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「敬語は人間関係を見える化するツール」といわれる理由

2022.08.05

■連載/あるあるビジネス処方箋

4回シリーズで、ビジネスの現場で使う敬語の使い方をテーマに、ベテランのアナウンサーに話をうかがった内容を紹介する。今回は、その4回目(最終回)となる。

(その1)は、こちらから
(その2)は、こちらから
(その3)は、こちらから

アナウンサーは、梶原しげるさんと原田裕見子さん。お二人は、オンライン話し方教室・ツタバナの講師でもある。

 

梶原しげるさん
文化放送を経て、1991年からフリーアナウンサーに。報道からバラエティ番組まで数多くの番組に司会などとして出演。企業や公的機関、団体での話し方セミナーや研修の講師を務める。全国での講演も多数。日本語検定委員会審議委員、日本語大賞審査委員。オンライン話し方教室・ツタバナの主催者であり、塾長。語学に堪能で、英語、北京語による司会もする。東京成徳大学客員教授。

原田裕見子さん
静岡朝日テレビにアナウンサーとして13年間勤務。フリーアナウンサーとして東海ラジオやCBCラジオでアシスタントなどを務める。企業研修・講演・セミナー、経営者へのスピーチレッスン、企業や各種団体のオンラインセミナーや動画配信のアドバイザーとして、「伝わる話し方」を伝授している。

敬語は怖い?

Q、今回が最終回ですが、1回目からここまで話が続く中、敬語は怖いとつくづく感じました。

原田:確かに怖いのですが、便利なものでもあります。その場に適切な敬語を使えれば、ふだんは話すことができない上の立場の方とも会話を楽しめます。相手との距離感を調整できるし、上品さを伝えることもできるのです。

吉田:なるほど…。距離感で言えば、会社がリストラの一環として社員を辞めさせようとした結果、その社員が退職の意思を伝えると、上司や人事部、役員などが突然、使い始めるケースがあるのです。もう、その社員がソトの人といった扱いになるのでしょうね。

原田:せつない話ですが、ご指摘の通りです。使うかどうかはウチとソトで区別することができるのです。「ウチはへりくだり、ソトは上げる」を軸に考えるとわかりやすいと思います。ウチは距離が近く、親しい間柄。ソトは、その逆。

梶原:敬語は距離の言葉でもありますから、使うほどに相手との距離が遠くなってしまうことがあるんです。ある局の有名な歌番組では一般の視聴者が参加して歌うのですが、司会のアナウンサーが歌い終わった方に声をかけます。その敬語がとてもぎこちない時もあるんです。あれでは距離感をつくってしまうでしょうね。

原田:本当に難しいですよね。原則として初めて接する人の場合は、距離感もつかめていないので敬語からスタートします。会話を進めていく中で、その場の状況に応じて言葉遣いを調整して距離を縮めるとよいでしょうね。

吉田:以前、私が梶原さんに取材で伺った際に企業が問題の多い顧客に対し、敬語を使うのは相手との距離を作り、必要以上に近づけないようにするため、といった意味合いがあることを知りました。私には、新鮮な驚きでした。

原田:あまりに馴れ馴れしい人や図々しい人に対してあえて使うことで、毅然とした態度を示す、相手にすきを与えない、相手に巻き込まれないために使う方法もあるのです。
このように人間関係をスムーズにしたりして社会関係を保つことができるので、「人間関係を見える化するツール」と言われることもあります。

Q、最後に、20~30代の読者にメッセージをお願いします。

原田:言葉は敬いの気持ちを相手に伝える道具ですから、ぜひ使いこなしてほしいですね。気遣いや敬う心は相手に伝わってこそ。使い方が間違ってしまっても、自分のことを敬ってくれているという気持ちは伝わるはずです。間違いを指摘されたら、素直にその場で「申し訳ございませんでした」「ご指摘有難うございます」と答えて、めげずにまた頑張ればOKです!

梶原:私たちアナウンサーはいっぱい経験し、たくさん失敗したうえで難しさも含め、自覚していますからね。会社員の皆さんが一気にあれもこれもとあらゆる敬語の使い方を覚えようとしても無理が生じるかもしれません。

まずは、1つの敬語を使ってみるとよいでしょうね。それができると、自信がつくと思います。その繰り返しで、使える敬語を増やしていくといいと思います。

原田:たとえば、今週は「承知しました」を使ってみようと試みるイメージですね。その時に相手のリアクションを観察していると、段々と「程よさ」がわかってくるはずです。たくさん使って、失敗もする中で「ちょうどいい敬語」が自然に身についていきます。

心遣いあふれる態度や表情でコミュニケーションをとると、「あなたを大切に思っています」という気持ちはより伝わりやすくなります。心地いい言葉遣いで豊かなコミュニケーションを育んでください。

梶原:今回原田さんが説明したことは、1つも間違いはありません。私も勉強になりました。

吉田:お二人が講師をするオンライン話し方教室・ツタバナでは、会社の経営者や社員、自営業者や学生などの方を対象に、敬語に限らず、言葉の使い方をテーマに様々なレッスンをしていますね。今度は、私がレッスンを受けたくなりました。

お二人のやりとりを見ていて、アナウンサーは敬語の達人なのだと確信しました。空気を読んで、その時にふさわしい言葉を放つ。難しい!ありがとうございました。

(完)

文/吉田典史


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