組込型金融
金融サービスが、より簡単に利用できる時代がやってきた。従来までは金融機関でしか提供できなかったローンや資産運用などの金融サービスを、小売店やECサイトといった金融業と関係ない企業のサービス内で利用できるようになったのだ。この仕組みは、「組込型金融」と呼ばれ、2019年11月に米国のベンチャーキャピタルが提唱し徐々に広まったとされる。企業と金融機関とをAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)という仕組みで接続して実現する。
国内で積極的に企業へAPIを提供する、GMOあおぞらネット銀行のCTO矢上聡洋氏は、組込型金融の普及によって利用者にどのようなメリットが生まれるのか、以下のように解説する。
「例えば自動車を購入する時、自動車販売店が提供するウェブサイトもしくはアプリと銀行APIを接続することにより、これまで自動車購入とローン契約、保険と別々の手続きが一つのサービスで一気通貫するようになります」
企業にとっても、「自社サービス内に金融機能を簡単に組み込めるので、新たなサービスの創出や業務の効率化につながる」(同前)のか目が離せない。
金融機関に直接アクセスする機会が減るので、ユーザーはより手間が少なく金融サービスが受けられる。もし爆発的に普及すれば、消費が増え、日本経済全体が上向くかも?
5年で8倍以上の市場規模になる見込み
米国での組込型金融の市場規模
4つの金融サービス領域での利用が見込まれる。銀行以外でいえば、証券会社や保険会社にも活用機会があるだろう。
「API」という仕組みで企業は金融機能を実現
企業と金融機関とがAPIで接続し、サービス内に金融機能を埋め込む。そのサービスはオンライン・オフラインを問わない。
取材・文/久我吉史