「より細く、より薄く」を目標に試作を繰り返す
財布に関する、最近のある調査によれば、半数近くが長財布を使用しているという。紙幣、硬貨、カード類が十分に入り、「ビジネスパーソンなら長財布」という通念もあって、長財布の人気は当面は続きそうだ。
一方、電子マネーの普及によって、「従来の長財布は大きすぎる」「財布はもっと小さいサイズでいい」と、買い替えを検討する人も増加中。
そんななか登場したのが、「SEAL」というブランドを展開する(株)モンドデザインが発売した「スーツな財布」だ。
「スーツな財布」の開発コンセプトは、「長財布のように使いやすく、二つ折り財布のようにコンパクトな財布」。
これまでの長財布は全体のサイズが大きく、二つ折り財布だと厚みが出る。どちらも、スーツの内ポケットに入れにくい上に、シルエットが崩れやすいというデメリットがあった。
「スーツな財布」が目指したのは、より細く、より薄く、しかし長財布の利点を失わないというもの。「数十回に及ぶ試作を繰り返して」出来上がったのは、クレジットカードの縦幅とほぼ同じ幅で、極限まで厚みを抑えた長財布だ。
■実際に使ってみたところ…
「スーツな財布」を取り寄せ、実際に使ってみた。最初見たとき、「メガネケース?」と思ったくらいスリムで、長財布という感じがしなかったのが印象的。
筆者がふだん使っている黒い長財布と比較すると、以下のようになる(写真のダークブラウンのほかにブラック、キャメルのカラーバリエーションあり)。
3枚目の写真をご覧のとおり、幅64mm、厚さ13mmとコンパクトながら、紙幣、硬貨、カードを収納するためのスペースは、しっかり確保されている。
それでも、「サイズのせいで長財布本来の機能が犠牲になっていないか?」とちょっと心配になった。特に、幅がクレジットカードの縦幅と同じということは、紙幣よりも縦幅が小さいということになる。
その課題は、紙幣の一部をフラップ部分まではみ出させることで解決している。つまり、フラップボタンを閉めたときは、紙幣も一緒に折れ曲がることになる。といっても、実用上の不都合は感じない。
硬貨は、フラップボタンで留めるスペースに収納する。30枚ほど入れることができる。
その右側が、カード類を入れておくスペース。6枚まで収納できる。
キャパシティいっぱいの紙幣10枚、硬貨30枚、カード6枚を収めた状態で、スーツの内ポケットに入るか確かめてみたが、超余裕という感じで入った。
通常の長財布を入れた際に、スーツのシルエットが崩れるという、あの嫌な感じもせずストレスフリー。さらに、スーツの前ポケットやスラックスの後ろポケットに入れても違和感ないほど。キャッシュレス時代の今、これ1つで完全に事足りるのではないかと実感した。
ちなみに、「スーツな財布」の素材には、イタリアのトスカーナ産ベジタブルタンニンレザーを採用。
これは、化学物質を一切使わず、植物から抽出される渋成分であるタンニンでなめすという加工法でできた革として知られる。
見た目の高級感もさることながら、使い込むほどに身体になじみ味わいが出るのが特徴で、もちろん、金属アレルギーがある方にも安心。
現在「スーツな財布」は、公式オンラインストアにて購入可能(送料込み16,500円)。興味を持ったらチェックしてみよう。
文/鈴木拓也(フリーライター)