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ついに民事訴訟のIT化法案が成立、これによって国民の利便性はどう上がる?

2022.06.17

日本では長らく、訴訟(裁判)手続きのIT化が進まず、紙ベースでの運用が主体となっている状況が続いています。アメリカなどの欧米諸国だけでなく、シンガポールなどアジアの国々にも遅れを取っている状況です。

しかし2022年5月18日、訴訟手続きのIT化を抜本的に進める改正民事訴訟法案が、国会で可決・成立しました。現時点で施行日は未定ですが、今後はIT化により、訴訟手続きの大幅な利便性向上が期待されます。

今回は、改正民事訴訟法により予定されている、訴訟手続きのIT化の主要なポイントをまとめました。

参考:民事訴訟法等の一部を改正する法律案|法務省

1. IT化のポイント①|訴状のオンライン提出が可能に

民事訴訟を提起するためには、裁判所に訴状を提出する必要があります。従来は、裁判所へ足を運んで訴状を提出しなければなりませんでした。

民事訴訟のIT化により、裁判所のシステムを通じて、オンライン上で訴状を提出することが可能になります(改正民事訴訟法132条の10)。

さらに、弁護士が訴訟代理人として訴状を提出する場合には、必ずオンライン上で提出しなければならず、書面による提出は原則として認められなくなります(同法132条の11第1項第1号)。

2. IT化のポイント②|訴訟記録のウェブ閲覧・複写が可能に

訴訟記録の閲覧・複写についても、従来は裁判所に足を運んで行う必要があったところ、IT化によってウェブ上で行うことが可能となります(改正民事訴訟法91条の2)。

裁判所に閲覧・複写用の端末が設置されるほか、裁判所外からもシステムを通じて閲覧・複写ができるようになる予定です。

なお、訴訟記録の閲覧は誰でもできますが(同条1項)、複写ができるのは当事者および利害関係を疎明した第三者に限られます(同条2項、3項)。

3. IT化のポイント③|口頭弁論のウェブ会議による実施が可能に

裁判所の公開法廷において、当事者双方が主張・立証を行う期日を「口頭弁論期日」と言います。

従来の口頭弁論期日は、必ず裁判所における対面の手続きで行われていました。今回の改正により、ウェブ会議によって口頭弁論期日を実施できるようになります(改正民事訴訟法87条の2第1項)。

なお、裁判所ではウェブ会議用のシステムとしてMicrosoft Teamsを活用しているため、口頭弁論期日をウェブ実施する際にも、Microsoft Teamsが用いられるものと予想されます。

また、訴訟の争点整理を目的とした弁論準備手続については、従来からウェブ会議による実施が認められていましたが、当事者のうち一方の出頭が必要とされていました(現行民事訴訟法170条3項)。

今回の改正では出頭要件が撤廃されたため、当事者の両方がオンライン上で参加しての弁論準備手続も認められるようになります。

それ以外にも、審尋(改正民事訴訟法87条の2第2項)、和解期日(同法89条2項)、通訳(同法154条2項)、証拠調べ(同法185条3項)、参考人等の審尋(同法187条3項)なども、ウェブ会議での実施が認められました。

4. IT化のポイント④|証人尋問のリモート実施要件が緩和

現行法の下でも、証人尋問をリモートで実施することがあり得ますが、証人が遠隔地に居住している場合や、法廷で尋問すると精神の平穏を著しく害されるおそれがある場合に限られています(現行民事訴訟法204条)。

今回の改正により、当事者に異議がない場合には、一般的に証人尋問をリモートで実施することが可能となりました(改正民事訴訟法204条3号)。

5. IT化のポイント⑤|判決書の電子化

従来の判決書は紙媒体のものでしたが、今回の改正により、すべての判決書は電磁的記録によって作成されるようになります(改正民事訴訟法252条)。

電子判決書は当事者に送達されますが(同法255条1項)、謄本を紙媒体で送達する方法のほか、当事者の届出がある場合には、システム上でのオンライン送達も認められるようになりました(同条2項)。

6. IT化のポイント⑥|審理期間の短縮化

民事訴訟のIT化と併せて、今回の改正では新たに「法定審理期間訴訟手続」の制度が導入されます(改正民事訴訟法381条の2以下)。

当事者双方が法定審理期間訴訟手続の申出をした場合、以下の要領により、訴訟における審理期間の短縮が図られます。

①法定審理期間訴訟手続への移行決定後、2週間以内に口頭弁論または弁論準備手続の期日が指定されます(同法381条の3第1項)。

②初回の口頭弁論または弁論準備手続の期日から、6か月以内に口頭弁論が終結され、その後1か月以内に判決が言い渡されます(同条2項)。

③法定審理期間訴訟手続の判決に対しては、訴えを却下するものを除いて、控訴が禁止されます(同法381条の6)。

ただし手続保障の観点から、当事者の一方の申出によって通常の訴訟手続きへ戻せることになっています(同法381条の4第1項)。また、法定審理期間訴訟手続の判決について適法な異議申立てがあった場合にも、通常の訴訟手続きに戻ります(同法381条の8第1項)。

そのため、法定審理期間訴訟手続がどこまで実効的に活用されるかは、現段階では未知数です。しかし、長期化が問題視されがちな民事訴訟の現状に対して、一石を投じる法改正であると評価すべきでしょう。

取材・文/阿部由羅(弁護士)
ゆら総合法律事務所・代表弁護士。西村あさひ法律事務所・外資系金融機関法務部を経て現職。ベンチャー企業のサポート・不動産・金融法務・相続などを得意とする。その他、一般民事から企業法務まで幅広く取り扱う。各種webメディアにおける法律関連記事の執筆にも注力している。東京大学法学部卒業・東京大学法科大学院修了。趣味はオセロ(全国大会優勝経験あり)、囲碁、将棋。
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