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【ヒット商品開発秘話】累計9000万個以上売れている森永乳業「ビヒダス ヨーグルト 便通改善」

2022.07.25

■連載/ヒット商品開発秘話

 健康管理の一環で毎日ヨーグルトを食べる人も多いことだろう。現在、お通じで悩んでいる人たちから大きな支持を得ているのが、森永乳業の『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』である。

 2020年4月に発売された『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』は、ヨーグルト業界で初めて、便秘気味の方の便通を改善する機能性食品として開発。同社独自のビフィズス菌BB536を20億個配合している。ドリンクタイプも併せて発売されており、これまでに両方合わせて9000万個以上が売れている。

身近な食品でお通じの悩みを解決したい

「ヨーグルトの本質的価値、ど真ん中の価値は、腸内環境の改善、整腸、便通改善です。ど真ん中の価値をさらに高めたものが何かできないかと考えたことが開発のきっかけになりました」
『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』の開発経緯をこのように話すのは、営業本部マーケティング統括部中長期ウェルネスマーケティンググループ リーダーの飯吉奨(すすむ)氏。この考えの背景にあったのは、便通で悩む人が多いこと。「お通じの悩みは慢性的。朝起きたらお腹が痛かったり張っていたりと、日々不快感に悩まされていますので、身近な食品で貢献したいと考えました」と飯吉氏は続ける。

 企画は2019年に入ってから立てられたが、実は前身に相当する商品があり、それをリニューアルする形をとった。

 前身の商品とは、2017年10月に発売された『毎日爽快ヨーグルト』。主要成分が『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』と同じビフィズス菌BB536とラクチュロース(ミルクオリゴ糖)が配合されている。主な違いは機能性表示食品であるかどうか、ドリンクタイプもあるかどうか、『ビヒダス ヨーグルト』ブランドがどうか、という3点だけである。

2017年10月に発売された『毎日爽快ヨーグルト』(現在は終売)

『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』を喫食することでお通じの改善効果が見込めるのは、まず、ビフィズス菌BB536によって腸内でできた短鎖脂肪酸(酢酸)と乳酸が腸を刺激し、腸の動きを活発にするため。酸には有害物質であるアンモニアをつくる悪玉菌の活動を制限する効果がある。

 また、ラクスチュロース(ミルクオリゴ糖)も含有されており、腸内でビフィズス菌のエサになる。

『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』の場合、関与成分であるビフィズス菌BB536を14日間摂取した臨床試験で排便回数が有意に増加したことが認められた。便中のアンモニア量が減少したことも確認されている。

ビフィズス菌BB536を含む食品と対照食品を14日間摂取した臨床試験結果の比較。ビフィズス菌BB536を含む食品を摂取したときの方が対照食品を摂取したときよりも排便回数が有意に増加したことが認められた

 リニューアルに当たり機能性表示食品にすることにした理由を、飯吉氏は次のように話す。

「『毎日爽快ヨーグルト』はお客様の満足度が高いものの、明確な機能が訴求できなかったので何をしてくれるのかが伝わりにくいところがありました。ヨーグルトはロングセラーブランドが多くなじみの薄いブランドが定着するのが難しい面があることから、リニューアルして『ビヒダス ヨーグルト』ブランドとし機能性表示食品として発売することにしました」

繊細なビフィズス菌20億個を賞味期限期間中維持する

 機能性表示食品とするために求められたことは、関与成分とした20億個のビフィズス菌BB536の生存を賞味期限期間中担保すること。このため、『毎日爽快ヨーグルト』から処方が見直された。加えて、新たにつくることになったドリンクタイプにも同様のことが求められた。

 飯吉氏によると、ビフィズス菌の生存を担保するのは容易なことではないという。

 製造は同社の利根工場(茨城県常総市)で行なわれることになったが、同工場に新造されたドリンク製造ラインの初生産品となった。新造ラインで生産する初の商品が、これから発売される新商品。まだ安定稼働とはいかないラインでの量産試作は、既存ラインでの量産試作と比べ思うようにいかないことが多々あったという。

当たり前のことを強調して売れるのか?

 発売されたのは、新型コロナウイルスの感染拡大による初の緊急事態宣言中の頃。流通も何もかもが混乱し、商品を店頭に並べることすら難しい状況だった。

「マネキンを使って試食販売するのが新商品発売直後の王道ですが、いっさいできなくなりました。発売前に代替策を考えたのを覚えています」

 当時をこう振り返る飯吉氏。代替策として3日間無料モニターキャンペーンの実施や、一般のお客様に試食してもらいSNS上で感想などを公開してもらうことなどに取り組むことにした。これらは現在も継続して行なっている。

 2020年4月と5月にはエリアマーケティングを実施。対象地域でテレビCMをスポット的に放映した。

 エリアマーケティングを実施したのは、ヨーグルトでは当たり前の整腸やお通じの改善を強調しても売れるのかという疑問などが社内や小売店であったため。「素材としては間違いなく強いし他社との差別化もできる確信はありましたが、ポテンシャルを示すために実施しました」と飯吉氏は話す。

 エリアマーケティングの結果、実施地域ではその他の地域と比べて初動が良く、定着率が高いという結果が得られた。結果を全国レベルに置き換えると間違いなく売れると確信できたことから、6月には全国でテレビCMを打つことにしたほど。エリアマーケティング実施地域で見られた動きと同じことが全国的に見られるようになった。

森永乳業
営業本部マーケティング統括部
中長期ウェルネスマーケティンググループ
リーダー 飯吉奨氏

お通じで悩んでいるアスリートを支援

 また同社は、『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』の発売を機に「便通改善プロジェクト」を始めた。お通じで悩んでいる人向けに役立つ情報などを発信しているが、この一環で2022年5月、陸上競技者100名に『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』のサンプリングを実施した。3日間試してもらった後にアンケート調査したところ、アスリートの80%が「満足した」、83%が「まわりの人にすすめたい」と回答している。

 陸上競技者を対象にしたのは、テレビCMに起用した高橋尚子さんの言葉がきっかけになった。飯吉氏はこのように話す。

「CM撮影のとき、高橋さんから『私も現役のとき、お通じに悩みがありました』と聞きました。激しいトレーニングにより体内の水分が不足気味になることなどから、陸上競技者の中にはお通じで悩む人もいるのですが、ドーピング検査で引っかかることを避けるために薬を服用しないそうなんです。高橋さんは『薬で対処できないので、食品で何とかしたいという思いがずっとありました』とも話されたので、アスリートを応援するという切り口から試してもらうことにしました」

 プロジェクトでは今後も、悩みを抱えている人たちに寄り添いアプローチしていきたい考え。できれば秋頃に何かしらのアクションを起こし、購買につなげていきたいという。

取材からわかった『ビヒダス ヨーグルト 便通改善』のヒット要因3

1.ヨーグルトの本質的価値を高めた

 ヨーグルトの本質的価値は整腸。改めて強調するまでもないほど当たり前のことだが、便通改善機能を強調したことでお通じの悩み解決が実感しやすくなった。

2.ストレートなネーミング

 短い売場滞在時間中に目に留めてもらえるよう、機能をダイレクトに伝える商品名を採用。これ以上ないほどわかりやすいので、お通じで悩んでいる人からすると反応しやすかった。

3.業界初のインパクト

 ヨーグルトを摂ることでお通じの悩みを少しでも改善したい人からすると、何を選んでいいのかわかりづらいが、ヨーグルト業界で初めて、便秘気味の方の便通改善に効果が期待できる機能性表示食品として発売。業界初のインパクトは大きく、悩まず買えた面があった。

 購入者の感想として多いのが「効果が実感できた」。そのためか、かなりの割合でリピートされており、トライアル同様伸び続けているという。「お通じに悩みを抱えている方は非常に多くいらっしゃるので、まだまだ伸びしろはあると思います」と飯吉氏は意気込む。

製品情報
https://bifidus.jp/benpigimi/

文/大沢裕司

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