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ベテランアナウンサーに聞いたビジネスシーンでつい使いがちな間違い敬語

2022.07.22

■連載/あるあるビジネス処方箋

敬語の使い方は大変に難しい。使い方を間違うと、その人の教養や人格まで疑われることがあるかもしれない。その意味で怖い。

今回から4回連続で、ビジネスの現場で使う敬語の使い方をテーマに、ベテランのアナウンサーに話をうかがった内容を紹介する。今回は、その1回目となる。

アナウンサーは、梶原しげるさんと原田裕見子さん。お二人は、オンライン話し方教室・ツタバナの講師でもある。

梶原しげるさん
文化放送を経て、1991年からフリーアナウンサーに。報道からバラエティ番組まで数多くの番組に司会などとして出演。企業や公的機関、団体での話し方セミナーや研修の講師を務める。全国での講演も多数。日本語検定委員会審議委員、日本語大賞審査委員。オンライン話し方教室・ツタバナの主催者であり、塾長。語学に堪能で、英語、北京語による司会もする。東京成徳大学客員教授。

原田裕見子さん 
静岡朝日テレビにアナウンサーとして13年間勤務。フリーアナウンサーとして名古屋を拠点に東海ラジオやCBCラジオでアシスタントなどを務める。現在は企業研修・講演・セミナー、経営者へのスピーチレッスン、企業や各種団体のオンラインセミナーや動画配信のアドバイザーとして、「伝わる話し方」を伝授している。

「させていただく」は、消えていく言葉?

Q ビジネスの現場で敬語の使い方を誤ると、問題が生じそうな事例を2~3ほど教えてください。

原田:まず1つは「~させていただきます」。たとえば「資料の件で、ご連絡させていただきました」。このように使う方は相手に丁寧に接したいといった思いが強いのでしょうね。

その気持ちはわかるのですが、この状況で本当に必要であるのかどうか、たとえば「~します」を使えば十分ではないかなと考えてみることが大切だと思います。

この場合は、「資料の件で、ご連絡しました」のほうがよいでしょうね。

本来、「~させていただく」は相手にゆるしをこう場合に使うフレーズです。何度も使うと聞きづらくなりますし、ちょっと鼻につくこともあるかもしれません。慇懃無礼な印象を与えかねないので注意が必要です。

私がイベントの司会をする際、台本に時々、次のように書かれていることがあります。

「定刻となりましたので、〇〇会を始めさせていただきます。わたくしは、本日の司会をつとめさせていただきます原田裕見子と申します。」

「~させていただきます」が多いですよね。多用する人はいったん付けると、ここでも、さらにここでもつけないと相手に失礼にあたるのでないかな、と思うのかもしれませんね。

こんな風に伝えると、いかがですか。

「定刻となりましたので、〇〇会を始めて参ります。わたくしは、本日の司会を務めます原田裕見子と申します。」

梶原:そのほうが、すっきりしますよ。「~させていただく」は、恩恵敬語と言うんです。自分が恩恵を被る時に使います。たとえば、ある人の了承を得てお金を借りる場合、その人の前で「お金を100万円程お借りさせていただきます」のように使うのです。

あるいは、好きな女性とデートをする時に女性の父親や母親に「お嬢さんとデートをさせていただいてよろしいでしょうか?」とも使えます。

「させていただく」を多用する使い方は、早いうちに駆逐されていくと思います。私は、冗談も交えて‟バカ語”と呼んでいるんです。

原田:頻繁に使うのは避けたいところです。ここで本当に必要なのかな、と立ち止まって考えることが大切だと思います。

「なるほどですね」は、気持ちが悪い言葉?

原田:問題が生じやすい言葉の2つめが、「なるほどですね」。相手の言葉を受け、「同意します」という意味合いの相づち「なるほど」に、丁寧語の「ですね」をつけたものです。

「なるほどですね」の「なるほど」は相手の言っていることに共感し、相手に対して評価をするという意味を含んでいます。自分よりもキャリアや実績が豊富であったり、年上や上司など目上の人とのやりとりには使わない方が無難です。

思いを丁寧に伝えようという気持ちはわかるのですが、聞く人によっては、自分が見下されているように感じてしまうかもしれません。話している本人も軽く見えてしまう場合があります。

吉田:原田さんが言われたら、どう感じますか?

原田:気持ちがいい言葉ではありませんね。たとえば、「なるほど、おっしゃる通りです」と答えたほうが感じがいいですよね。

梶原:丁寧語の度合いを強めたものとして、「なるほどでございますね」があります。同じ言葉を繰り返すとよろしくないから、例えば「さようでございますか」と変化球を投げるのもいいと思います。

原田:こうしたフレーズがスッと出ることで、話し手が知的に見えませんか。同じ言葉を繰り返し話すことは、日本語のたしなみとして避けたいですね。

梶原:多様な言葉を使うことが、大切なのです。「なるほどですね」を繰り返していると、その人の教養を疑われかねませんね。

吉田:なるほどですね…。あっ、これがいけないんだ!

その2に続く。

文/吉田典史

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