大手企業を中心に、日本で導入が進むジョブ型人事制度。個人の能力を重視する考え方で、私たちの働き方は大きく変わる。このほどデフィデ社がリリースした「JOB Scope」のストーリーは、新しい時代の人財と企業のあり方を示唆している。
メンバーシップ型前提の人事システムに代わるサービス
ジョブ型人事制度は、仕事の内容と求めるスキル、責任の範囲を明確に定義し、職務(ジョブ)に合わせて人財を採用、評価するシステムだ。終身雇用制が定着した日本では、まず人材を採用し、適性を見極めて適した職務を与えるメンバーシップ型の人事制度が一般的だった。
JOB scopeは日本で初めて、ジョブ型に特化した人事システムを採用する。これまでの人事システムはメンバーシップ型をベースに、ジョブ型「にも」対応するサービスだったという。JOB scopeは根本からジョブ型の組織、働き方を実現するための思想で、設計されている。
要求するジョブを定義する職務記述書(ジョブディスクリプション)を簡単に作成可能。透明性の高い評価制度と体系的に連動する賃金システムを構築できるなど、ジョブ型の組織運営に必要な機能を備える。
人事システムの提供にとどまらず、「総合型クラウドサービス」としていることにも注目したい。ジョブ型人事制度を導入した上で、人財育成や組織戦略、経営戦略の構築・実行まで支援する。
問題は、メンバーシップ型の働き方が定着した日本で、実際にジョブ型へ転換できるか。システムを導入するだけでは難しい。
同社は、人事コンサルタントや全国の社会保険労務士とともに、制度設計やジョブ型への移行支援も提供する。
ジョブ型が示す成長へのカギとは?
「日本の企業は国際競争力を失い、経済成長は停滞している。原因は人財不足であり、日本の人事システムだ」
断言するのは、JOB scopeを開発するデフィデ代表の山本哲也氏。
メンバーシップ型の組織では、会社が雇用を守り、業務のなかで成長を保証してくれる。その会社に適応した能力は身につくが、個人の学習や自己投資へのマインドは上がらない。
パーソル総合研究所が行った調査では、「勤務先以外での学習や自己啓発活動」を行っている人の割合は、APAC14カ国中で日本が最下位だった(APAC就業実態・成長意識調査(2019年))。
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/apac_2019.html
その会社のやり方が圧倒的に優れていて、成長が持続するなら、勤務先以外で知識を学ぶ必要はないのかもしれない。しかし、変化の激しい時代に、閉ざされた手法が何年も通用することはない。
「現代では、スキルの半減期は5年と言われている(山本氏)」。人財が常に学習しなければ、企業の成長もありえない。
そのための取り組みを、山本氏は「社会が求める人財への変革」と表現する。「会社が求める人財」でないことに、留意していただきたい。
JOB scopeは、人事制度をジョブ型に移行した後、既存人材のリスキリングを支援する仕組みを整える。リスキリングとは、これからの時代に求められる新たな業務に対応できるよう新しいスキルを再習得することで、背景には社会やビジネスのDXがある。今後は、デジタルスキルが多くの職務で価値を持ち、また必須になる。
企業はリスキリングで社内の創造性、生産性を向上できる。人財側から見れば、ジョブ型でも雇用と賃金が維持される。さらに、社外も含めて自分の市場価値を上げられるのは大きなメリットだ。
「会社の教育で人財の価値が上がり、転職されてはかなわない」との反論があるかもしれない。
これに対して山本氏は、「(会社ではなく)社会が求める能力を持つ人が、転職しながらキャリア形成するのが、グローバル標準の人財市場だ」とさらり。そもそも、人財を囲い込み安住させる環境が、企業の競争力を低下させているというのが、同氏の主張だ。
こうしてみると、ジョブ型人事制度とは「社会に求められる人財を、みんなで育ててシェアするモデル」ともとらえられる。企業がリスキリングなど人財育成することで、日本の人財がレベルアップすれば、社会、ビジネスの様々な課題が解決される。
ジョブ型には異論や誤解もあるだろうが、メンバーシップ型の組織でも「広い視野を持つ自立した人財に活躍して欲しい」といったニーズはうまれている。
いま、企業の中で活躍している方ほど、「自分は社会に求められる人財か」と問い直してみよう。そして、求められ続けるために習得するべきスキルセットを整理してはいかがだろうか。ジョブ型が示す新しい組織や働き方は、個人の学習が大前提となる。
●プレスリリース
日本初ジョブ型人事制度に特化した総合型クラウドサービス「JOB Scope」が4月21日よりサービス提供開始
取材・文/ソルバ!
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