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芸能人を巻き込んだ投資トラブル事件、成立する犯罪と責任の所在は?

2022.08.06

お笑いコンビTKOの木本武宏さんが、数億円規模の投資トラブルに関与していたことに関連して、所属事務所との契約を終了したことが報道されました。

木本さんは、芸人仲間などを誘って、FX(外国為替証拠金取引)や不動産の投資家に運用資金を預けていたようです。このような投資トラブルでは、誰にどのような犯罪が成立し得るのでしょうか?

今回は、芸能人を巻き込んだ投資トラブルについて、問題となる犯罪の種類・成否・誰が犯罪の責任を負うのかなどをまとめました。

1. 問題となる犯罪①|詐欺罪

「投資トラブル=詐欺」というイメージは、社会的に根強いところでしょう。

しかし、出資者に損をさせたからといって、直ちに詐欺罪(刑法246条)に当たるわけではありません。投資は原則として自己責任であり、損をしたことは投資のリスクが顕在化したに過ぎないからです。

投資を勧誘する行為が詐欺罪に当たるのは、当初から運用資金を騙し取る意図があった場合や、預かっている運用資金を持ち逃げした場合に限られます。

典型的には「ポンジ・スキーム」が詐欺罪に該当します。

ポンジ・スキームでは、主宰者が出資者から集めた資金は運用に回されません。その一方で、しばらくは元本を切り崩したり、他の出資者から集めた資金を充てたりして「配当金」を捻出し、あたかも運用で利益を挙げているように見せかけます。

ポンジ・スキーム全体では全く利益が出ていないので、いずれスキームは破綻することになります。その結果、特に破綻の直前期に参加した出資者は、甚大な損失を被ってしまうのがポンジ・スキームの特徴です。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」とされています。

2. 問題となる犯罪②|金融商品取引法違反

出資者から集めた資金を運用し、収益を出資者に配当する仕組みは「集団投資スキーム」と呼ばれています(金融商品取引法2条2項5号、6号)。集団投資スキームによる資金の運用や出資の勧誘については、金融商品取引法のルールが適用されます。

集団投資スキームが投資トラブルに発展する場合、金融商品取引法違反の行為が見られるケースが非常に多いです。集団投資スキームに関する、代表的な金融商品取引法違反の行為を紹介します。

2-1. 無登録での金融商品取引業

集団投資スキームにより、出資者から集めた資金の運用を業として行う場合は「投資運用業」の登録を受ける必要があります(金融商品取引法2条8項15号ハ、28条4項3号、29条)。

また、集団投資スキームへの出資の勧誘を業として行う場合は「第二種金融商品取引業」の登録を受けることが必要です(同法2条8項7号ヘ、28条2項1号、29条)。

上記の対応する登録を受けることなく、集団投資スキームにおける資金の運用や出資の勧誘を業として行った場合は「5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金に処され、またはこれらが併科されます(金融商品取引法197条の2第10号の4)。

2-2. 契約締結・勧誘時の不実告知

金融商品取引業者は、集団投資スキームへの出資契約を締結する際、または出資を勧誘する際に、顧客に対して虚偽のことを告げてはいけません(金融商品取引法38条1号)。

たとえば、スキームの内容や期待利回りなどについてウソの説明をしたり、リスクを意図的に隠蔽したりする行為が金融商品取引法違反に該当します。

契約締結・勧誘時に不実告知をした金融商品取引業者には、以下の刑事罰が科されます。

①投資運用業に関する違反の場合
3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科(同法198条2号の2)

②それ以外の違反の場合
1年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、または併科(同法198条の6第2項)

2-3. 断定的判断の提供

金融商品取引業者は、不確実な事項について断定的判断を提供し、または確実であると誤解されるおそれのあることを告げて、集団投資スキームに関する出資契約の締結を勧誘してはいけません(金融商品取引法38条2号)。

たとえば、

「絶対儲かります!」

「必ず値上がりします!」

などと言って出資を勧誘する行為が金融商品取引法違反に当たります。

断定的判断の提供を行った金融商品取引業者は、金融庁による登録取消し・業務停止などの行政処分の対象となります(同法52条1項7号など)。

2-4. 損失補填の約束

金融商品取引業者は、顧客に生じた損失を補填することなどを、集団投資スキームに対して約束してはいけません(金融商品取引法39条1項)。

金融商品取引法に違反して、損失補填の約束などをした金融商品取引業者は「3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金」に処され、またはこれらが併科されます(同法198条の3)。

3. 善意で投資詐欺への出資を勧誘してしまった場合、犯罪に当たるのか?

集団投資スキームが詐欺的なものであることを知らず、友人などに対して出資を勧誘してしまった場合、勧誘者に詐欺罪は成立しません。勧誘者には、詐欺の故意がないからです。

その一方で、反復継続して集団投資スキームへの勧誘を行う場合には、第二種金融商品取引業の登録を受けることが必要です。

主宰者からキックバックなどを受けていないとしても、反復継続性が認められれば、登録が必要と判断される可能性があります。

もし無登録で金融商品取引業を行ってしまうと、詐欺に関する故意がない場合でも、金融商品取引法違反により処罰されることがあり得るのでご注意ください。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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