副業を行うことで、本業に対する意識が変わったり、より生産性の高い働き方ができるようになる、ということはあるのだろうか?
副業人材マッチングサービス「lotsful (ロッツフル)」はこのほど、副業経験のある会社員550名に対し、副業が本業に与える影響や副業で働いた企業からのフィードバックなどについて実態を調査し、その結果を発表した。
副業が与える現職への好影響
「副業を経験したことで、自分自身の仕事の進め方にどのような気づきや影響がありましたか?」という質問で最も回答が多かったのは、「チャレンジすることへの恐怖心が小さくなった」が24.3%、次いで「自分自身の強みや弱みを理解することができた」が24.1%、「多様な価値観ややり方を受け入れられるようになった」が23.2%、「副業で得た知識を本業の仕事で生かすことができた」が23.0%となった。
副業を経験して、自分自身を客観視し、よりチャレンジできる自律的な人材へと成長したことで、現職にも好影響があったことが伺える。
その他、「仕事についての新しいアイデアを得ることができた」、「副業で得た知識を本業の仕事で生かすことができた」、「副業で得た人脈を本業の仕事で生かすことができた」など、副業での経験が現職での仕事に直接良い影響があったとの回答も目立った。
副業をすることにより、所属企業へのエンゲージメントが上昇
「副業を経験したことで、所属企業への考え方についてどのような影響がありましたか?」という質問では、「所属する企業への好意が高まった」が最多で34.8%、次いで「特に変化なし」が23.6%、「所属する企業でより長くはたらきたいと気持ちが強まった」が20.6%という結果になった。
「所属する企業への好意が高まった」、「所属する企業で長くはたらきたい」を合わせると55.4%の人が副業を経験することで、より所属する企業への好意的な気持ちが高まっていることが伺える。また「所属する企業への不満が高まった」は10.9%、「転職したいという気持ちが強まった」は9.8%、と所属企業へのネガティブな感情を持つ方は約20%に収まった。
さらに、「副業を経験したことで自分自身の仕事の進め方にどのような気づきや影響がありましたか?」という質問への回答も踏まえると、「転職したいという気持ちが強まった」の回答理由は、必ずしも所属企業へのネガティブな感情に起因するものではないと捉えることができそうだ。副業することで視野を広げ、客観性を育んだ従業員が、所属企業へのエンゲージメントを向上させていることがわかる。
職種によっては、特に社外での副業経験で所属企業へのエンゲージメントアップ
「所属する企業への好意が高まった」、「所属する企業でより長くはたらきたいと気持ちが強まった」を合わせた副業後の所属企業へのエンゲージメントが特にアップしている職種は「企業の経営者」で89.5%、「商品企画・開発」79.1%、「基礎・技術研究」で76.4%、「製造・生産・品質管理」で73.7%、「システム開発」で73.6%となっている。
このことから、職種によっては、社外に出て、副業を経験することにより、より視野が広がって客観性が高まることで所属企業へのエンゲージメントが向上しているという傾向が存在する。
副業人材が受け入れ企業へ与えるプラス効果
職種別で「これまでの副業において、副業先からどのような評価をしてもらいましたか?」という質問では、特に評価をもらっていないものを除くと、「副業先から再び依頼をしてもらえた」が最多で27.8%となった。
次いで、「来てもらったことで社内が活性化したと言われた」が23.2%、「報酬を上乗せしてもらえた」が21.5%、「副業として契約期間を延長したいと言われた」は21.2%、「来てもらったことで事業が成長したと言われた」は20.3%、「社員として入社してほしいと言われた」が20.1%という結果に。
このことから、副業人材への評価は非常に高く、再び依頼をしたり、契約期間を延長したりしているケースが多いことが見て取れる。また、「社内が活性化した」「事業が成長した」という評価も多く、副業人材が受け入れ企業の事業成長にプラスの影響を与えていることがわかった。
副業経験職種によって異なる影響や気づき
「副業を経験したことで、自身の仕事の進め方にどのような気づきや影響がありましたか?」という質問に対して、「気づきを得られた」とした回答の量を相対化したものを『気づき指数』とし、職種別で『気づき指数』が高かったものをランキングにした。結果を見てみると、「商品企画・開発」が最も『気づき指数』が高いことがわかる。
どのような気づきがあったかを職種別で見ると、「商品企画・開発」では「チャレンジすることへの恐怖が小さくなった」との回答が最多となった。「企業の経営者」では、「リーダーシップを意識するようになった」、「副業で得た人脈を本業の仕事で生かすことができた」との回答が多く、副業でリーダーシップを身に付けたことや、人脈を得たことが伺える。
「広報・編集」では「仕事の会議などでの発言が増えた」の回答がもっとも多い結果となった。また、「気づきや影響は特になかった」との回答が「企業の経営者」「商品企画・開発」では0%と、他の職種と比較すると、副業によるポジティブな影響を受けやすいと考えられる。
<調査概要>
調査手法:インターネットリサーチ
Fast ask(株式会社ジャストシステム提供)でアンケート調査を実施
調査地域:全国47都道府県
調査対象:副業経験のある20代~40代の会社員
調査期間:2022年6月27日(月)~6月28日(火)
対象人数:550
出典元:パーソルイノベーション株式会社
構成/こじへい