〝製品と同素材の試作品〟が作れるため、高度な試験が可能に
粉末焼結方式(以下SLS方式)は、ナイロンやTPUなど、粉末状の材料を熱レーザーで焼き固めて積層させる3Dプリント方式だ。材料が安価で、未使用材料と混合すれば再使用が可能など、ランニングコストに優れており、製造業を中心に広く利用されている。
現在、このSLS方式3Dプリンターの材料にはPA12(ナイロン12)がよく使われている。耐久性のあるナイロン素材の中では比較的扱いやすく、造形安定性に優れていることが主な理由だ。
一方、実際の工業製品に採用されているナイロン素材という点ではPA6(ナイロン6)の方が圧倒的に普及度が高い。これはPA12と比べ高強度で、非常に硬く剛性に優れているからだ。高耐熱性・高気密性も備えており、さらに自己潤滑性や耐摩擦摩耗特性まで備えている。
そこでXYZプリンティングジャパンは、60Wの高いレーザー出力を誇り、PA6パウダー材料での造形に対応したSLS方式3Dプリンター「MfgPro236 xS」(以下MP236)を発売した。
MP236は、同社で現在販売中のSLS方式3DプリンターMfgPro230 xS(以下MP230)の上位機種となる。MP230と比較してレーザー出力を30Wから60WにアップグレードしたことによりPA6(ナイロン6)パウダーでの造形に対応したという。
その結果、従来のPA12は「試作品」としての使用用途が主流であったが、PA6は優れた機械特性によって、厳しい環境下で長期に使用される「本製品」、もしくは「本製品と同じ素材を使った試作品」としてさらに高度な機能試験・機能検証を可能にしたと言えるだろう。
MP236はPA6だけでなくPA12、PA11、TPUなどの材料にも対応しており、幅広い使用用途での活用が期待できる。
価格は18,150,000円(税込)となっており、産業用のSLS方式3Dプリンターとしてはリーズナブルな価格となっている。
製品概要
価格:18,150,000円(税込)
最大造形サイズ(W×D×H):230×230×250 mm
最高レーザー出力:60W
積層ピッチ:0.06/0.08/0.1/0.15/0.2/0.3 mm
本体サイズ(W×D×H):1,444×828×2,053 mm
本体重量:425 kg
MP236に対応している材料(一部抜粋)
材料名:PA6 MF
商品名/色:sPro6 MF/ブラック
価格(税込)/容量 ¥380,600/20kg
特徴:PA6に鉱物フィラーを含有。強度と剛性に極めて優れており、硬い造形品を製作できる。高耐熱性と高気密性にも優れ、耐薬品性、耐油性も良好。
材料名:PA6 FR
商品名/色:sPro6 FR/ブラック
価格(税込)/容量:¥380,600/20kg
特徴:難燃性の高いPA6(V2(0.8-3mm)UL94V規格)で、自己消化性があり熱源から離れると火が消える特徴がある。もちろんPA6の特徴である強度と剛性にも優れる。
材料名:PA12
商品名/色:sPro12/ホワイト
価格(税込)/容量:¥299,200/20kg
特徴:優れた耐久性をそなえたオールラウンド素材で、強度、靭性、耐摩耗性などトータルバランスが良い。吸湿性が低く寸法精度が安定。
関連情報:https://pro.xyzprinting.com/ja-JP/home
構成/Ara