プレゼンにおいて話し手の信頼感は重要だ。リモート環境に配慮し、印象アップを目指そう。環境作りのコツをプレゼンのコンサルティングを手がける髙橋惠一郎さんに教わった。
YouTubeチャンネル『ザ・プレゼン大学』主宰
髙橋 惠一郎さん
プレゼンテーション・プロデューサー。プレゼンに関するトータルなコンサルティングを手がける。著書に『世界一やさしいPowerPointの神ワザ見るだけノート』。
相手と自分、双方の集中力を高めるためにノイズを排除
オンライン、オフライン問わず、プレゼンで重要となるのは、相手にわかりやすく伝えること。「どういう意味だろう?」と相手に理解させる努力をさせてしまってはいけないと、髙橋さんは言う。
「そうしないために話し方は大切ですが、オンラインではそれ以前に、配信の環境が重要です。例えば、背景が乱雑、映像が不鮮明、周囲の騒音があると、相手の集中力がなくなり、離脱してしまう。まずは、見づらい、聞き取りづらいといったノイズを徹底的に排除しておく必要があるのです」
カメラとマイクはパソコンに内蔵されているケースが多いが、アップグレードすることで、より相手に伝わりやすくなる。その中でも、重要なのはマイクの性能だという。
「オンラインプレゼンにおいては、見づらい映像よりも聞きづらい音声の方が致命的なので重要度で言えば、カメラよりもマイクです。音質に問題を感じるなら、まずはマイクに投資しましょう。数千円の安いものでも十分に効果が感じられるはずです。エアコンなどの環境音を拾わないだけで印象がだいぶ変わります」
マイクの工夫として、髙橋さんは使用する時にさっと口元にマイクを移動させられる可動式のブームアームを導入した。
多くの機器がワイヤレス化されていることもあり、髙橋さんのデスクまわりは非常に整っている。
「極力物は減らしてシンプルにしています。カメラに映らなくても、自分の目に入ると気が散ってしまいますからね。あと、テンションが上がることも大切だと思います。気持ちよく机に向かえれば、プレゼンの質も高まります」
リモートプレゼンでは、相手に見えない環境も大事なのだ。
環境を整えると印象は劇的にアップする
左右の写真の人物が同じ内容のプレゼンを行なったとしたら、どちらが伝わりやすいだろうか。話す人の印象は成果を大きく左右する。「顔色、背景、音声など、周囲の環境を整えれば、それだけで印象はアップします」と髙橋さん。
何も使わない場合のZoom画面。顔色が青白く背景は不自然。手を動かすと指先がブレてしまった。
信頼感・説得力が段違い!
環境を整えた場合のZoom画面。顔色が良く、背景がなじんでいる。この映りを実現するのが写真下の環境だ。
髙橋さんのリモート環境。法人研修やセミナーなどもここで行なっている。(1)マイク:SHURE『MV7』、実勢価格約3万2000円。エルガトのブームアーム『Wave Mic Arm LP』にセットして使用。(2)ライト:エルガト『Key Light』、実勢価格約2万2500円(価格は1台分)。(3)Webカメラ:ロジクール『C980』、実勢価格約1万7000円。
〈必需品1〉マイク
雑音が入りにくいダイナミックマイクが◎
マイクには主に2種類ある。コンデンサーマイクは感度が高いのが特徴だが、周囲の音を拾いやすい。ダイナミックマイクはコンデンサーマイクに比べると感度が低く口元に近づける必要があるが、自宅や会社などノイズが多い環境に適している。
マイク位置を調整しやすいよう、髙橋さんはブームアームを使用。
〈必需品2〉ライト
リングライトでもOK!調光しやすいとなお良し
ライトを正面から当てると顔の印象が大きく変わる。一般的なリングライトでもOKだが、頻繁に使うなら操作性をチェック。髙橋さん愛用のエルガト『Key Light』は、PCやスマホ上のアプリからオンオフや明るさ、色温度を調整できる。手元で操作できるのは便利。
〈必需品3〉ウェブカメラ
カメラ目線が超大事!角度を調整しよう
リモートプレゼンでは、フルHD(1080p/60fps)の画質があれば十分で、それほど高性能なカメラは必要としない。ただ、外付けのウェブカメラを使えば、PC内蔵のカメラよりもアングルの自由度が高まり、カメラ目線などベストな状態にもっていける。
『C980』はディスプレイに引っかけて使え、角度調節も簡単。
【伝わるコツ1】背景も〝ノイズ〟になり得る!バーチャル背景は人物となじませる
リモートプレゼンで重要なのは、〝ノイズ〟を排除すること。背景に映り込むものもノイズのひとつとなる。自宅からプレゼンする場合、生活感のある部屋が映り込んでしまうのはNGだ。白い壁などを背景にするか、ここ一番のプレゼンなら、オフィスや会議室などフォーマル感のあるバーチャル背景を使用したい。
クロマキーを使用すれば合成が自然に
グリーンのクロマキー背景布を使えば、人物がきれいに切り抜かれて背景との合成が自然になる。髙橋さんが使用するのは、エルガト『GREEN SCREEN』(実勢価格約2万550円)。折りたたみ式で使用しない時は邪魔にならないのが特徴だ。
設営は10秒!
未使用時はソファの下に収納できるコンパクトさ。設営は一瞬で完了。
自分と背景の色味を合わせる
ウェブカメラのホワイトバランスはOFFに
クロマキーを使用する時は、カメラのホワイトバランスの自動補正をオフにしよう。背景布の緑色に合わせて補正されることを防ぐ。
【伝わるコツ2】背景素材は目線の高さに注意して選ぶ
ストックフォトなどに背景に使える画像が用意されている。ただ、目線の高さや画角が人物の映像と合わないと、違和感が生じてしまう。しっくりくるものを選ぼう。
こんな背景に人物を合成すると、宙に浮いたようなイメージに……。
【伝わるコツ3】プレゼンに集中するため机の上は必要なものだけに
たとえカメラに映らなくても、机の上はできるだけ整理しておきたい。散らかっていると、本人が気づかなくても集中力が低下する。良い環境が良いプレゼンを生むのだ。
髙橋さんは、ACアダプターやケーブル類をデスクの裏側にまとめるツールを使用。
【伝わるコツ4】本番と同じ環境で練習を繰り返そう
事前練習はマスト。オンライン会議システムの録画機能で、話し方や表情などをチェックしよう。特にオンラインで注意したいのは目線。カメラを見て話すよう練習しよう。
画面ではなくカメラを見る!
カメラ目線で話すと相手に伝わりやすい。高さは目の位置に近づける。
取材・文/小口 覺
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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