近年、革新的なトレンドや急速な技術の発展により、顧客は今までにない速さでオンラインに関わりを持つようになった。
そんな中でセールスフォース・ジャパンはこのほど、年次調査レポートである「マーケティングインテリジェンスレポート」の日本語翻訳版を公開した。
今回のレポートでは、世界17カ国の2,500人以上のマーケティング意思決定者を対象に、デジタルファースト時代のマーケティングを形成するトレンドとインサイトについて調査するとともに、データをどのように成長と顧客体験のために活用しているか深掘りしている。
さらに、プライバシーを重視するデータ・エコシステムにマーケターがどのように適応しているか、クロスチャネル・マーケティングを形成するトレンドについても明らかにしている。
グローバルを対象とした本調査より得られたインサイトは以下の5点となった。
1.マーケターは、デジタルファースト時代において2つの役割に対応
本レポートでは、ROIを最適化して企業成長を促進する、そして顧客体験を向上させるという2つの使命にあわせて、マーケティングの役割は進化していることが明示されている。マーケターは、顧客満足度とマーケティングの投資利益率の2つを最も重要な成功指標と定義している。
2.近年のデータプライバシーの変化が、戦略転換の契機と考えるマーケターの割合が9割に
新しいデジタルプライバシーポリシーに伴い、マーケターは方向性の転換を求められている。本レポートでは、マーケターの9割が、最近のデータプライバシーの変更により、マーケティングパフォーマンスの測定方法が根本的に変化したと感じていることが明らかになった。
ここ数年、データプライバシー規制により、企業はデータ収集において消費者中心、同意・了承にもとづいたアプローチへ変化を余儀なくされてきた。さらには、特定のパフォーマンス測定指標であるメールの開封率などは、テクノロジープロバイダーがユーザーのプライバシー保護の拡大を約束しているため、現在ではあまり意味がない。
そのような流れの中、マーケターがプライバシー基準や期待の変化に適応するために、近年ではテクノロジーへの投資が増加傾向にあることが明確になった。
3.成功はデータにあり、データは成功にある
本調査では、マーケターの約5人中4人が、マーケティング主導の企業成長と顧客体験向上を実現するための鍵は、データ品質にあると回答している。同時に、マーケターの80%が、各マーケティング投資におけるROI追跡能力に改善が必要であるとも回答している。
多くの方が転職をし、そしてハイブリッドな職場環境が増加する中で、適切な人材を獲得することはとても重要だ。また、多くのマーケターにとって、分析能力に優れた人材を発掘し、確保することはとても困難な状況となっている。
さらに、データの検索、準備、モデリングをはじめとしたデータ統合プロセスは、構築するのにより多くの技術的なスキルセットを必要とすることが多く、プロセス管理にはかなりの時間とリソースが必要になることがある。
4.クロスチャネルビュー実現への期待と現実
本調査では、ほぼすべてのマーケター(98%)が、クロスチャネルのマーケティングの全体像を把握することが重要であると回答している。しかし、10人中7人以上のマーケターが、各チャネルのパフォーマンスを一元的ではなく、個別に評価している。
今後は、使用するデータソース数は年々増加し、データがサイロ化する可能性が高まると、マーケターは予想している。マーケターはこういったデータすべてを一元的に把握することが重要だと感じている一方で、クロスチャネル・マーケティングのパフォーマンスについて評価は、71%が一元的ではなくチャネル毎に行っており、チャネル単位(46%)もしくはプラットフォーム(51%)単位で評価されている。
5.データにもとづくマーケティングに求められるインサイト獲得のスピード
本レポートでは、マーケターのデータ分析における最大の課題は、得られた結果をマーケティング戦略に適用することであり、インサイト獲得までのスピードが大きな役割を果たしていることが明らかになった。
全てのパフォーマンスレベルのマーケターが、インサイトを行動に移すために必要とされるスピードを実現することが難しいと感じている。求めるスピードでデータにアクセスできていると回答するマーケターは、半数以下だ。
さらに、リアルタイムのパフォーマンスアラートを受け取っていると答えたマーケターはわずか11%で、27%のマーケターにおいては、クロスチャネルのパフォーマンスを毎月もしくはそれ以下の頻度でモニターしている。
しかし、多くのマーケターがインサイトの迅速な獲得に苦戦する中、パフォーマンスが高いマーケターは、パフォーマンスの低いマーケター比べて約2倍の確率で、迅速なインサイト獲得ができると強く感じていることがわかった。
日本の調査結果において明らかになったハイライト
なお、グローバルでは1位が「データ品質」2位が「マーケティング及び営業部門でのビジネス目標の共有」、そして3位が「クロスチャネル分析」となったのに対し、日本では1位が上記、2位が「データ品質」そして3位が「関連部署における連携」となった。
加えて、グローバルでは「マーケティング分析及び測定のテクノロジー」が最も増加。また3つのエリアについて「減少した」と回答した割合が平均8.7%に対し、日本の平均は11.7%となった。
構成/こじへい
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