纏った香りはその人自身の一部となり、香りによってその人を好印象へと導く。だが香水選びは難しく、無難な定番の物を選ぶと他の人と被ってしまい、香りによる印象が薄れてしまう。
そこで今回は、1905年創業の朱肉メーカーであるモリヤマが手掛ける異色のフレグランスブランド「ÉDIT(h)」(エディット)について紹介しよう。
朱肉メーカーだからこそできた、既存のフレグランスにはない香り
「ÉDIT(h)」は2018年パリ展示会Maison and Objetにて始動。2019年にはパークハイアット京都のスイートルーム限定バスアメニティに採用され、今年4月にはバーニーズニューヨーク六本木店で常設販売を開始した。香りは現在10種類、オードパルファン、ソリッドパフューム(練り香水)、フレグランスディフューザー、キャンドル、ルームスプレー(期間限定品)の計5品目を販売中だ。今後も新作が発表される予定だという。
朱肉とフレグランスという異色の組み合わせだからこそ成し得る、斬新さと懐かしさを併せ持った今までにない香りとプロダクトデザインにより、同社によれば2022年4月現在のオフィシャルオンラインストアの売り上げは2020年同月のおよそ10倍に及んでいるという。
朱肉メーカーがフレグランスを作れるワケ
同社が手がける朱肉、「日光印」の誕生は1905年。創業初期より続くクラシックな朱肉作りにおいて使用される天然素材には、フレグランス関連商品の材料として使用されるものを含んでいる。また日光印は独自に、朱肉にアジア由来の香料を配合して香り付けをしてきたという。
そして朱肉にするためだけに必要な材料はそぎ落とし、そしてより上質なフレグランスにするために必要なものだけを加え、伝統的なエッセンスを用いた新たなフレグランスへと再構築されたのが「ÉDIT(h)」だ。
誰とも“被らない”香りが見つかる。
まだ知る人ぞ知るブランドでÉDIT(h)の強みは、あなただけのアイデンティティとなる香りを選べること。現在、香水のラインナップは1st collectionと2nd collectionを合わせて9種類。
国内外の調香師と共に生み出したこだわりの香りには、ÉDIT(h)が朱肉の香りづけに古くから使用している香料が加えられている。
製品概要
現行のオードパルファン各種のなかでも、個性的かつ日常使いしやすい、おすすめの香りを紹介しよう。
左から「Jardin des mots」「Kagamigoshi」「Souchong journey」「Green Velvet」
Jardan des mots(ジャルダン デ モウ)
街の喧騒に寄り添うように佇む庭園。鼻で大きく息を吸いこむと聞こえてくる、草、花、苔、木々。グリーン、フローラル、モッシーの麗しき香に包まれる。
TOP:プチグレン,ガルバナム,マンダリン,ジンジャー,ベルガモット
MIDDLE:ローズ,ミュゲ,グリーンノート
LAST:クリスタルモス,ホワイトムスク,ホワイトシダーウッド
Reminisce(レミニス)
大切な人。思い出の場所。懐かしい記憶。ウッディ、バルサム、レザーなどが複雑に混ざった香りは、誰しもが心に秘めた記憶の片隅に触れることだろう。スパイシーなトップの刺激を残しながらミドル以降の甘い誘惑がおとずれる。
TOP:レモン,ベルガモット,フランキンセンス,エレミ
MIDDLE:クローブ,サイプレス
LAST:ベンゾイン,サンダルウッド,レザー
Kagamigoshi(カガミゴシ)
記憶の中のぼやけた既視感。まるで鏡の中のパラレルワールドのように、実体なのか妄想なのか、おぼろげな正体を見え隠れさせる。特別な何かであるような衝動に駆られるスウィートでハーバルスパイシーな香り。
TOP:フランキンセンス,マンダリン,ジュニパーベリー
MIDDLE:トンカビーン,イリス,クラリセージ
LAST:ベチパー,ホワイトセダー,バニラ
構成/Ara