産業分野でいち早く導入されてきたARグラスなどのウエアラブルデバイスは、ここ数年で着実に進化を遂げている。国際的な展示会「CES」で話題を集めた、ビジネス向けの最新デバイスを取材した。
私が試しました
テックライター 太田百合子さん
スマホ、ウエアラブル機器、IoTまで、身近なデジタルガジェットと、それらを通じて利用できるサービスを中心に取材・執筆。最近はメガネ型デバイスに興味津々。
高精細な仮想モニターでリモートワークがはかどる!
レノボ『ThinkReality A3』は2021年のCESでお披露目され、2022年に日本でもリリースされたARグラスだ。クアルコム製の高性能なチップセットと、約130gの軽さが特徴。スマホと組み合わせて3Dオブジェクトを投影・操作できる『Industrial Edition』と、ハイエンドPCのバーチャルモニターとして活用できる『PC Edition』の2モデルを展開している。
レノボ・ジャパンのAR/VR営業部長を務める岩本義智さんによれば、『Industrial Edition』は現場作業者のリモート支援や、OJTでの使用を想定しているとのこと。一方、今回主に試した『PC Edition』は、目の前に最大5台のモニターを表示できる。使い方は有線接続したPC側のソフトを起動するだけ。どこでも複数ディスプレイの作業環境が整う。「5台のディスプレイを一度に見る」というよりも「顔を向けたところにあるモニターが見える」といった感じ。ほかの人に見られる心配がなくリモートワークがはかどりそうだ。
1080p×2台の高精細なディスプレイを搭載しているため、モニターに表示された、かなり細かな文字までくっきり見える。PCから電源を供給するため、バッテリー切れの心配はなく、グラス自体が軽いので長時間の作業でも負担は少ない。ステレオスピーカーやマイクも搭載しているので、リモート会議にも役立ちそうだ。
最大5台の仮想ディスプレイをメガネ内にズラッとプレビューできる!
PCから電力供給でバッテリー切れの心配なし!
レノボ・ジャパン『ThinkReality A3 PC Edition』19万2500円
片眼1080pのディスプレイとともに、外側にはトラッキング用のフィッシュアイカメラ×2と8MPカメラを搭載。ユーザーの上下・左右・前後の動きがARに反映される。グラフィックチップを搭載したハイエンドノートPCと接続することにより、最大5台のバーチャルモニターを空間に投影可能だ。CPUはQualcomm Snapdragon XR1。
最大5台の仮想モニターを自由自在に配置できる
フレームに搭載している片眼1080pのディスプレイ表示を、レンズ内側に投写。度がついたレンズを挟んで使えるのもポイントだ。
テンプルにはスピーカーやマイクを備え、明るさや音量を調整可能なボタンも用意。中央ボタンの長押しで表示位置をリセットできる。
使い方を説明してくれたのは、レノボ・ジャパンのAR/VR営業部長・岩本義智さん。
VR用のHMDに比べてかなり軽く、着用した感じはメガネに近い印象。ツルや鼻パッドも交換可能で、自分に合わせてカスタムできた。手元の作業がしやすいクリアなグラスなどを、シチュエーションに合わせて着け替えるのもスムーズだ。
〈Review〉
カメラで空間をしっかり認識するため、大きさや奥行きといった仮想モニターの配置が自由自在。画面も高精細で十分に実用的だ。一方、VRとは違って視野角は広くない。隣のディスプレイを横目でチラ見するといったことができないのは残念。
〈Review結果〉実用度:★★★★★ 拡張性:★★★★★ コスパ:★★★☆☆
『Industrial Edition』はスマホがセット
『Industrial Edition』(54万4500円)はスマホやクラウドサービス、サポートも含めたソリューションとして提供。
『Industrial Edition』の同梱品には、スマホを身体に固定するためのアダプターなども含まれている。
3Dオブジェクトを様々な角度から見られる
〈Review〉
『Industrial Edition』は、スマホと接続して目線ポインターでアプリを操作したり、立体オブジェクトを様々な角度から見たりできる。仮想モニター同様、高精細かつ正確な空間認識で、作業する際の違和感はなさそう。
取材・文/太田百合子、編集部
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年5月31日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。
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