いよいよプレゼン本番。準備は完璧でもここで失敗すればすべては台なし…そんな緊張や不安に負けず、熱意をもって伝えるにはどうすればいいのか。プレゼンの神、澤円さんに教わった。
株式会社圓窓 代表取締役
澤 円さん
元・日本マイクロソフト株式会社業務執行役員。DXや生産性向上、組織マネジメントなど幅広い領域のアドバイザーやコンサルティングを手がける。著書に『世界No.1プレゼン術』など。
担当する作業が多いからこそ幾重にもリスクヘッジを
リモートプレゼンを本番で成功させるうえで必要な要素は何か。元マイクロソフト業務執行役員で、“プレゼンの神”との異名を持つ達人・澤円さんはこう語る。
「基本的に、プレゼンは準備が9割です。特に、リモートの場合は、画面の切り替えや機材管理など、リアルのプレゼンよりも本番で自分ひとりが担当する作業が多い。万が一の場合も、周囲の人に助けてもらえないわけです。だからこそ、リモートプレゼンでは一層準備が大事です。本番に向けて何度も練習し、機材の調子も確認し、万が一を想定して対策を整えておく。念入りに準備すればするほど、失敗の確率は減ります」
また、いまだ「リモートプレゼン=リアルのプレゼンの代替」と考える人も多いかもしれないが、リモートならではの強みもある。
「まず、対面では座席によって、見え方や距離感が変わるものでしたが、リモートの場合は、すべての人に最前列で同じクオリティーのプレゼンを見てもらえるという強みがある。あと、いろんなテクノロジーを本番で使えるのも大きなメリットです。ワンタッチで画面を切り替えたり、突然、動画をはさんだり、『良いサイトがあるので、ぜひチェックしてみてください』などとその場でURLを共有したりと、対面時よりも多くの情報を盛り込むことができます。今後、リモートプレゼンの可能性は、ますます広がっていくはずです」
リモートプレゼンのスキルをどれだけ向上させられるか。それが、ビジネスパーソンとしての命運を大きく左右していくだろう。
リモートプレゼン本番!心に留めたい極意
〈Message 01〉プレゼンは生きざま。飾らず自分らしく!
「プレゼン=プレゼント」だと語る澤氏。相手が喜ぶハッピーな未来を伝え、引き出したい行動を起こさせるのがゴールだと言う。「ポイントは、リアルな経験を混ぜて話すこと。その人らしさが出ると伝わります」
〈Message 02〉オンラインでは特に聞き手が飽きない工夫を
リアルでは同じ空間に人が集まり非日常を体験できるが、リモートプレゼンは慣れた環境でPCを見るだけなので聞き手が飽きやすい。「プレゼンターは意識的にモニターに変化をつけ、聞き手を惹きつける工夫を!」
〈Message 03〉トラブルに備え、決して機材と戦わない
スライドが動かない。PCの調子が悪い。こうしたトラブルはオンラインにはつきもの。「万が一現場で何かあっても、機材と戦うのではなく、すぐに次の手を打てるように二重三重にリスクヘッジしておきましょう」
本番で気をつけるポイント
カメラ目線はやりすぎ注意
カメラ目線は大事だが、プレゼン中カメラを見つめ続けるのはNG。「モニター越しとはいえ、誰かと目が合い続ける状態は、相手に圧を与えて疲れさせる。視線は適宜分散させましょう」
画面に映る自分の表情を意識して!
リモートでは対面時より顔がアップになるため、表情にも気配りを。「上から目線に見えないよう、カメラはやや上に設置しましょう」
「プレゼン用」の声で話す
「プレゼンでは少し高めのトーンで話すと、クリアに聞こえ印象が明るくなります」。澤さんは鼻腔に響かせる発声も心がけている。
服装で印象づけるのもあり!
「いつも黄色の服を着る」など見た目で印象づけるのもいい。ただし、普段からその服装など自分らしさがここでも重要。
お茶・ティッシュは近くに置いておく
「のどが渇いた」「鼻水が出る」などの生理的欲求はプレゼンの大敵。「集中力がそがれないように、備品を近くに置いておきましょう」
トラブルに備えサブ機やノートも用意!
機材トラブルに備え、サブのPCやスマホの常備はマスト。「スライドが動かない場合を想定し、ホワイトボードやノートも準備すると安心です」
@DIME読者に聞いた!リモートプレゼンで困ることTOP5をプレゼンの神が解決!
ビジネスパーソンはリモートプレゼンでどんなことに困っているのか。@DIME読者の調査で浮かび上がった5つの悩みに、澤円さんが答える!
困ったランキング1位「相手の反応がわかりにくい」
[解決策]リアクション機能などを駆使して、反応を得る努力を!
空間をともにできないリモートプレゼンでは、相手の反応がわかりにくいもの。「まずは反応を得る努力をしているか振り返ってみましょう。『ここまでご理解いただけましたか?』と問いかけ、リアクションボタンで反応してもらったりすれば聞き手の反応を引き出せます。これにより双方向の交流が生まれ、アイスブレークにもなりますよ」
困ったランキング2位「こちらの感情・熱量が伝わりにくい」
[解決策]「対面時は熱量をどう伝えていたか」を言語化して
まず対面時は熱量をどう伝えていたか分析を。「声の大きさ、資料、動作など、何で伝えていましたか?『リモートでは無理』と思考停止するのではなく、自分の強みをオンラインでどう出せるのかを考えて」
困ったランキング3位「画面共有の際、操作でまごつく」
[解決策]まずは練習!ピンチの時は、焦らずトークで間をつなげ
「大前提は練習が大事」と前置きしたうえで、澤さんは対処法をこう提案。「焦らず『操作中なので少しお待ちくださいね』などとトークで状況説明を。何をしているのかがわかれば、参加者も安心してくれます」
困ったランキング4位「画面がフリーズする、音声が切れるetc. トラブルでプレゼンが中断」
[解決策]状況を連絡しつつ、サブのデバイスに切り替える
プレゼンが中断してしまった場合は、まずスマホで主催者に状況を連絡。その後はとれる対処法を片っ端から試すことが重要だ。「機器トラブルがあった場合は、サブのデバイスに切り替えを。パソコンの通信が切れたなら、スマホですぐ接続を試す。何より、こうした万が一に事態を考えて、事前に幾重にも準備することが大切です」
困ったランキング5位「質疑応答で答えられない質問をされた」
[解決策]プレゼンターは、すべての質問に答える必要はない!
プレゼンで多くの人が苦手とする質疑応答。だが、澤さんは「質問はあくまでオプションサービス」とバッサリ。「よくわからないまま曖昧な回答をするのは避けたいですね。調べて連絡すると答えたり、担当者を紹介する形でもいい」
こちらの声も多数!「緊張してしまってうまく話せない」
[解決策]「緊張してます!」とカミングアウトしたほうがいい
人前で話すのが苦手だという人は、冒頭で「緊張してます!」と素直に伝えるのがベスト。「欧米のある調査では、怖いことのトップ1位は『人前で話すこと』でした。欧米でも苦手意識を持つ人が多いのです。誰しも緊張するのは当然。この一言がアイスブレークにもなります」
取材・文/藤村はるな
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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