今年の5月13日から高齢者ドライバーの免許更新時に運転技能検査(実車試験)が開始されたことなどの影響もあり、今後はさらに増えていきそうな運転免許の自主返納。
自ら返納を決めたり、家族と相談して決めたりなどその理由はさまざまかと思うが、実際にはどれほどの方が返納しているのだろうか。また、免許を返納した場合、所有している自動車はどうする場合が多いのか。
そこで今回は、日本トレンドリサーチが、会宝産業と共同で「運転免許の自主返納」に関するアンケートを実施。先日結果を公開したので紹介しよう。
75歳以上の24.4%が「すでに返納した」
まずは、普通自動車運転免許の返納について聞いた。
75歳以上の24.4%、70~74歳の10.5%が「すでに返納した」と回答し、70歳以上ではすでに返納している方も少なくないようだ。また、「返納する予定・検討中」と回答した人も各年代にいたが、何歳頃に返納する予定や、返納しようと思う理由についても聞いた。
【返納しようと思う理由】
(返納しようと思う年齢/返納しようと思う理由)
66歳/65歳を過ぎたら身体能力は少しずつ低下してくると思うから。怪我をしたら回復も遅くなる年齢だから。(66歳・女性)
70歳/高齢者の自動車事故のニュースを見ると不安になるので(65歳・女性)
90歳/90歳の誕生日で免許の期限が切れるから。(89歳・男性)
87歳/視力検査が不安になったから(87歳・男性)
70歳/免許更新に実技が入るから(68歳・女性)
74歳/次回の免許変更時。ゆっくりではあるが、運動能力・反射神経の衰えを感じつつある。現状では全く影響はないと思っているが、74歳くらいが節目ではないかとも感じつつある。(70歳・男性)
75歳/運転に自信が持てなくなってきたので(73歳・男性)
高齢者の自動車事故のニュースを見ると不安になるからや、運転に自信が持てなくなってきたからなどの理由があった。では、すでに返納している方は何歳頃に返納し、その理由はどのようなことだったのだろうか。
【返納した理由】
(返納した年齢/返納した理由)
70歳/以前から70歳になったら、免許を返納しようと決めていたから(72歳・男性)
60歳/もう車に乗ることはないだろうと考えて返納した。(78歳・女性)
75歳/友達とみんなで話し合って決めました。後期高齢者になったら運転は心配だからという理由です。(81歳・女性)
81歳/妻から運転の仕方が危なくなったと言われた。(81歳・男性)
67歳/運転に自信が持てなくなってきたが、免許証を持っていると運転してしまうので、手元に置きたくなくなった。(69歳・男性)
70歳/ペーパードライバーだったので、実技の更新は難しいと判断したので。
(75歳・女性)
運転に自信が持てなくなっていても、免許証を持っていると運転してしまうからという理由などがあった。また、ペーパードライバーのため、運転技能検査は難しいと考えて返納した方も少なくないようだ。
免許返納後、所有している車はどうする?
では、すでに免許を返納している方は、所有していた車をどうしたのか。
まず、普通自動車運転免許を返納した時、車を所有していたかについて聞いた。
40.7%の方が「所有していた」と回答。
続けて免許を返納した時に所有していた車は、何年乗っていたかについても聞いた。
「7年以上~10年未満」が26.1%ともっとも多い結果になったが、「1年未満」と回答した方も6.5%いた。
さらに免許を返納した時に所有していた車をどうしたかについて聞いた。
「売却した」と回答した方が39.1%ともっとも多い結果になった一方で、「廃車にした」と回答した方も10.9%と1割以上いるようだ。
なお、「廃車にした」と回答した方に、その理由についても聞いた。
【廃車にした理由】
(乗っていた年数/廃車にした理由)
7年以上~10年未満/中古車の価値はほとんどない(70代・男性)
16年/古く売却の価値ナシと感じたから(80代・男性)
すでに価値が無いと感じたから廃車にしたという理由があった。
ただ、動かなくなった車や、どんなに古い車でも売却できる場合もあるので、一度相談してみるのも良いかもしれない。
運転技能検査の導入により返納を決めた人が多いと考えられる
今回は、運転免許の返納や、その時所有していた車についての調査を行なったが、75歳以上の24.4%、70~74歳の10.5%が「すでに返納した」と回答しており、運転技能検査の導入により返納を決めた人もいるようだ。
また、免許返納時に所有していた車はどうしたかという質問では、10.9%の人が「廃車にした」と回答。車がどのような状況でも買い取ってくれる場合もあるので、大切な愛車を「廃車ではなく売却」というのも考えてみると良いかもしれない。
【調査概要】
調査期間:2022年5月28日 ~5月31日
集計対象人数:1211人
集計対象:60歳以上の全国の男女
該当記事:https://trend-research.jp/14966/
構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)