■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
記録的な猛暑と台風前の高湿度という厳しい環境の中、大阪・万博記念公園で開催された「モーターキャンプエキスポ」(2022年7月2〜3日)。
出歩くのがツラいと思える両日ではあったが、それだけに来場者はクルマやアウトドアに関する情報を手に入れたいと熱望する人ぞろい。ソロや夫婦で来場する人が多かったためだろうか、軽自動車への関心が高かった。
車内は寝るだけ!
インディアンキャンパー「ラコタ」(188万円〜)
NV200ベースの「ジェロニモ」、ハイエースベースの「アパッチ」などネイティブ・アメリカンの部族の名前を冠したキャンピングカーで知られるインディアンキャンパーより、新開発の軽キャンパー「ラコタ」が登場。
潔くシンクをなくした、広々としたベッドスペースが印象的だ。
ベッド以外の機能は後部に集中。調理台としても使える引き出し、壁面に小物を吊り下げるなど小技が効いている。
寒い時期に外ですごすのは少々厳しい気もするが、そもそもバーナー類を狭い軽自動車の中で使うのは危険だ。調理は外で行うほうが安心なのでこのスタイルは軽自動車にとって正解とも言える。
雨の日などずっと外やタープの下では厳しい日もあるだろう。モニターは内向きにも外向きにも対応する。
小物を吊り下げていた壁部分は跳ね上げOK。車内の荷物を取り出したい、長いモノを積載したいときに重宝するシステムだ。
引き出し型のテーブルは天板を取り外せば小物の収納ができる。バーナーなどキッチンツールをいれるもよし、釣りなど趣味の小物を隠しいれるもよし。
引き出しの隣は、ベッド下を利用した収納スペースとなっていてチェアなど細長いものをいれるのにちょうどいい。
DIY感覚で仕上げるキャンパーシェル
クレストビークル「イエルデ」(110万円〜)
軽キャンピングカー専門店のクレストビークルは、2021 年夏発表の軽トラック用キャンパーシェル「イエルデ」を展示。ガルバリウム鋼板によるシェルは一級建築士によるデザインで、カクカクとしたフレームが印象的だ。
シェルを9色から選び、フレームを自分の手で塗装するだけでオリジナルのイエルデとなる。
ベニア合板仕上げの内装だから自分の好きなように仕上げられる。ソファなどファニチャーを市販のものにすればまるでマンションの一室のようになる。
複層ガラス窓やコンセント類は標準装備なのでDIY初心者でも安心して取り組めるというわけ。
コンクリート打ちっぱなしに見えるが壁紙。自分で貼ってもいいし、施工料金はかかるがお願いすることも可能だ。
縦半分ラゲッジが使いやすい
モッズファクトリー「660BASE」(247万1700円〜)
釣りや自転車、サーフィンなどアクティブな人を応援する軽キャン専門店、モッズファクトリーは、エブリィベースの「660BASE」を2台展示。リビング時とベッド展開を見比べられるようにしていた。
ワゴンの特性を生かして、セカンドシートをたたんで縦半分をラゲッジにできる。これなら自転車やサーフボードなどの積み込みも楽々。ソロなら常時片側をベッドにしておき、気軽にごろりと休憩するなんてことも可能だ。
オプションの帆布製ハンモックシェルフ。万一、頭が触れても痛くない。シェルフを2つとりつければ釣り竿やスノーボードなどを載せられるのも気が利いている。
サブバッテリー、走行充電システムは標準装備。
ただしインバーターを搭載していないので車載用冷蔵庫や室内照明はサブバッテリー、テレビや電気毛布などの家電はベッド下のポータブル電源といった具合に使い分けが必要だ。
ベッドは傷や汚れがつきにくいレザー製。ジャグやクーラーボックスなどはセカンドシートの足下にできる大きめの空間に置けば邪魔にならない。
アトレーを車中泊カーに
neru海「アトレーS700V/S710V専用ベッドキット」(13万2000円)
ハイエースのカスタムで知られるneru海だが、この日はなんとハイエースではなくアトレー専用のベッドキットを発表していた。ハイエースで培った高強度かつ美しい無垢のベッドをアトレー仕様にしており、ドライバーひとつで取り付け可能だという。
ベッドマットの下にたっぷりの収納スペースを確保している。
オプションの脱着式テーブルとともに無垢材の経年変化を楽しむもよし、塗装をしてもよし。
車内から操作できるバックドア!
ハイブリッジファースト「バックドアインサイドオープナー」(1万2100円)、「ヒンジフック」(9680円)
ジムニーの”走り”にこだわるハイブリッジファーストは、DDハンモックスジャパンとの親交が深く、展示車にも車中泊向きのプロダクトを装備している。
そのひとつがこちら、「バックドアインサイドオープナー」だ。
その名の通り、JB64/JB74の車内からバックドアの開閉ができるというもの。車内泊で、わざわざ前のドアまで移動することなく出入りできる優れものだ。内側のパネルに穴を開けるのでドリルなど工具が必要だが、この小さなパーツを取り付けるだけで車内泊が格段に楽になる。
同じく同社が開発したバックドアが90度に開く「ワイドオープンドアダンパー」(1万5000円)と組み合わせるとかなり使い勝手がイイ。
そしてもうひとつ、DDハンモックスジャパンと共同開発したのがJB64/JB74専用「ヒンジフック」。
これまではシートベルトを利用する「ハンモックフック」(3300円)のみだったが、こちらはバックドアのヒンジに取り付ける。ヒンジ部分なのでドアを開閉してもハンモックが大きくたるむことはないし、見た目もスマート。
維持費が安く、狭い道でも取り回しやすさが人気の軽自動車だが、なんでもかんでも装備を詰め込むとかえって使いづらくなる。限られたサイズだからこそ、自分のキャンプスタイルを見直し、各社のアイデアが光る1台を選びたい。
取材・文/大森弘恵