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商品や店舗をジャッジする番組やコンテンツは名誉毀損に当たるのか?

2022.07.25

東京地裁は2022年6月16日、アルゴリズムの変更に伴う評価点の低下によって損害を被ったとする飲食店の訴えの一部を認め、「食べログ」の運営会社に対して3840万円の損害賠償を命ずる判決を言い渡しました。

また、テレビ番組でチェーン店の商品を酷評した料理人が多くの批判を受けるなど、「ジャッジ」に関する炎上騒ぎがしばしば話題となっています。

憲法で「表現の自由」が保障されている以上、商品や店舗を「ジャッジ」することも基本的には認められるべきです。しかし、「ジャッジ」が行き過ぎると名誉毀損に該当し、民事・刑事上の責任を問われ得る点に注意しなければなりません。

今回は、商品や店舗を「ジャッジ」する番組・コンテンツに関して、法律上のルールや問題点をまとめました。

1. 「ジャッジ」に関する名誉毀損の3つのポイント

商品や店舗を「ジャッジ」(=批評・論評)することは、原則として表現の自由により保障されます(日本国憲法21条1項)。

ただし、一定の要件を満たす場合には、「ジャッジ」が名誉毀損に該当して違法となることもあります。「ジャッジ」が名誉毀損に当たるかどうかは、主に以下の3点を考慮したうえで判断されます。

1-1. 「ジャッジ」が公然と行われたかどうか

名誉毀損が成立するのは、「公然と」行われた言動に限られます。

「公然と」とは、不特定または多数の者に向けられた言動であることを意味します。名誉毀損的な言動を非難すべき理由は、他人の社会的評価を不当に下げてしまう点にあるため、「公然と」行われた言動であることが求められるのです。

この点、ウェブサイトやテレビ番組などで行われた「ジャッジ」については、不特定多数に向けられた言動として「公然と」の要件を満たします。

これに対して、対象店舗に直接非公開で「ジャッジ」の結果を伝えるような場合には、「公然と」の要件を満たさないため、名誉毀損は成立しません。

1-2. 対象店舗等の社会的評価を害する内容かどうか

名誉毀損は、他人の社会的評価を害する言動について成立します。

たとえばテレビ番組で、商品・店舗の具体的な欠陥を指摘して酷評する「ジャッジ」を行うことは、他人の社会的評価を害する言動に当たる可能性が高いです。

また、口コミサイトで対象店舗の評点を下げることも、多くの閲覧者が評点を参考にしていることを考慮すると、他人の社会的評価を下げる言動に当たる可能性があります。

ただし、単に「自分は好きじゃない」などと意見を表明するだけであれば、「他人の社会的評価を害する」とまでは言えず、名誉毀損は成立しないと考えられます。

1-3. 「ジャッジ」の前提となる事実の重要部分が真実かどうか

以下の3つの要件を満たす場合には、名誉毀損の成立が否定されます(公共の利害に関する場合の特例、刑法230条の2第1項)。

①公共の利害に関する事実に関係する言動であること
②言動の目的が、専ら公益を図ることにあったと認められること
③言動の中で摘示した事実について、真実であることの証明があったこと

商品や店舗についての「ジャッジ」は、消費者が購買等を行う際の参考情報となるため、①の「公共性」および②の「公益性」の要件を満たす可能性が高いです。

したがって、残る③の「真実性」の要件を満たすかどうかが問題となります。

この点、「ジャッジ」は品質等の事実を前提とする「意見・論評」にあたります。

意見・論評の場合、「前提とする事実が重要な部分について真実であること」を証明すれば足りるとするのが最高裁判例の立場です(最高裁平成9年9月9日判決)。

たとえば、「食材Aを使ったことでまずくなった」と述べたとします。

この場合、「まずくなった」が意見・論評、「食材Aを使った」がその前提事実です。

上記の例では、「食材Aを使った」ことが真実であると証明すれば、「真実性」の要件を満たし、名誉毀損は不成立となります。

これに対して、「食材Aを使った」ことの証明ができなければ、「真実性」の要件を満たさず、名誉毀損が成立する可能性があります。

2. 「ジャッジ」が名誉毀損に当たる場合の法的責任

商品・店舗に関して行った「ジャッジ」が名誉毀損に当たる場合、刑法・民法に基づき、以下の法的責任を負います。

①名誉毀損罪(刑法230条1項)
犯罪の疑いで逮捕・起訴され、刑事罰を受ける可能性があります。
名誉毀損罪の法定刑は「3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金」です。

②不法行為(民法709条、723条)
被害者である店舗・事業者等に対して損害賠償責任を負うほか、裁判所によって謝罪広告の掲載などの名誉回復措置を命じられる可能性があります。

最近では誹謗中傷が大きな社会問題となっており、その流れも影響してか「ジャッジ」のような批判・論評の言動が槍玉に挙げられることも増えました。

建設的な「ジャッジ」を行う権利は守られるべきですが、批判のトーンを抑えるメディアの動きが見られるのも、時流に鑑みれば仕方のない部分があるのかもしれません。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
https://abeyura.com/
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