ウィンブルドンにボールドッグは登場する?
ペットの保険会社Many Pets が6月22日、ウィンブルドンに向けてSNS上でオープンレターを公開した。内容は従来のボールパーソン(ボールボーイ、ボールガール)に代わってボールドッグの採用を提案するもので、2023年のウィンブルドンでの実現に向けてトライアルを申し出た。
オープンレターを受けてロンドンにあるテニスクラブで行われた犬たちのトライアルの様子とその結果を紹介しよう。
ボールパーソンとは
テニスの大きな試合で、ネットの両脇やコートの周りでボールパーソンと呼ばれる少年少女が活躍するのを目にしたことがあるのではないだろうか。彼らはアウトになったボールを拾ったり、適切なタイミングで選手にタオルを渡したりと影ながら大切な役割を果たす。
テニスが貴族の娯楽であった時代にスタートしたと言われるボールパーソン。ボールパーソンは基本的にボランティアで運営されているにもかかわらず、数倍の倍率をくぐり抜け、テストや訓練を受けたあとでようやく手に入る、非常に人気のあるポジションだ。
ペット向けの保険を提供するMany Petsがウィンブルドン大会を5日後に控えた6月22日、ウィンブルドンに宛ててSNSでオープンレターを公開した。オープンレターの内容を見てみよう。
ウィンブルドン宛てのオープンレター
Many Petsがウィンブルドンに宛てたオープンレターの内容は次のとおり。
ご担当者様
ウィンブルドンの時期が近づいてきましたのでご提案があります。
テニスと言えば真っ先に思い浮かぶのが照りつける太陽、歓喜に沸く観客ですが、影の功労者であるボールガールやボールボーイも欠かせない存在と言えるのではないでしょうか。冷静沈着にボールを追って素早くコートを駆け抜けるボールパーソン。けれど、その役割を果たせるのは本当に彼らだけでしょうか。
考えてみてください。足が速く、運動能力に恵まれ、きちんと整列して待つことができ、4足歩行(2足歩行に勝る)をして、Emma Raducanu(現在イギリス女子のトッププレイヤー)の役に立つ彼らのことを。どんな人間よりもテニスボールに対する情熱があり、テニスボールを中心とする世界に生き、テニスボールで遊ぶことこそを目的としているのは彼らです。
今こそラブラドールとボクサー犬が実力を見せるときです。世界中の誰よりも集中し献身的に大役を果たすことのできる彼らこそ、今まで誰も見たことのない最高のボールガールとボールボーイになることは間違いありません。どうか、犬たちが2023年のオフィシャルなボールドッグになる可能性についてご検討ください。
Many Pets
いざ、トライアルへ
Many Petsからのオープンレターを受けて6月30日、ロンドンにあるウィルトンテニスクラブでブラドールとボクサー犬によるトライアルが行われた。トライアルの様子はMany Petsのアカウントで公開されている。
トライアルに参加した犬たちはライン傍に座って待ち、コート内を走ってボールを回収することに関してはもちろん、非常に素晴らしい成果を見せた。ただし、回収したボールを返したがらず、選手とつな引きのようになったり、おやつとの交換が必要な場面がたびたびあった。
トライアルの結果は?
トライアルに参加した犬たちのボールドッグとしてのスピードや敏捷さが充分であることはわかったが、来季のボールドッグの採用は見送られることに。理由は、犬たちが回収したボールを返したがらなかったこと。また、ボールに犬の唾液が付着することも懸念点となった。
トライアルを受けてMany Pets は、「素晴らしい結果になったとは言えないものの、まだ希望はある」と述べ、これからもトレーニングを続けることを明らかにした。
DailyStarがTwitterで行った調査によると、8711人中、78.2%がウィンブルドンでのボールドックの採用に賛成、21.8%が反対という結果であった。
ボールドッグは過去数回、ブラジルオープンで活躍したことがある。このときの目的は犬たちの里親を探すことで、このイベントのあと犬たちは無事、新しい家族の元に引き取られていったという。
2023年のウィンブルドンにはボールドッグが登場しない結果となったが、近い将来、ボールドッグの活躍が見られる可能性は消えていない。
参考:
An open letter to wimbledon | twitter @ManyPets
Plan to replace Wimbledon ball boys with dogs fails for very adorable reason | NYPost
Would you like to see dogs as ball boys? |Twitter @dailystar
文/森野みどり
編集/inox.