2025~2030年ごろに実現が予測される「Beyond 5G時代」。日本の通信インフラを構築してきた日本電気(NEC)は、次世代通信が実現する「SHUTTER Glass(シャッターグラス)」のデモンストレーションを公開した(コネル、知財図鑑、大阪大学大学院医学系研究科、マインドラボとの共同開発)。
同社いわく「見過ごす『美』にしおりをはさむメガネ」は、私たちにとって身近で、大変重要な問いを投げかけている。
日常に「気づき」を与えるメガネ
シャッターグラスは、カメラを内蔵するメガネ型のデバイス。ドライブレコーダーのように生活者の視界に入ったものを記録することができ、AIが「美しい」と判定したカットにフラグを立てる。AIは、個人の感性イメージを画像化・数値化した「心的テンプレート」を学習するため、美しさの判定は個人に最適化される。
例えば私たちは、道端に咲くかわいい花が視野に入っているのに、スマートフォンなどの情報に気を取られ、すぐそこにある美を見過ごしていないだろうか。日々接するデジタル情報が増えるに従い、その傾向は強まると予測できる。
シャッターグラスをかけていれば、家に帰ってから「自分はこんなに美しい花を見ていたんだ」と、気づくことができる。見過ごした体験を知ることで、毎日の生活は豊かになる。
対象は身近な自然に限らず、小物や建築物、食べ物、人の振る舞いなど、自分が美しいと感じるものすべてへの応用が検討されている。そして、その体験はSNSなどを通して他人と共有できる。
なお、現段階はあくまでプロトタイプであり、デモンストレーションの公開にとどまる。プロダクトのプロトタイプによって、NECが描く近未来の社会、技術の姿を示すものだ。
編集された情報ではなく体験をそのまま共有する
では、NECはなぜこのようなデバイスを構想し、今一般に公開するのか。見据える課題は「分断」だ。
検索エンジンやSNSのアルゴリズムによって、ユーザーの見たい情報が優先的に表示され、好まない情報や反対意見から隔離される「フィルターバブル」が社会問題となっている。同じ意見、価値化を持つもの同士が集まり、他者を排除することで、分断が助長される。
また、利害関係の違いで国やコミュニティ間で争いが起こったり、利便性や満足感のために資源が使い尽くされるなど、自らの短期的な効率を求めるあまり、社会、環境にさまざまな問題が生じる。
この課題を解決するため、同社は「エクスペリエンスネット」の概念を提唱。「分断を乗り越える手段として、異なる価値観や判断基準に至った背景の共有、なかでも個人にとっては体験の共有が重要になる」とNECの小出俊夫氏。シャッターグラスはそのソリューションのひとつだ。個人の体験を、感情や場の雰囲気も含め、できるだけ生の状態で共有することを可能にするネットワークを構想する。
メディアの記事も、SNSに投稿されるつぶやきや画像も、人が意図的に切り取り、編集した情報だ。それらは完全に公平公正ではありえず、偏見や固定観念の侵入を避けられない。
一方で、体験そのものは事実であり、意図的なバイアスはかからない。シャッターグラスなどによって、他者の体験を間接的に体験することまで可能になれば、異なる価値観や行動の背景を自分事として体感し、相互理解が深まり分断の解消にもつながる、というわけだ。
「これまでは、通信の進化に合わせて、サービスが考えられてきた。Beyond 5Gでは、これからの時代に求められるサービスに合わせて、通信の技術を考えるべきだ」とNECの永井研氏。人間のアイデアとテクノロジーは、新しい社会像をどのように描いていくか? いちどじっくり考えたいテーマだ。
●プレスリリース
Konel/知財図鑑・NEC・大阪大学大学院医学系研究科・MaiND Lab、心的テンプレートを活用したSHUTTER Glassを共同研究
取材・文/ソルバ!
人や企業の課題解決ストーリーを図解、インフォグラフィックで、わかりやすく伝えるプロジェクト。ビジネスの大小にかかわらず、仕事脳を刺激するビジネスアイデアをお届けします。
https://solver-story.com/
【参考】https://dime.jp/genre/1359536/
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構成/DIME編集部