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食べログ評価問題を受けてAIはどんな役割を果たすべきか

2022.06.23

【連載】もしもAIがいてくれたら

【バックナンバーのリンクはこちら】 
第1回:私、元いじめられっ子の大学副学長です
第56回:AIなら宅配ピザチェーンで問題視された需要調査ではなく、商品開発コストの理想的な削減を実現できるのか?

どんなアルゴリズムで飲食店を評価しているのか疑問

グルメサイト「食べログ」で評価点が不当に下がり、売り上げが減少したとして、飲食チェーン店がグルメサイトを運営するカカクコムに約6億4000万円の損害賠償などを求めていました。6月16日に東京地裁で下された判決で、独占禁止法が禁じている「優越的地位の乱用」に当たると判断され、カカクコムに3840万円の支払いが命じられました。

この訴訟で注目されたのは、評価点を決めるアルゴリズム(計算方法)の妥当性です。何らかのアルゴリズムで評価点や順位が決められるということは、実は今回のようなグルメサイトだけでなく、さまざまな分野のサイトで行われています。

飲食店側にとっては死活問題になりうる評価点のアルゴリズムを、サイトの運営側が開示することなくコントロールしていたとすると、こういった訴訟は起きるべくして起きたと言えるでしょう。

カカクコム側はアルゴリズムの変更は認めたものの、「点数をつける行為は独占禁止法が規制対象とする『取引』に当たらず、『変更』も一般消費者の利益に資する目的」と反論していたようです。しかし、ランキングが公平であることを信じて、飲食店選びをしている一般消費者にとっても、アルゴリズムの妥当性は重大な関心事だと思います。

食べログは「リボン型ビジネス」という、消費者と事業者の間に立ち、プラットフォームとして両者をつなぐサービスを提供するビジネスモデルです。広告掲載料による収益モデルも採用しているので、基本的に無料でも利用できますが、消費者向け有料サービスと飲食店向け有料サービスがあります。消費者向け有料サービスは特段問題になりませんが、「検索結果の表示順位については、低額な手数料のプランを契約する飲食店より、高額なプランを契約する飲食店を、より上位に表示」ということが今回露呈しています。勝手にランキングされている飲食店はもちろんのこと、その評価を信じて店選びをしている消費者も憤りを感じるのではないかと思います。

食べログについては、2016年に、ツイッター上で、ある飲食チェーン店が「全店のスコアがいきなりリセットされた」と報告し、同じタイミングで担当営業から連絡が来て、「有料プランを使ってもらわないと順位が上がらない」と言われたとツイートしたということがあったようです。評価にAIが使われているサイトもあることから、評価方法のブラックボックス問題とAIのアルゴリズム差別の可能性を指摘する声があります。

AIを採用しているとしても、そのAIがどういったデータを使っているのか、どういった種類のAIが用いられているのか、は説明できると思います。食べログのようなサイトで、飲食店の評価点を出力するためのアルゴリズムに、パラメータの解読が不能な深層学習モデルを採用する必要があるのか疑問です。

どんな「グルメAI」だったら使ってみたい?

ビッグデータを活用できるITの時代に、消費者にとって役に立つサービスは何がよいでしょうか。飲食店について自分と同じような評価をつけている人の好みは自分のものと似ているでしょうから、自分と好みが似ている人から高評価を受けている飲食店を推薦してもらう、というサービスが個人的にはよいのではないかと思いました。協調フィルタリングという、ある対象者が商品を購入したデータと対象者以外が購入したデータの両方を使って、その購入パターンから人同士の類似性などを分析して各消費者にパーソナライズされた商品を提示する手法で、これもAIの一種です。

しかし、レコメンド自体に押し付け感を感じる人もいると思うため、単純なレコメンドではなく、自分と似た人の評価点を参考として提示してもらうだけでもよいかもしれません。その場合も、飲食店側やサイト運営者側の恣意的な操作が入らないことが重要です。それでは、サイト運営者の利益が少なくなり、ビジネスが成り立たないとすると、よい飲食店との出会いを求める消費者側がサイトの利用料を支払う覚悟が必要かもしれません。本当に満足できる食事と大切な時間のために、消費者も投資が必要なのかもしれません。

坂本真樹(さかもと・まき)/国立大学法人電気通信大学副学長、同大学情報理工学研究科/人工知能先端研究センター教授。人工知能学会元理事。感性AI株式会社COO。NHKラジオ第一放送『子ども科学電話相談』のAI・ロボット担当として、人工知能などの最新研究とビジネス動向について解説している。オノマトペや五感や感性・感情といった人の言語・心理などについての文系的な現象を、理工系的観点から分析し、人工知能に搭載することが得意。著書に「坂本真樹先生が教える人工知能がほぼほぼわかる本」(オーム社)など。

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