小学館IDをお持ちの方はこちらから
ログイン
初めてご利用の方
小学館IDにご登録いただくと限定イベントへの参加や読者プレゼントにお申し込み頂くことができます。また、定期にメールマガジンでお気に入りジャンルの最新情報をお届け致します。
新規登録
人気のタグ
おすすめのサイト
企業ニュース

働くがん経験者「WorkCAN's」のメンバーが造った生きている喜びを心から実感できるビールを飲んでみた

2022.07.27

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

「ストーリーブリューイング」製法でつくられる「HOPPIN’GARAGE」

サッポロビール初の D2C ビールブランド「HOPPIN’GARAGE(ホッピンガレージ)」は、「魅力的な人々の人生ストーリー」からビールを生み出し、ストーリーを味わいながらビールを楽しむ新体験を届ける。通年発売のフラッグシップビール「ホッピンおじさんのビール」と、2か月に1回の頻度で人生ストーリーをもとにつくった新作ビールを発表している。

ホッピンガレージは、魅力的な人々の人生ストーリーとサッポロビールの醸造技術を掛け合わせた「ストーリーブリューイング」と呼ばれる製法を起用。一般的な商品開発とは異なり、“ビールにしてまで届けたいストーリー”を探すことから始まり、ストーリーに関わる人たちとともに、サッポロビールの醸造技術者や、デザイナーを交えて唯一無二のビールを作り上げていく。

「ストーリーを届けることにこだわっているので、販売もお客様に直接届けるD2Cに。中でも一番ストーリーをお伝えしやすい『ホッピンおじさんの新作定期便』は、2か月に1回の新作ビールと共に、もとになったストーリーを冊子にして届けるというサービスです。

ストーリーブックは定期便のキモであり、主人公がビールに込めた思いや、忘れられない人生体験を絵本とインタビュー記事でぎゅっと1 冊の本にまとめています。ストーリーブックを読みながらビールを飲むと、ビールの味とストーリーの味の相乗効果で、これまでにない飲用体験につながります。

私たちはビールを通じたストーリーを届けるということを一番大切にしています。様々な人たちとの予期せぬセレンディピティ(偶然の出逢い)を通じて、多様な価値観を認め合える世の中になるように貢献したいという思いで、2か月に1度の頻度でビールを作っています。

『どうしてビールにストーリーが必要なの?』とよく聞かれますが、ビールは乾杯がとても良く似合うお酒。人と人をつなぐ出会いをよりインプレッシブにする力がビールにはあるという思いからこの活動を展開しています」(サッポロビール 新規事業開拓室 マネージャー 土代裕也氏)

「ホッピンおじさんの新作定期便」として 8 月に届けられる商品が「HOPPIN’GARAGE Thanks & Cheers!(サンクスアンドチアーズ)」。

一般社団法人 CSRプロジェクトを中心にカルビー、サッポロビール、電通などのがん経験者の有志が参加している「WorkCAN s (ワーキャンズ)」は、働くがん経験者のピアサポーターズ。「働くがんサバイバーができること」という意味を団体名に込めて、働く世代でがんに罹患した仲間同士が様々な生活の知恵を共有しあえる場として活動している。

「Thanks & Cheers!」はワーキャンズが社会で同じ思いを持つ人たちと喜びを分かち合える共創の取り組みとして「WorkCAN’s Beer Project」を立ち上げ、「生きている喜びを心から実感できるビール」をテーマにつくり上げた。

「Thanks & Cheers!」では特別に、通常は「ホッピンおじさんの新作定期便」限定の特典であるストーリーブック付の限定セットで販売する。

「Thanks & Cheers!」はサッポロビールが育種したホップ「ソラチエース」を使用した、下面発酵のラガータイプのビールで、ヒノキやレモングラスのような香りとさわやかな苦みが特長だ。

「『Thanks & Cheers!』には、のべ250名もの人たちが関わりました。ホッピンガレージの中でも、250名もの人たちと作るのは初めての経験。誰一人同じストーリーはないので、コンセプトをどうまとめていくのか苦労しました。

実際にビールを作る醸造家もとても悩んでいましたが、一言で表せない複雑な味、香りをどう表現するかを考えた結果、ソラチエースという複雑な味わいを持つホップを使うことで、その表現にぴったりではないかと実現しました。

ソラチエースを使った『SORACHI1984』は上面発酵ですが、『Thanks & Cheers!』は下面発酵で、サッポロビールの中でもソラチエースをラガータイプで作るのは初めてとなります」(土代氏)

働くがん経験者と共創してつくり上げた「生きている喜びを心から実感できるビール」

発表会では「WorkCAN’s Beer Project」のメンバーが、「Thanks & Cheers!」ができるまでの過程やビールに込めた思いを語った。下記画像左から、カルビー 常務執行役員CHRO 人事総務本部本部長 武田雅子氏、サッポロビール 人事部 プランニング・ディレクター 村本高史氏、一般社団法人CSRプロジェクト代表理事 キャンサー・ソリューションズ代表取締役社長 桜井なおみ氏、電通ビジネストランスフォーメーション・クリエーティブ・センター グロースアーキテクト部ゼネラル・マネージャー LAVENDERRING主宰 月村寛之氏。

――「Thanks & Cheers!」が生まれた経緯は?

村本氏「コロナ前の2019年6月にがんサバイバーを中心とした飲み会『GANNOMI』を開催。参加者から『がんを経験すると“飲んじゃいけない”と思われて飲み会にも誘ってもらえなくなるけれど、がん経験者がお酒を飲みながら、がんやそれ以外のことを楽しく語る場があってもいいじゃないか』という話が出ました。

もちろん、がんなどの病気罹患後のアルコール摂取の可否については主治医の判断に従うという前提がありますが、がんとお酒は一見結びつきにくく、遠ざけられがちな面もあるからこそ、今回生きている喜びを実感できるビールをつくりたいという思いが沸き上がりました。

がんなどの様々な事情を抱える人たちが喜びを実感できるように、コロナ禍で不安を抱える人たちが生きていく喜びを取り戻せるように、そんなビールづくりに賛同するWorkCAN’sのメンバーを中心に社会の中で同じような思いを持つ人たちをさらに巻込み、サッポロビールのHOPPIN’ GARAGE の枠組みを活用しました。

2021年から2022 年の間に4 回のワークショップを Zoomで開催し、WorkCAN’s のコアメンバー13名に加え、一般応募の参加者の思いをつなぎながら意見交換を進めて行きました」

――多くのがん体験者の思いをどのように味で表現したのか?

桜井氏「“生きる喜び”という抽象的なテーマをどうやって味に落とし込むのか難しかったですが、参加者一人一人のエピソードや思い、そして、旅立ったたくさんの仲間の顔や思い出を思い浮かべながら話し合いを重ねました。

人生って、笑いもあり涙もある、苦しいときもあるけれど楽しいこともたくさんある、生きるってこういうことなんじゃない?それを全部味として包み込んでいけたらと考えました。

おいしいビールは世の中に数多くあるけれど、このプロジェクトだからこそ出せる味ってなんだろうと徹底的に考え、揺らぐと原点に戻ってもう一度考えることを繰り返して作りました」

武田氏「プロジェクトに関わった250名のドラマをシェアしながら味づくりをしました。ワークショップでみなさんの話を聞いてたくさん泣きましたし、笑いました。みなさんのストーリーを包み込むようなそんなビールができました。ビールのコク、うまみを感じながら重たくなくて、とても良い香り。これはサッポロビールさんの技術力の高さだと思いますが、こういう風に仕上げるのかと感激しました。

250名の中には、がんの経験者ではなくても共感をして参加してくれた方々もいます。いろいろな垣根を越えてひとつになってできたビールは、子どもが生まれたような気持ちです。このプロジェクトを機にこれからの活動がさらに広がっていく始まりでもあると感じています」

村本氏「ビールに関するエピソードや期待、どのような方向にしていくかという意見やアイデアをたくさんいただき、それを整理・分類するのが苦労しましが、それは同時に心震える良い時間でもありました。

悲しみの向こうに笑顔があるようなほろ苦さとさわやかさと香り、これを実際に味で表現するのはなかなか難しいと思いました。一言で表すと複雑な味ですが、出来上がったものを飲むとまさにこれが表現されていると感じました。人生は悲喜こもごもありますが、はっきりと分かれているのではなく、悲しみも笑顔も溶けあいながら人生は形作られてゆく。実際に『Thanks & Cheers!』を飲んだとき、いろいろな感情、味わいがひとつになっていると感じました。

がんサバイバーで医師から飲酒の許可が出ている方には、ぜひ共感して飲んでいただきたいし、新型コロナをはじめとして様々な不安を抱えながら毎日を過ごす方々にも、『Thanks & Cheers』を飲んでいただくことで、少しでも上を向いていただけるきっかけになればうれしいです」

――パッケージデザインに込められた思いとは?

月村氏「私はがん経験者ではないですが、がんサバイバーのためのプロジェクト『LAVENDER RING』と、社内で『LAVENDER CAFE』というがんサバイバーとサポーターのコミュニティ運営の活動を行っています。

パッケージデザインは、3方向の試醸品をもとに世界観をワークショップで確認しながら進めて行き、コンセプト案の中にあったマジックアワーを採用しました。日の出、日の入りの時間に繰り広げられる、昼と夜が混在しているような美しい時間帯。がんになっていろいろな思いを抱えながら生きているがん経験者の方々の苦しいこと、楽しいことすべてが詰まっていることをマジックアワーで表現しました。

空の下には建物の輪郭が描かれています。私もLAVENDER RINGの活動を通じて、いろいろながん経験者の方をお会いしましたが、入院中、窓の外の景色を見て寂しさを感じ、いつかまた戻りたいと思っていたと伺いました。いろいろな境遇の人たちが街の中で暮らしているということを思い浮かべ、気持ちを分かち合うという思いもパッケージに込めています」

――「Thanks & Cheers!」はどのような人に飲んでもらいたい?

武田氏「WorkCAN’sのCANはキャンサーのキャンでもあり、できるのキャンでもあります。がんだけでなく働くことについて制限がある方たちのサポートをするスタート地点にしたいと考えています。ビールは人同士が仲良くなるコミュニケーションツールとしてとても良いもの。これがスタートとなりいろいろな形で、いろいろな方向に広がっていけばいいと思います。がん経験者と聞いて遠いところの話だと思ってしまう人も多いかもしれませんが、いつ自分がそちら側になるかもしれません。輪の中に入っていただく方が、このビールをきっかけに増えればうれしいですね」

月村氏「ものを作るときクリエイターや有名シェフなどがプロデュースするケースが多いですが、今回はがんサバイバーの方々の思いがワークショップを通じて、オープンでコレクティブな過程を経て古典的なビールという形で実現できました。この新しさは非常に興味深いですね。

商品となって世の中に出ていった今、どのような人にどのようなシーンで飲まれていくのか興味があります。のどが渇いたからカーッと飲むというのもあるだろうし、悲しい気持ちのときにそっと缶を開けるかもしれない。250名の思いが詰まったビールとなると飲み方も人それぞれではないかと思います」

【AJの読み】ほろ苦さとさわやかな後味のビールは人生そのもの

「Thanks & Cheers!」に使われている「ソラチエース」は、1984年にサッポロビールが開発したホップだが、独特の香りから日本では日の目を見ず、アメリカから逆輸入の形で人気となった。

ソラチエースを使ったラガータイプのビールは今回初めて飲んだが、口に含むと苦味がありながら、ほんのりとした甘味も感じ、上面発酵ビールの時に感じるソラチエース独特の香りは一歩引いた印象で、ふんわりとやわらかな香りがある。苦味とさわやかさが混在したような複雑な味わい。これが「人生楽ありゃ苦もあるさ」を表現した味なのかと、しみじみと味わった。

アルコール摂取の可否は主治医の指示に従うことが大前提だが、「がん経験者がお酒を飲むことについて」記者から問われる場面もあった。サッポロビールの村本さんは咽頭がんのサバイバーであり再発手術で声帯を失ったが、発表会では毅然とした口調でこう答えた。

「がんになると、症状や治療に基づく制約があったり、気分的に落ち込むこともあります。周囲からの視線も温かいものもあれば、思い込みのような偏見もあることが実情です。今回ビールという商品を出したことで、一般の人たちが、がんサバイバーでもできることがあるということに気づき、がんサバイバーの勇気や希望につながればうれしいと思っています。がんになったからといって下だけを向く必要はない、上を向いて日々を明るく過ごして欲しいと思っています」

文/阿部純子


@DIME公式通販人気ランキング


興味のあるジャンルを登録して@DIMEをもっと便利に!話題のコーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」やAmazonギフト券が当たるキャンペーン実施中

@DIMEのSNSアカウントをフォローしよう!

DIME最新号

最新号
2022年7月14日(木) 発売

DIME最新号の特別付録は「USBパワフル扇風機」! 特集は「空旅VS鉄旅」「2022上半期トレンドキーワード」!

人気のタグ

おすすめのサイト

ページトップへ

ABJマークは、この電子書店・電子書籍配信サービスが、著作権者からコンテンツ使用許諾を得た正規版配信サービスであることを示す登録商標(登録番号 10401024号)です。詳しくは[ABJマーク]または[電子出版制作・流通協議会]で検索してください。