているのに、全部無視されたんですよ。リアルの店員がいますと言われているわりには対応が良くない。

房野氏:石川さんだとバレていたんじゃないですか?(笑)

石川氏:いやぁ、それはないと思う。

法林氏:「もうiPhoneは持っているでしょう」ってバレていたんだよ(笑)

石川氏:メタバース空間で遊んでいる人が、そのショップの中でちょっと遊ぶ、みたいなことであればいいんですけど、ショップの機能をメタバース空間に置くってことをやろうとすると、ユーザー側は切羽詰まって聞きに行きますよね。でも、結局ウェブページに飛ばされるのかと。しかも、そのリンクがあまり良くなくて、メタバースの中にあるポスターにタッチすると、「URLをコピーする」みたいな表示が出て、ブラウザを起動してURLを貼り付けてアクセスしなきゃいけない。

房野氏:クリックですぐサイトに飛ぶんじゃないんですね。

石川氏:そうなんです。URLの貼り付けっていう。なんじゃそれ、みたいな感じ。

房野氏:まだまだですね。

法林氏:マイクロソフトがビックカメラとヨドバシカメラと提携して、リモート接客の取り組みをやっていたけれど、ああいう風に、キャリアショップが「今度、新しいスマホが出たので見てください」みたいに、オペレーターが対応するようなセンターとかを作るのはアリだと思う。でも、「それ、できますか?」みたいなところもある。その前に、そもそもの話として、ビデオ会議でチャットくらいできるようにしませんか? と。まだ色々足りない部分があるね。

拠り所としてのリアルショップは必要

石川氏:先日、ファーウェイの「OWNDAYS×HUAWEI Eyewear」を買いにOWNDAYSに行ったんですよ。そこのお店って、店員さんがちゃんといるんですけど、視力を測定する人はリモートで、ビデオ会議形式で対応するんです。ああいった専門知識のある人は、オンラインで対応する形になっていた。DXじゃないですけど、こんな人員削減策があるんだなと思いました。たぶんキャリアショップも、いきなりオンラインとかメタバースじゃなくて、リアルの場所は必要で、でもちょっと専門的な知識、iPhoneの知識とかXperiaの知識なんかを聞く時には、遠くにいる人とビデオ会議で繋ぎますねって言って対処してもらうとかっていう方法、そういう段階なんじゃないのかなって思いました。

「OWNDAYS×HUAWEI Eyewear」

石野氏:楽天モバイルも、郵便局とかに置いているブースで似たようなことをしていますね。

楽天モバイル郵便局店「簡易店舗型」

楽天モバイル郵便局店「リモートブース型」

法林氏:銀行に、無人のローン契約機を置いてあるブースがあるじゃないですか。そんなやり方もあるのかなって思うね。

石野氏:ドコモのオンライン化もそれに近いところがあるかな。ただ、効率はいいのか、思うところはあります。オンライン化するっていう話をしてますけど、地域ごとに減らした分だけ、そこのスタッフに対応させるとか言っていて、地域ごとにオンラインショップができちゃう感じ。

石川氏:あれって意味がなくない?

石野氏:場所代を圧縮できるぐらいですかね。

石川氏:人は減らさないってことでしょ?

石野氏:うーん、まったく減らさないとは言っていないので、たぶん、ちょっと減らしつつ、場所代を減らしつつ、だと思うんです。それでそんなにコスト削減ができるのかなっていうのは、ちょっと疑問ですね。

法林氏:リアル店舗じゃないからといっても、ビデオ会議で対応する場所は必要なわけですよね。駅にある箱みたいなブースをいくつも用意するのかって(笑)

房野氏:私、実は試験サービスで提供されていた時期に、ドコモの「スマホ購入アドバイザー」を体験して、記事を書いたことがあるんです。ビデオ会議形式で、料金プランやスマホの説明を受けられるサービスで、今は本サービスになっていますね。パソコンやスマホの画面越しにショップのスタッフさんがいて、画面共有でドコモのサイトを映しながら説明を聞けるんです。

石野氏:それ、ショップを減らすって狙いでやっているんですか?

房野氏:私が体験した時は、そういう雰囲気ではなかったです。その時はコロナ禍対策だと思いました。

石野氏:ソフトバンクも確かZoomでオンラインスマホ教室をやっていましたよね。

 まぁ、ドコモのオンライン化は場所をもっと集約した感じだと思うんですが……でも、だったらセンターに集約して、一律で対応した方が効率は良いと思いますよね。

房野氏:私が体験した時は、対応しているスタッフさんでわからないことがあると、ちょっと席を外したりして上司やほかの人に聞いている感じだったんです。だから、1人ではできないですよね。

石川氏:一方で、ネットが繋がらなくなったらショップに行くという状況もあるので、やっぱりいざという時、ユーザーの拠り所になるショップは必要なんだろうと思いますね。みんながみんなネットを使いこなしていなかったりもするし。

石野氏:そうですよねぇ。

石川氏:そもそも、スマホが繋がらなくなったら、オンラインでどうやって聞くんだと。

石野氏:スマホの使い方、操作方法を聞くのにスマホを使わなきゃいけないという状態は、すごく矛盾を感じる。

法林氏:スマホのインターフェイスがね……

石川氏:らくらくホンを使ってる人が、パソコンを使ってZoomで繋いで聞くのかなぁ。

法林氏:いや、らくらくホンユーザーはパソコンの利用率は高いと思う。

石川氏:そうですか。

法林氏:上の年代は、結構パソコンを使うよ。

リアルショップはショールーム的なものに?

房野氏:キャリアショップが減っていく傾向にあるのは間違いないですか?

石野氏:多すぎることは確かですね。ドコモで2300店舗ですかね。

石川氏:au、ソフトバンクも2000店舗くらいあって、楽天モバイルは3月に1000店舗を超えた。

房野氏:それだけの数を支えていくのも大変ですね、キャリアは。

石川氏:確かに都心は多すぎる感じがする。あと、まぁ……どうなんだろうな。

石野氏:携帯電話がバンバン売れていた時代は良かったんですけど、ほかのことのためにそんなに足繁くショップに通うかというと、そんなに行かないじゃないですか。

法林氏:銀行の待合スペースみたいに、待っているのかなんだかよくわからない人がいる。

石野氏:銀行の支店も統廃合が進んで減っていることを考えると……

法林氏:場所代や展示スペースも含めて、考えていかないといけない時期になっている。もしかすると、ショップ的にはオンラインを活用しつつ、もしくはビデオ会議で対面をやりつつ、場所をある程度集約してショールーム型になっていくのかなぁとも思う。

石川氏:例えばARグラスの「Nreal Air」のような、ああいった新しいデバイスを体験できるところは必要なので、そういった場所は欲しいなぁとは思いますよね。これからスマホの次を探っていくなら。

「Nreal Air」

石野氏:すぐに製品を受け取れるという意味でも、リアルの場は当然必要。

石川氏:あと、トーンモバイルみたいに、店頭で端末に触れられるけど、実際に購入する端末の在庫は倉庫にあって自宅に送られてくる、みたいな。そういうやり方でもいいような気がする。もしかすると、ますますショッピングセンターに週末だけ出店するショップが増えてくるかもしれないですね。

石野氏:出張型のショップは最近多いですね。

石川氏:ちょっと思ったのが、「AQUOS R7」とか、色によってはオンライン専用になっていたりするじゃないですか。リアルな店頭で買えるものとオンラインで買えるものが変わってくる。そういう役割の違いが出てくると思う。

「AQUOS R7」

石野氏:まぁ、オンラインを伸ばしたい雰囲気は強く感じますね。

法林氏:各社それぞれに思惑はあるけれど、基本的にオンラインを増やしたいのは共通した意見ですね。僕自身は正直なところ、リアルなショップに行く気がなくなってきている。

石野氏:お店に行くメリットがあまりないですもんね。昔はお店じゃなきゃできないプラン変更とかありましたけど、今はたいていのことがオンラインでできる。

石川氏:お店に行った時、スマホに詳しくないふりを装わなきゃいけないのが疲れるんですよね(笑)

……続く!

次回は、新型iPhoneの動向について会議する予定です。ご期待ください。

法林岳之(ほうりん・ たかゆき)
Web媒体や雑誌などを中心に、スマートフォンや携帯電話、パソコンなど、デジタル関連製品のレビュー記事、ビギナー向けの解説記事などを執筆。解説書などの著書も多数。携帯業界のご意見番。

石川 温(いしかわ・つつむ)
日経ホーム出版社(現日経BP社)に入社後、2003年に独立。国内キャリアやメーカーだけでなく、グーグルやアップルなども取材。NHK Eテレ「趣味どきっ! はじめてのスマホ」で講師役で出演。メルマガ「スマホで業界新聞(月額540円)」を発行中。

石野純也(いしの・じゅんや)
慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

房野麻子(ふさの・あさこ)
出版社にて携帯電話雑誌の編集に携わった後、2002年からフリーランスライターとして独立。携帯業界で数少ない女性ライターとして、女性目線のモバイル端末紹介を中心に、雑誌やWeb媒体で執筆活動を行う。

構成/中馬幹弘
文/房野麻子

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