2023年10月開始の適格請求書等保存方式(以下、インボイス制度)と、2022年1月施行の改正・電子帳簿保存法(以下、電子帳簿保存法)について、業務に関わりのあると思われる経理担当者はどれくらい理解しているのだろうか?
ラクスはこのほど、全国の経理担当者848人を対象にした、インボイス制度及び電子帳簿保存法に関する意識調査の結果を発表した。
2023年10月開始のインボイス制度について
「インボイス制度を知らない」と約4割が回答し、認知度が2022年3月から変化無し
インボイス制度について、「名称は知っているが、どのような内容か知らない」と回答した企業が19.3%、「名称も内容も知らない」と回答した企業が18.0%となり、計37.3%が「インボイス制度を知らない」と回答。2022年3月の同調査においても同様の回答割合が37.1%となり、横ばいの状態になっていることが明らかになった。
適格請求書発行事業者登録について6割以上が「未登録」という結果に
適格請求書発行事業者登録について「既に登録している」と回答しているのが38.4%。残りの61.6%の企業は未登録という結果となった。2023年10月のインボイス制度開始から登録を受けるためには、2023年3月末までに適格請求書発行事業者登録申請を行う必要があるため、早期に対応を行う必要がある。
適格請求書発行事業者ではない場合、6割以上が「取引を継続しない」または「継続するか検討する」と回答
取引先が適格請求書発行事業者ではない場合、「取引を継続しない」と回答した企業の割合が7.0%。「継続するか検討する」と回答した企業の割合が55.7%という結果となった。
適格請求書発行事業者登録をしているかどうかは、請求書受取側(買い手側)にとって、仕入税額控除を受けることができるかの重要なポイントとなるため、今後の取引獲得や継続に大きな影響を与えることが予想される。
2022年1月施行の改正・電子帳簿保存法について
施行6か月経過も、「電子帳簿保存法に則して運用している」企業は約2割に留まる
「電子帳簿保存法に則して運用している」と回答した企業は23.3%となり、残りの76.7%の企業が運用できていないことが明らかになった。
従業員規模ごとに見てみると、従業員規模300~1,999人の企業のうち「電子帳簿保存法に則して運用している」と回答した割合は32.0%であることに対し、従業員規模30~299人の企業の同回答割合は18.9%という結果になった。中小企業の対応遅れが顕在化してきていることがわかった。
「猶予*期間がもうけられたので、従来通り紙に印刷し保存している」企業が3割以上存在
電子取引関係書類の保存方法に対しては、「猶予期間がもうけられたので、電子で受け取った請求書を、従来通り紙に印刷し保存している」と回答した企業の割合が31.6%となり、対応が先送りになっている様子が伺える。
また、「取引先に紙での請求書発行に切り替えてもらい、紙の請求書を保存している」と6.3%の企業が回答。電子帳簿保存法への理解浸透にも課題がある様子が伺える。
*「電子取引の保存義務」において、令和4年度税制改正大綱に2年間の宥恕措置が盛り込まれた。
本調査では、設問を分かりやすく表現するため“猶予”という表現を使用している。
<調査概要>
調査対象:経理・財務・会計担当者
調査地域:47都道府県
調査期間:2022年6月22日~6月27日
調査方法:インターネットリサーチ
有効回答数:848サンプル
回答者の所属する企業の従業員規模
出典元:株式会社ラクス
構成/こじへい