分子飲料プリンター
米国のスタートアップ企業Cana Technologyは世界初の「分子飲料プリンター」という製品を発表した。
どんな製品なのかというと、ジュース、コーヒー、カクテル、ワインなど、どんなドリンクでも作れる家庭用のドリンクバーみたいなものをイメージしてもらうといいかもしれない。例えばワインの場合、その約87%は水で、約12%がアルコール、ワインの味やニオイを決める成分は実は1%以下しかない。この部分を徹底的に分解し、何がその飲料の味を作っているのかを解明。それらの成分を濃縮して、100種類以上の飲み物を作れるカートリッジに装填した。
このプリンターカートリッジと家庭の水を化合させ、数百種類の飲料を作り出すことができるのだ。
確かにすごい技術ではあるが、この製品のイノベーションの本質は、飲料生産における環境負荷の削減にある。世界の飲料産業が消費するプラスチックやガラス容器の削減、水の浪費、輸送コスト、工場から排出されるCО2などを大幅に削減することができるのだ。
モノが作られ、出荷される仕組みを根本的に変えるこの商品は近い将来、飲料産業に大きなイノベーションを起こすかもしれない。
飲料と同じように香水や化粧品などほかの製品ジャンルにも応用可能な技術と仕組みなのが魅力。環境やサステイナビリティーの観点でも注目の商品だ。
Canaによれば最初の1万ユニットは499ドルで、その後は799ドルで提供予定だという。約1か月間使えるカートリッジは無料で、作る時にその料金を支払う。
Canaのチーフサイエンスオフィサーを務めるLance Kizer氏(写真左)とCEOのMatt Mahar氏(写真右)。
取材・文/編集部
※本記事内に記載されている商品やサービスの価格は2022年4月30日時点のもので変更になる場合があります。ご了承ください。