欧州連合(EU)は5月18日、ロシア産の化石燃料からの脱却と温暖化ガス排出削減の両立を目標にした「リパワーEU」計画の詳細を発表した。ロシア産エネルギーからの脱却を図ると同時に、『再生可能エネルギー』の普及拡大、省エネの効率化、エネルギー調達先の多様化により、温暖化ガス排出削減を加速することを目指す。今後EU加盟国は、『再生可能エネルギー』の普及を一段と加速させることが期待される。
こうした中、三井住友DSアセットマネジメントは、「EUが脱ロシアで『再生可能エネルギー』の普及を加速」と題したマーケットレポートを公開した。
「リパワーEU」計画の実現に向け2,100億ユーロを追加投資
EUの欧州委員会は5月18日、ロシア産エネルギーからの脱却と温暖化ガス排出削減の目標達成に向けた「リパワーEU」計画の詳細を公表した。「リパワーEU」計画は、『再生可能エネルギー』の大規模な普及と、エネルギー効率の改善、石油・ガスの調達先の多様化を提案している。2027年までに2,100億ユーロ(約29兆円)規模の追加投資を行う見通しだ。
注目される『再生可能エネルギー』計画
注目されるのは、『再生可能エネルギー』の大規模普及だ。欧州委員会は昨年、『再生可能エネルギー』比率を30年までに40%に高める目標に引き上げたばかりだが、これを45%に引き上げた。
この達成に向け、新築の商業・公共施設では26年までに、新築の住宅では29年までに太陽光パネル設置を義務付けるほか、風力発電所などの建設承認手続きの大幅な短縮化を行う。さらに、30年の「グリーン水素」の生産目標を1千万トンに引き上げた。
一方、エネルギー消費量の削減に向けた効率化にも取り組む。30年までのエネルギー効率の改善目標は、昨年打ち出した9%から13%に引き上げた。
また、エネルギー調達先の多様化のため、EUが直接交渉や契約をして加盟国が共同で購入する仕組みを設けることも示している。
EUは『再生可能エネルギー』の普及を一段と加速
EUは5月30~31日に臨時首脳会議を開き、ロシア産石油の大半を輸入禁止とする追加制裁案に合意した。加盟国のロシア産石油依存度による立場は異なるものの、陸上パイプライン経由の一部を除いて禁輸とすることで、2022年末までに輸入の9割を止める見通しだ。
また、「リパワーEU」計画に沿って、諸課題に取り組むことを確認した。今後EU加盟国は、温暖化ガス排出削減に向けて、『再生可能エネルギー』の普及を一段と加速させることが期待される。
構成/こじへい