東京23区の約8割の飲食店がインバウンド顧客受け入れに前向き
日本政府観光局(JNTO)の発表によると、5月に日本を訪れた外国人旅行者は14万7000人と2か月連続で10万人を超えた。2022年6月10日より外国人観光客の出入国制限が緩和されたことで、さらに増えることが予想される。
このようにインバウンド顧客の飲食店利用の増加が今後見込まれる中、シンクロ・フードは東京23区内に店舗のある飲食店.COM会員を対象に、インバウンド顧客の獲得・受入対策についてアンケート調査を実施。結果をグラフ化して公開した。
店舗規模別で見る飲食店のインバウンド顧客受け入れに対する意識
まず前提として、アンケート対象店舗のコロナ前におけるインバウンド顧客来店頻度を尋ねたところ、2店舗以下を運営する飲食店は、週1回以上が43%、3店舗以上を運営する飲食店では78%と比較的高い頻度であることがわかった。
次に、インバウンド受け入れ再開に向けて、今後のインバウンド顧客の受け入れに対する方針を尋ねたところ、2店舗以下運営の飲食店で80%、3店舗以上運営する飲食店では78%が「積極的に獲得したい」「国内顧客と同様に考えている」と回答。インバウンド顧客来店への期待が伺われる結果に。
また、特に3店舗以上運営する飲食店がインバウンド獲得に意欲的であるようだ。その要因としては、運営規模の大きい飲食店の方が、コロナ前のインバウンド顧客来店頻度が高いこと・インバウンド受け入れ対策が整っていることなどが考えられる。
インバウンド顧客受け入れるための対策ランキング
次に、「(インバウンド顧客を)積極的に獲得したい」と回答した飲食店に対して、インバウンド受け入れ対応について、「すでに実施している事項」「これから検討したい事項」について尋ねた。
まず、すでに取り組んでいるインバウンド受け入れ対策について尋ねたところ、1位は「Wi-Fiの導入」という結果に。これはインバウンドに限らず顧客サービス向上の対策とも言えるが、71%が実施していた。
続いて決済方法の導入が2位。これもコロナ禍でさらに後押しされた印象もがある。3位以降は多言語対応や食事の多様性についての対応が並ぶ結果となったが、過半数以上は多言語対応に対してすでに対応済みであることが判明した。
次に、これから新たに実施したいインバウンド受け入れ対策について尋ねたところ、「インバウンド顧客向けのSNS発信」が60%で1位に。
2位以降はインバウンド顧客向けの媒体掲載や予約サービスが続く結果となった。多言語対応や決済方法、Wi-Fiの導入の割合が低いのは、既に導入済みであることがわかる。
アンケート協力飲食店からのコメント(一部抜粋)
インバウンド顧客獲得に積極的な理由
<売上拡大への期待>
・売上をコロナ前以上に回復させたいから
・少子高齢化する日本には、飲食業界にはインバウンド顧客が必要と思います
・コロナ前もインバウンドが獲得できており、売上・利益が非常に大きかったから。
・中国をはじめとしたアジアの富裕層の来日が増えると考えているから
・通常の顧客の流れと違う、売上補足になりやすいから。ピーク時と別の時間帯・曜日や、ビジネス街でも土日に来ていただける。
<インバウンド顧客とのコミュニケーションの魅力・良い体験>
・自分自身が楽しいから。違う文化の方と接し、和食を知って喜んでいただけることはとても嬉しい。
・日本のシェフが創作する料理の美味しさや、日本人が作る繊細なカクテルの素晴らしさ、またジャパニーズウイスキー、ワインの良さを伝え、世界に発信出来たらと考えております。
・顧客の幅を広げたい。口コミを海外まで広げたい。
・海外からのお客様は、楽しませれば、その分だけ呑んでくれるので、やりがいがあったから。
<エリア特性>
・外国人観光客が多く訪れる場所であるため
・近隣にホテルが出来たので、期待している
インバウンド顧客獲得に消極的な理由
<対応策が不十分>
・特に外国語のメニューを用意していない。
・英語と中国語の接客ができる者が1人なので、大勢の外国人のお客様が来店すると調理に支障をきたす
・言語がわからないので、コミュニケーションが取れない。宗教的に何がダメとかも理解できていない
<コロナ再流行への懸念>
・再度コロナが流行った時、売上が減少する
・常連を大切にしたい。インバウンド需要目当てにすると、コロナのようなことが起こるとつぶれる
<常連客を大切にしたいという想い>
・常連のお客様獲得を優先してるから
・インバウンド顧客は、常連になってもらえないから
<エリア特性>
・旅行者の来るエリアではないので
・店舗立地が住宅街のため
調査概要
調査対象:東京23区内に店舗を持つ飲食店.COM会員(飲食店経営者・運営者)
回答数:226名
調査期間:2022年6月1日~2022年6月7日
調査方法:インターネット調査
※本調査に協力してもらった回答者のうち67.7%が1店舗のみを運営、14.6%が2店舗を運営しており、合計82.3%が2店舗以下を運営している。
関連情報:https://www.inshokuten.com/research/company/
構成/Ara