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「人的資本経営」を実現するために企業に求められること

2022.07.04

 

「従業員エンゲージメントとキャリア充足度」に関する研究結果

2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した「ISO 30414」をきっかけに、企業における”人的資本開示”への関心が高まっている。

人的資本には様々な領域が含まれるが、その中でも近年着目されているのが、「従業員エンゲージメント」だ。企業は激化する人材獲得競争の中で、いかに従業員を会社に繋ぎとめられるかが求められている。一方、企業間の人材獲得競争が激化する時代の中、企業の寿命は個人の労働寿命よりも短くなり、個人が一つの企業に勤めあげるという時代は終わりを迎えつつある。

そのような時代変化に伴い、個人には一つの企業に依存したキャリアを描くよりも、望むキャリアを実現するために会社や仕事を選択するという、「自律したキャリア観」が求められている。

一見すると、企業が個人の自律したキャリア開発を支援することは、企業と個人の相互理解・相思相愛関係を表す「従業員エンゲージメント」に対してネガティブな影響を与えるとも考えられるが、企業には今後どのような対応が求められるのだろうか。

そこで、リンクアンドモチベーションの研究機関であるモチベーションエンジニアリング研究所はこのほど、「従業員エンゲージメントとキャリア充足度」に関する調査を行い、その結果を発表した。

「従業員エンゲージメント」と営業利益率や労働生産性との関係

エンプロイーエンゲージメントサーベイの概要

社会心理学を背景に人が組織に帰属する要因をエンゲージメントファクターとして分類し(図1)、従業員が会社に「何をどの程度期待しているのか」、「何にどの程度満足しているのか」の2つの観点で質問を行っている。

その回答結果から「エンゲージメントスコア(以下ES)」、つまり「従業員エンゲージメント」の偏差値を算出し、エンゲージメント・レーティング(ER)として整理している(図2)

<調査対象>
「エンプロイーエンゲージメントサーベイ」を実施した企業のうち、有価証券報告書が公開されている上場企業66社

労働生産性は様々な定義があるが、本分析では、「労働生産性」= “従業員に支払われる給与1円あたりの正常収益額”としている。従業員1人あたりの当期正常収益額(※)を平均給与額で割って算出し、その数値と「ES」の相関を分析した。

※正常収益額:EBITDA。営業利益算出の際の費用分から、減価償却費を差し引いて算出される金額。

「従業員エンゲージメント」が高いほど、営業利益率や労働生産性も高い傾向にある

「従業員エンゲージメントが⾼いと営業利益は高まるのか」を、「ES」と「営業利益率」を用いて分析した結果が下のグラフである。結果、両者には相関が見られ、「ES1ポイントの上昇につき、当期の営業利益率が0.35%上昇する」ことが分かった(図3)。つまり、「従業員エンゲージメント」は営業利益率にプラスの影響をもたらすと言える。

「従業員エンゲージメントが高いと労働生産性は高まるのか」を、「ES」と「労働生産性」を用いて分析した結果が下のグラフである。結果、両者には相関が見られ、「ES1ポイントの上昇につき、労働生産性(指数)が0.035上昇する」ことが分かった(図4)。つまり、「従業員エンゲージメント」は労働生産性にプラスの影響をもたらすと言える。

「キャリア充足度」と年収や役職との関係

適性検査「BRIDGE-C」の概要

「BRIDGE-C」とは受検者が自身のキャリアやスキルに対する希望度・実現度を5段階で回答することで、自身の現在のキャリア充足度と今後のスキルの強化ポイントを確認するための適性検査である。

キャリアに対しては「キャリアビジョン」「キャリアヒストリー」「ビジネススタイル」「ライフスタイル」に対する満足度を測定し、スキルに対しては「テクニカルスキル」「ポータブルスキル」に対する、希望度・実現度を測定する(図5)。

全ての回答結果を総合し、「キャリア充足度」のスコアとして「キャリアディベロップメントスコア(以下CDS)を算出している。

<データ収集期間>
2021年9月~2021年11月
<調査対象>
「BRIDGE-C」の実施と、年収・役職データの提供にご協力いただいた企業の従業員
企業数:5社 総回答者数:3,913名

主観的な「キャリア充足度」が高い人ほど、年収や役職も高い傾向にある

各年収、役職ごとのCDSを以下の図6、図7に示した。これより、全体的には年収や役職が向上するとともにCDSが高くなる傾向にあることがわかった。一部年収600万円~900万円の層や係長・主任において、CDSが維持傾向にあるものの、総じて主観的なキャリア充足度と客観的なキャリア指標(年収・役職)は影響関係にあると考えられる。

「キャリア充足度」と「従業員エンゲージメント」との関係

従業員の主観的な「キャリア充足度」が高い組織ほど、「従業員エンゲージメント」は高い傾向にある

リンクアンドモチベーショングループ(以下LMG) における部門別平均CDSとエンゲージメントスコアとの相関関係を調べた結果を表1、図8に示す。

下記の通り、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントとは統計的に有意な正の相関関係が観察された。つまり、従業員の主観的なキャリア充足度が高い組織ほど、従業員エンゲージメントは高くなるということが明らかになった。

個人の自律したキャリア開発を支援することは、企業と個人の相互理解・相思相愛関係を表すエンゲージメントスコアに対してネガティブな影響を与えるとも考えられるが、本調査の結果からは、個人のキャリア開発を企業側からも支援し、個人の主観的なキャリア充足度を高めることが、従業員エンゲージメント向上に繋がることが示唆される。

また、個人の主観的なキャリア充足度と従業員エンゲージメントは互いに正の相関関係があることから組織の従業員エンゲージメントを高めることで、その組織に所属する個人の主観的なキャリア充足度が向上することも示唆される。

「従業員エンゲージメント」や「キャリア充足度」とマネジメントスコアの関係

また、LMGにおいてはマネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高いほど、従業員エンゲージメントが高いことが明らかになっている。同様に、LMGにおけるマネジャーのCDSとマネジメントサーベイから算出されたマネジメントスコアとの関係性を調査したところ、主観的なキャリア充足度が高いマネジャーほど、マネジメントサーベイから算出されるマネジメントスコアが高いことが明らかになっている。

つまり、マネジメントスコアが高いマネジャーは主観的なキャリア充足度が高く、担当組織の従業員エンゲージメントも高いことが示唆されている。

結論

これまでの調査結果をまとめると、下記のような図に表すことができる。

冒頭に述べた通り、「ISO 30414」をきっかけに、企業における人的資本開示の流れが加速度的に高まっている。人的資本の中でも、企業と個人の結びつきの強さを表す「従業員エンゲージメント」は、企業に利益をもたらす指標として、各方面から一層注目を浴びている。

一方、新型コロナウイルスの影響により、リモートワーク等で会社・仕事とのつながりの希薄化が懸念されるなか、企業・個人双方にとって不本意な離職防止の重要性も高まっている。こういった背景もあり、昨今では従業員の「ウェルビーイング」に注目する流れもある。

「ウェルビーイング」には様々な切り口があるが、今回調査した「キャリア充足度」は“キャリアウェルビーイング”と言い換えることもできる。

本調査によって「ウェルビーイング」の中でもキャリアに関する領域、つまり「キャリア充足度」を高めることは、従業員エンゲージメントの向上、ひいては企業の利益に繋がることが明らかになった。

さらにマネジメントスコアが高いマネジャーは主観的なキャリア充足度が高く、担当組織の従業員エンゲージメントも高いことが示唆されている。企業と個人の相互理解・相思相愛の度合いが高まり、相乗効果を発揮するためには、「従業員エンゲージメント」と「キャリア充足度」双方を高めるアプローチが鍵になるのではないだろうか。

発行責任者のコメント

今回のレポートでは当社がこれまでに発表した「従業員エンゲージメント」と「キャリア充足度」に関する研究結果を元に、今後企業に求められる「人的資本経営」の実現に向けたポイントを探りました。

2018年12月に国際標準化機構(ISO)が発表した『ISO 30414』をきっかけに、企業における”人的資本開示”への関心が高まっています。人的資本の中でも、企業と個人の結びつきの強さを表す「従業員エンゲージメント」は、企業に利益をもたらす指標として、各方面から一層注目を浴びています。

一方、新型コロナウイルスの影響により、リモートワーク等で会社・仕事とのつながりの希薄化が懸念されるなか、企業・個人双方にとって不本意な離職防止の重要性も高まっています。このような背景もあり、昨今では従業員の「ウェルビーイング」に注目する流れも高まりつつあります。「ウェルビーイング」には様々な切り口がありますが、「キャリア充足度」はキャリアウェルビーイングと位置づけることもできます。

これまでの研究結果から以下が明らかになっています。

・従業員エンゲージメントの向上は、営業利益率や労働生産性にプラスの影響がある
・キャリア充足度の向上は年収や役職にプラスの影響がある
・従業員エンゲージメントとキャリア充足度の間には相関関係がある

今後企業が「人的資本経営」を実現していくためには、「従業員エンゲージメント」と「キャリア充足度」双方へのアプローチが重要になると言えるのではないでしょうか。

<プロフィール>
大島 崇(おおしま たかし)氏
株式会社リンクアンドモチベーション
モチベーションエンジニアリング研究所 所長

2000年 京都大学大学院エネルギー科学研究科卒業
2005年 住商情報システム株式会社を経て株式会社リンクアンドモチベーションに入社
2010年 モチベーションマネジメントカンパニー 執行役部長に就任
大手企業向けの組織変革や人材開発で多くのクライアントを担当
同時に商品統括ユニット、モチベーションエンジニアリング研究所を兼任し、新商品を開発
2015年 モチベーションエンジニアリング研究所 所長に就任
2022年 当社執行役員(モチベーションエンジニアリング研究所管轄)に就任

出典元:株式会社リンクアンドモチベーション

構成/こじへい


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