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45秒ごとに1食提供可能なパスタ自動調理ロボット「P-Robo」は人手不足解消の光となるか

2022.07.01

■連載/阿部純子のトレンド探検隊

深刻化する飲食業界の人手不足の課題解決のため自動調理ロボットを開発

世界初のパスタ自動調理ロボット「P-Robo」を導入した、プロントコーポレーションの新業態「エビノスパゲッティ」1号店が、丸ビルB1Fに6月末にオープンした。

2018年にプロントコーポレーションは調理ロボットのTechMagicと共同で、パスタ自動調理ロボットの研究開発をスタート。当初は社内では反対意見もあったそうだが、深刻化していた人手不足の課題解決にも貢献できると開発を進めたという。

「高齢化社会が進んでいる日本における外食産業は、外食をする絶対数が減るだけでなく、店で働く労働者人口も減るというダブルパンチを受けています。実際に人手不足は深刻な問題で、グループ会社で人材派遣を担っているプロントサービスでは受注数の半分も供給できない状況でした。

こうした背景もありロボット開発を開始しましたが、ロボットという面白さや目新しさだけでは長続きしないことは、プロントの運営を30年やってきた経験でわかっていました。『この業態はおいしくなければ絶対に続かない』ことを明確にし、ロボットの自動調理でありながら、おいしさにとことんこだわりました」(プロントコーポレーション 常務取締役 杉山和弘氏)

「食材の供給、調理、フライパンの洗浄まで一連の工程を自動化するだけでなく、熟練のシェフの味を再現することができるのがP-Roboの特長。開発当初は人手不足の課題に対して、自動化することで解決するということがテーマでしたが、開発が進むにつれ、自動化だけでなく、お客様に満足いただくにはプロントさんの店舗で提供されている、熟練のシェフの味を再現する必要があるという開発テーマが新たに加わりました。

調理ロボットは、日本のものづくりの技術と食文化を掛け合わせることで、日本のみならず世界でも通用できると思っております」(TechMagic代表取締役兼最高責任者 白木裕士氏)

構想から含めると約4年かかったP-Roboは、新業態の「エビノスパゲッティ」でデビューを果たした。プロントコーポレーションでは昨年に和カフェ「Tsumugi(ツムギ)」で、配膳・運搬ロボットを導入。9割の客から高評価を得た成功体験も、調理ロボット導入の後押しになった。

アフターコロナに向けて外食産業全体を盛り上げたいという想いから、P-Roboに関しては同社のみでの運営ではなく、他社を含めさまざまな外食産業に活用していきたいと考えているそうで、5年で50店舗を目標に、P-Robo導入店舗を増やしていきたいとのこと。

「P-Roboは未来の外食のスタンダード。驚くような速さと正確な味付けでロボットが調理しますが、最後の盛り付けについては人の手で行います。人とテクノロジーが融合することで持続可能な飲食ビジネスのモデルができると確信しています」(杉山氏)

1食目は約75秒、連続調理時の2食目以降は約45秒で調理する

パスタ自動調理ロボット「P-Robo」は、特許取得した世界初の技術で、注文に応じて麺のゆで、具材やソースの供給、調理、鍋の移動洗浄と一連の調理工程を自動で行い、1食目は約75秒、連続調理時の2食目以降は約45秒でパスタを調理する。また、独自開発した形状のフライパンと高出力のIHで調理することで、調理スピードと熟練の調理技術の再現を両立させている。

P-Roboはロボットにしかできない速さとおいしさの両立に加え、ソフトとハードの両面で従業員をサポートするという2つの特長がある。

ロボットならではの技術として、高出力、高回転の組み合わせで、筒状のフライパンをむらなく均等に攪拌加熱。従来の2倍以上の高温調理のため30秒という短時間での調理を実現することでソースが煮詰まらず、麺にしっかりなじませることが可能となった。ソースの種類によって、フライパンを速く、もしくはゆっくり回して最適な方法で調理する。

鍋置台にフライパンをセットしたり、ゆで上がった麺を受け取ったり、出来上がったフライパンを従業員のところまで移動させたりするのがアームロボット。アームロボットが同時に4つのフライパンを状況に合わせてハンドリングすることで、1時間当たり最大90食の調理が可能だ。

モニターではP-Roboが何を調理しているか、一目でわかる画面表示でレシピ情報の更新も手早く、簡単に調整可能で従業員の負担も少ない。

盛り付け台までアームロボットによりフライパンが運ばれると、最後に人の手で盛り付けを行い完成。すべて自動でなく仕上げを人が行うことで付加価値を高めている。従業員が盛り付け完了ボタンを押すと、アームロボットがフライパンを運び洗浄を行う。

【AJの読み】早くできておいしいが量と価格に課題あり?

調理やフライパンの洗浄はP-Roboが作業するため、人の作業は盛り付けと配膳だけで、最小限の人員で済む。人手不足の飲食業界にとっては大きな戦力になり、省人化の実現に期待が持てる。

杉山常務のコメントにもあったように、ロボットの目新しさで注目されるのは避けたいということから、店の設えは敢えてロボットやハイテクさを出さず、古民家の雰囲気で漆喰の壁、木材の内装など温かみを出している。調理ロボットも奥の厨房にあるので、席で待っている客はロボットが調理していると気づかないこともあり得る。

メニューについては、イタリアンに寄らず、和洋折衷も含めた構成がされている。「エビノスパゲッティ定食」は好きなスパゲッティ1品、ミニサラダ、パンのセットで1375円。単品のスパゲッティは、「ペペロンチーノ」「ジェノベーゼ」「トマト&トマト」「トマトクリーム」(各990円)、「カルボナーラ」(935円)、「和風おろし」(858円)、「ジャパニーズハーブ」(880円)、「イカスミ」(1078円)の8品。

店名は、イタリア語で「e vino(エ・ビーノ)」=「and wine」の意から、スパゲッティと共にワインも楽しめる「エビノスパゲッティ」と命名。ワインやおつまみメニューもあり、お酒だけでもOK。スパゲッティとサラダの持ち帰りメニューもあり、店頭の販売ブースで購入できる。

「ジェノベーゼ」を試食。ソースがおいしく味は満足ができたが、アルデンテで提供されると聞いていたものの、麺が予想以上にやわらかい(取材中に運ばれてきたようで、試食時は出来立てではなかったことから余熱調理された可能性もあり)。

問題はその量。ゆで上がりでおよそ通常盛りが250g、大盛り(+165円)が340gとボリュームがあり、筆者は通常を試食したが、量が多いためなのか、下の方はソースが良く絡んでいなかったので食べるときに再度攪拌した。

一般的にスパゲッティはゆで上がりで1人前200g程度なので、量が多すぎて途中から飽きが来るのは否めない。卓上には塩こしょう、粉チーズ、タバスコ、ゆずこしょう、海老ラー油があり、味変しながら食べ進むと良いかもしれない。

全国の30代サラリーマン1,014人を対象にした「外食事情」に関する意識調査(アントワークス調べ)では、1回のランチに使う平均的な金額は、「500円未満(50.2%)」が最も多く、「500円〜1,000円未満(46.0%)」「1,000円以上(3.8%)」。

「エビノスパゲッティ」は単品でおおよそ一皿1000円。丸ビルという立地や、おいしさやボリュームから考えると妥当なのかもしれないが、ロボットで効率的に調理しているのならもう少し価格を抑えてほしいと生活者の立場からは考えてしまう。せめて200g程度の少量で価格を下げるなどサイズにバリエーションがあればよいのだが。

文/阿部純子


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