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1インチセンサーを搭載した最強カメラスマホ「AQUOS R7」はお買い得?

2022.07.19

■連載/石野純也のガチレビュー

 昨年登場したシャープの「AQUOS R6」は、スマートフォンとして初めて1インチのセンサーを搭載し、大きな話題を集めた。現時点でも、ここまで大判のカメラを採用した端末は世界で数えるほどしかない。国内では、ソニーの「Xperia PRO-I」がほぼ唯一の対抗機と言えるだろう。そんな中、当のシャープが1インチセンサーを搭載した端末を、再び世に送り出した。それが、ドコモとソフトバンクから発売になった「AQUOS R7」だ。

 サイズは同じ1インチだが、センサー自体は最新ものに刷新。新たに像面位相差センサーを取り入れ、課題だったオートフォーカスが高速化しているほか、画素数も4720万画素に上がった。画素数が向上することで、ピクセルビニングを使って感度を上げられるようになった。さらに、4720万画素をそのまま使って切り出すことで、劣化のないズームを可能にした。

 チップセットに「Snapdragon 8 Gen 1」を採用し、スペック的にも国内トップクラスのAQUOS R7だが、カタログの数値では表しきれない実際の使い勝手はどうか。カメラやその使用感を中心に、ディスプレイや処理能力、指紋センサーなどまで含めた同モデルの実力をチェックしていく。

1インチセンサーを刷新したAQUOS R7。その実力をチェックした

1インチのカリッとした画質は健在、暗所をものともしない撮影性能

 まずはAQUOS R7の顔とも言える、カメラから見ていこう。背面上部の中央には、堂々とした1インチセンサーが鎮座している。レンズやモジュールにどうしても厚みが出てしまうが、それを逆手に取って、カメラを強調したようなデザインになっている。段がついていることで、視覚的にも厚さが分散しているように見える。測距用の補助カメラは搭載されているが、AQUOS R7では、すべてこの1インチセンサーで撮影を行う。この点は、AQUOS R6と同じだ。

映像を残すためのカメラは1つのみという潔さ。カメラ部分は段がついたデザインで、厚さをうまく隠している

 画質の高さは健在。センサーサイズが大きく、しかも4720万画素を1200万画素相当で撮影するため、暗い場所で撮ってもノイズが少ない。HDRも強力に効いており、明暗差がはっきりした場所で、白飛びしてしまうような部分もしっかり写っている。ポートレートモードを夜に使っても、しっかり解像感のある写真が撮れるのはさすがだ。彩度はやや高めで、記憶色がしっかり残っている印象を受ける。

暗所でのノイズの少なさや、HDRの効きのよさはさすが1インチセンサーにコンピュテーショナルフォトグラフィーを組み合わせただけのことはある

暗所でのポートレートモードも、解像感が高い。肌の滑らかさなどもしっかり表現されている

 通常、暗い屋内で料理などを撮ると、色の情報が失われてしまうが、AQUOS R7に搭載された1インチセンサーは、このようなシチュエーションにも強い。場の暗い雰囲気を残しつつ、色味が不自然になっていない点は優秀だ。それでいて、肉眼で見るよりは明るく撮れている。明るめの店内で撮った料理も、色が瑞々しく、パリッとした解像感のある写真に仕上がった。1インチセンサーの実力が、いかんなく発揮されていると言えるだろう。

照明をかなり絞ったレストランでも、料理の色味が失われておらず、解像感が高い

 ズームに関しては2倍以上になると、自動でリモザイクがかかり、画質が劣化しない。通常時は複数のピクセルを束ねて1200万画素として撮影しているが、ズーム時にはそれを解除し、4720万画素をフルで使うということだ。そのぶん、受けられる光量は落ちてしまうが、高い画素数から切り出しているため、原理的には画質は落ちない。実際、暗い場所で撮っても、被写体をきちんと捉えることができた。光量が足りないため、ややボンヤリした仕上がりだが、デジタルズームのように足りない部分を無理やり補っているような仕上がりではない。

リモザイクでズームしており、暗所撮影でも解像感が保たれている

 同じ1インチセンサーのため、AQUOS R6からずば抜けて画質が上がったというわけではないが、他のスマホには真似できないほど、写真のクオリティは高い。コンピュテーショナルフォトグラフィーでHDRなどをはじめとした処理を加えていることもあり、撮って出しの写真のクオリティは下手なデジカメ以上。そんな写真を、この厚みのスマホで撮影できるのは驚きだ。

先代から大きく向上した撮影時の操作感、ピントもシャッターも高速

 単に画質がキレイなだけなら、1インチセンサーを搭載したAQUOS R6でもいいが、決定的な違いになっているのが、オートフォーカスの速さだ。ここには、像面位相差オートフォーカスを採用した効果が、如実に表れている。人物がフレームに入るとすぐに顔にピントが合うし、合わせたい場所をタップするだけで、すぐにピントの位置を変更することも可能。シャッターボタンをタップした際のタイムラグも少なく、テンポよく写真を撮っていける。

ピントが一瞬で合うようになり、決定的瞬間を逃しにくくなった

 AQUOS R6は、この点が大きな課題だった。画質は高いものの、ピントが合うのが遅く、シャッターボタンを押したあと、実際に撮影されるまでのラグも大きかった。アップデートで改善はしているものの、粗削りな面があった点は否めない。AQUOS R7はこうした課題が、ほとんど解消されている。スマホのカメラは、じっくり構えて作品を撮るというより、サッと取り出し、日常の1シーンを切り取るために使うことの方が多いだろう。フォーカスの速いAQUOS R7は、そんな用途にもしっかりマッチする。画質の高さはそのままに、撮影時のストレスが大幅に軽減された格好だ。

 ピントよりシャッターを優先する「レリーズ優先」設定や、マニュアル撮影時のRAW保存といった設定も用意されている。撮影のしやすさという点では、ディスプレイがフラットになった点も大きな変化だ。AQUOS R6は、左右が湾曲していたため、撮影時に手がディスプレイに当たってしまうことがあった。フラットディスプレイを採用しているAQUOS R7では、こうしたミスが起こりづらい。左右がカーブしたディスプレイは、ベゼルが見えなくなり、映像の没入感は高まる一方で、操作性は落ちる。その意味で、AQUOS R7はディスプレイも撮影に最適化させたと言えそうだ。

レリーズ撮影などの設定も用意されている

ディスプレイがフラットになり、撮影時に誤操作する心配が減った

 ディスプレイと言えばシャープ。形状は変わったが、2000ニトのピーク輝度や、10億色の色数、2000万対1の高いコントラスト比は健在。撮った写真を階調豊かに表示でき、PCなど、ほかのデバイスで表示させるよりもキレイに見える。リフレッシュレートは120Hzの間に黒い映像を挟んで残像を減らす240Hz対応で、スクロールなども滑らか。スマートフォンの中では、トップクラスのクオリティといっても過言ではない。

 カメラ回りであえて難点を挙げるとすると、やはりレンズの被写界深度が浅すぎるということ。料理やSNSにアップする商品など、いわゆる物撮りをする際に、不必要な場所までボケてしまう。センサーが大型化しているため、トレードオフになる部分ではあるが、Xperia PRO-Iのような、絞りを変更できる機能があると、こうした失敗は防げる。カメラのクセとして覚えておくことで、ある程度は回避できるが、次機種以降のモデルでは、絞りを操作できるような機能も加えてほしい。

撮影したものに奥行きがあると、不必要な場所までボケてしまうことはある

スマホとしても高性能で、指紋センサーは特に優秀

 1インチカメラが機能面で突出しているAQUOS R7だが、スマホとしての使い勝手もよく、バランスはいい。先に挙げたとおり、240Hz対応のディスプレイを搭載していることもあり、レスポンスは非常に良好。指に吸い付くように映像が追従する。処理能力も高い。チップセットには最上モデルに採用されるクアルコムのSnapdragon 8 Gen 1を搭載。CPU、GPUともにベンチマークでのスコアも高く、操作感のよさを証明する。

Snapdragon 8 Gen 1の高い処理能力が生かされている

 他の機種で採用例が少ない、超音波式の指紋センサーも継承した。画面内指紋センサーは背面や側面にセンサーを置いて凹みを作らなくて済むぶん、デザインの自由度が高まる一方で、認証できる範囲が狭く、位置を目視する必要があり、使い勝手があまりよくなかった。超音波式でも指を当てる位置を確認しなければいけない点は同じだが、その範囲が広く、適当に指を置くだけで指紋を読み取ってくれる。しかも読み取り速度が速く、文字通り一瞬だ。

超音波式の3D指紋センサーは、読み取りがとにかく速い。ロック解除も一瞬だ

 デザインに関しても、完成度が高まった印象を受ける。背面はさらさらとしたガラス素材で、光沢感がありながら、ブラックでも指紋が目立ちづらい処理が施されている。側面のフレームとも一体感がある。カメラ部分がユニットになって強調されすぎていたAQUOS R6より、たたずまいも自然。高級感が大きく増しているように見える。あくまで筆者の主観だが、1インチセンサーが2世代目になり、肩の力が抜けたような印象も受ける。

背面はさらっとしたガラスで、光沢感もある

 細かい点かもしれないが、側面からGoogleアシスタントボタンがなくなり、ボタンの数が減ったのもソリッドなイメージを与えることに貢献している。Googleアシスタントは音声で各種機能やIoT家電を操作でき、非常に便利な一方で、音声や画面のスワイプで呼び出せることもあり、専用のボタンまでは不要だった。非搭載の方向に舵を切ったのは正解だ。一方で、撮影時の操作性を考えると、シャッターキーはあってもいいと感じた。特に横位置で構えて撮る場合、画面上のボタンだと指を動かした際に安定感を欠いてしまう。

側面のボタンが1つ減り、よりすっきりした印象に仕上がった

 いくつかの改善点は挙げたものの、いずれも些細な部分で、致命的な欠点というわけではない。撮影時の操作感が格段によくなったことで、完成度は大幅に高まり、ストレスなく使える1台に仕上がっている。1インチセンサーを搭載したAQUOSの2世代目ということもあり、幅広いユーザーが満足できる。特にカメラにこだわりのあるユーザーには、ぜひ手に取ってその実力を確かめてみることをお勧めしたい。

【石野’s ジャッジメント】
質感        ★★★★★
持ちやすさ     ★★★★
ディスプレイ性能  ★★★★★
UI         ★★★★★
撮影性能      ★★★★★
音楽性能      ★★★★★
連携&ネットワーク ★★★★★
生体認証      ★★★★★
決済機能      ★★★★★
バッテリーもち   ★★★★★
*採点は各項目5点満点で判定

取材・文/石野純也

慶應義塾大学卒業後、宝島社に入社。独立後はケータイジャーナリスト/ライターとして幅広い媒体で活躍。『ケータイチルドレン』(ソフトバンク新書)、『1時間でわかるらくらくホン』(毎日新聞社)など著書多数。

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