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「あると便利なもの」から「なくてはならないもの」へと進化するApple Watchの心房細動履歴機能

2022.07.14

Appleは、Apple Watch向けに今秋リリース予定のwatchOS 9で心房細動の履歴機能をサポートする。同時に、服薬アプリも実装され、薬の飲み忘れを予防したり、特定の薬品の併用リスクを確認できるようになる。国ごとの規制により、それらの機能が実際に使えるようになる時期は一定ではないが、常時装着しているウェラブルデバイスでこうした機能が実現されることには大きな意義がある。ここでは、他のヘルスケアビジネスの動向も概観しつつ、心房細動履歴の重要性について解説する。

心房細動は心臓のサブポンプの不調

人生100年時代といわれる昨今だが、実際に重要なのは単純な寿命の延伸ではなく、日常生活を維持できる健康寿命の長さである。その妨げとなっているものに心疾患があり、これは過去30年以上にわたって、世界における死因の第1位、日本でも1997年以降、悪性新生物(癌)に次ぐ死因の第2位をキープし続けている。

ひと口に心疾患といっても実際の種類は様々で、突然死の主要因である「虚血性心疾患」(冠動脈の詰まりなどで血流が滞り心臓機能が低下する)をはじめとして、弁膜症、心筋炎、心膜炎などがあり、今回のテーマである心房細動と、それに似た心室細動も含まれる。

心房と心室は、共に心臓のポンプ機能を担っているが、後者の心室がメインポンプにあたり、心房はサブポンプという位置付けだ。細動というのは、正常時には一定であるポンプのリズムが崩れて発生する不規則かつ小刻みな振動を指す。そして、細動が起こるとポンプとしての機能が失われる。

実は、心室細動のほうはメインポンプの不調であるため、もし発生した場合には、ただち救命措置を行わない限り心停止状態となり、突然死に直結する。つまり、こちらは、発生>即>救命措置が必要なため、ウェアラブルデバイスなどによる早期発見の対象とはならない。

一方で、サブポンプの不調を意味する心房細動は、すぐ死に至ることはないものの、発生すると血液が心室にスムーズに送り出されなくなり、心房内に滞留してしまう。そのため、動悸や息切れ、めまい、ふらつきなどが起こり、最悪の場合、滞った血液が血栓化して動脈を詰まらせたり、脳梗塞などにつながるのだ。

疾患の根絶よりも現実的な早期発見

筆者は心医療の専門家にインタビューしたことがあり、心疾患が死因の上位にあり続けているのは、今も、その原因の特定が難しいためであることがわかっている。そこで心医療の現場では、死亡率を減らすための現実的な戦略として、早期発見を重視する方針が採られるようになった。

基本的には心電図を医師が読み取って診断し、心疾患の疑いがあれば心エコー検査(心臓超音波検査)を行って精査するという流れだが、実のところ、すべての循環器系の医師が心電図の波形を正しく読み解けるとは限らない。また、心エコー検査機器やその専門医を擁する医療施設も、日本全国で約2500ヶ所と決して多くはないのが現状だ。

しかも、心房細動患者全体の4割は、日頃、症状が出ることのない「無症候性心房細動」に該当する。厄介なのは、無症候性でも脳梗塞の発症リスクは症状のある患者と同じという点だ。そのリスクは、心房細動のない人と比べて5倍も高率であり、かつ、心房細動が原因ではない脳梗塞に比べて症状が重篤化しやすいという特徴を持つ。こうした特性から、本来は、抗凝固薬などを内服するなど早めの措置を行うことが望ましいにもかかわらず、本人が無自覚のために手遅れになるケースも少なくないのである。

そこで重要になってくるのが、心房細動の症状の有無に関わらず、日常的に心電図をモニターすることによって異常を発見するというアプローチだ。そのために、Apple Watchのようなウェアラブルデバイスが有用と考えられるようになった。

現実にも、200年以上前に創刊され、世界的にも権威ある週刊総合医学雑誌の一つのThe New England Journal of Medicine(NEJM)が2019年に行った研究では、Apple Watchの心電計によるアラートを受けた人(419,297 人の被験者中2,161 人)のうち、3割以上に心房細動が発見されたことが報告されている。

今回の心房細動の履歴記録は、こうした実績を踏まえて導入されるものであり、心電図アプリがサポートされたApple Watch Series 4以降で利用できるようになる。具体的には、自覚症状の有無を問わず心房細動と診断されたユーザーが、心電図アプリによって心房細動につながる不整脈の履歴を得て、その頻度や時間帯をヘルスケアアプリで確認したり、PDF化した履歴ファイルを医師と共有することが可能となるのだ。これにより、心房細動患者は、症状の重篤化や脳梗塞など生命の危険を招くリスクを低減できるのである。

他のウェアラブル心電計動向

医療現場では、これまでも専用のウェアラブルデバイスによって日常的に心電図を記録する試みが行われてきた。

たとえば、心電図パッチやECGパッチ(ECGはElectrocardiogramの略で、心電図の意味)と呼ばれるマッチ箱程度の大きさのデバイスで、胸に電極を貼り付けて利用し、1ヶ月程度連続して心拍数や心電図を記録することができる。また、胸の皮下に手術で埋め込んで使うカプセルのような心電計デバイスもある。

しかし、それらの装着や埋め込みは病院などで専門の医師が行うものであり、誰もが手軽に利用できるわけではなかった。

watchOS 9の心房細動記録機能のメリットは、まさに個人が気軽に利用でき、計測のために電極などが不要で、水泳なども自由に楽しめる点にある。そして、手軽だからこそ続けやすく、長期にわたるデータを得ることが容易なのだ。

健康増進から健康寿命延伸のためのデバイスへ

これまでスマートウォッチは、健康に高い関心を持つユーザーを中心に、歩数や心拍数、睡眠時の状態を把握して、健康増進に役立てるという使われ方がメインだった。しかし、今回の心房細動の履歴機能や、将来的なApple Watchでのサポートが予想される血圧測定、あるいは身体を傷つけない非侵襲性の血糖値測定の結果を様々な疾患の早期発見につなげていくことが、これからは大きな意味を持ってくる。

マーケティング的にも、消費者全員がフィットネスに関心があるとはいえないが、病気にかかりたくない、もしかかったら早期に治療したいと願わない人はいないはずだ。すでに、Apple Watchのヘルスケアデータと生命保険などを連携させ、保険料を優遇するような動きも始まっている。その意味で、スマートウォッチはコンピュータ以上に、「あれば便利なもの」から「なくてはならないもの」へと進化していくことだろう。watchOS 9による心房細動の履歴機能は、そこに至る重要なステップなのである。

ちなみに、心房細動の履歴機能はアメリカではwatchOS 9のリリースと同時に使えるようになるが、日本での提供時期は未定。心電図アプリのときのようなタイムラグ(アメリカでは2018年に提供開始されたが、日本では医療機器承認のため3年後の2021年の提供となった)なしに利用できることを強く願っている。

取材・文/大谷和利

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